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地図にない島の物語

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どこにもない、けれど、どこにでもある、謎の島。 どんな国の、どんな年代の地図にも載っていない。 そこに行けるのは、島から招かれた人だけ。 その島への通行証を、あなたのもとへ。
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記事一覧

地図にない島 #8 継承式

図案が、これでよい、と感じられるところまで持ち込めたのは、昼休みも終わる頃だった。 今日…

地図にない島 #7 最後の授業

道具の準備は、たぶん、ほぼ大丈夫だと思う。 要となるのは、矢立の中にあった水と月光だ。 …

地図にない島 #6 祖父の贈り物

つなぎ合わせた空間の門は、ぼくの部屋に直結していた。 住み慣れた、アパートの部屋。 ほんの…

地図にない島 #5 <隣人>と<旅人>

“地図にない島”は、ぼくが知る限り、どこの国の地図にも、どの時代の地図にも、記載がない。…

地図にない島 #3 発掘

伝令役を終えたネプラは、即、<島>へ戻って行った。 それからのぼくは、自分でも呆れるほど…

地図にない島 #4 島、ふたたび

うれしさと、期待。 不安と、恐れ。 そして、思いがけず強く沸き上がったのは、孤独感。 島側…

地図にない島 #2 誘い

「前にきみと会ってから、ニンゲン時間でどれくらい経っているのかね?」 「20年以上だな」 正確には、23年だ。 ぼくには、ネプラの姿が見えなくなって。 声も聞こえなくなり。 存在を認知することができなくなった。 そして、忘れた。 さっきまで、ずっと。 陳腐なファンタジーと同じ。 大人になると見えなくなるっていう。 ......いやいや。 そうじゃない。 おじいちゃんが、いなくなったから。 だから、見えなくなって聞こえなくなった。 ぼくはもともと、おじいちゃんのおかげ

地図にない島 #1 再会

驚いて、手にしている物を落とす。 よくマンガや小説に出てくる光景だが、そんな反応になるわ…