余命365か月/二〇二四年五月
五月一日(水) 雨
余命三百二十八か月になった。月単位の数字だと大して減っていない気もするが、体で振り返れば、確実に終わりに近づいていくのを感じる。最期に向かってゆっくりと腹も据わっていく。ずっと道を外した人生だったが、いまや頑丈なレールの上にのった気分だ。
ゴールデンウィークらしく超高稼働だった。来客が多く足は忙しく動かしたが、心は余裕があった。マルチタスクが売りの職場で、ただ一人、異様なほどのシングルタスクが許されている。そのおかげでエントランスに関してはスペシャリ