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【読書メモ】オンラインで相手の話を「引き出す力」

「オンラインだとなぜか緊張する」

私は地方在住ライターなのでインタビュー記事作成のお仕事は、基本的にリモートで行います。

対面なら初対面の人でも、それほど緊張しないのに、オンラインだとうまく話せないもどかしさを感じていました。

なぜこんなことが起こるのか。そこで、こんな本を読んでみました。『引き出す力 相手が思わず話してしまうひとつ上の「聞く力」』です。

著者は経営者や著名人など3000人以上に取材の経験を持ち、ブックライターとして活躍されている上阪徹さん。

インタビューされる側が身を乗り出して答えたくなる質問をするにはどうすればいいか。

上阪さんいわく、よいインタビューはオンラインでもできるといいます。この本にはよいインタビューをするための52の質問術が収められていました。

なぜインタビュースキルがコニュニケーションに関係あるのか

インタビューとコミュニケーションは一見、関係ないように見えるかもしれません。

これまでは発信側の「話す力」が重視されてきました。しかし、よいコミュニケーションは、話し手と聞き手があって成り立ちます。そうしたこともあってか、近年は「聞く力」が注目を集めるようになりました。

そういえば以前、先輩ライターの方がこんなことを言っていました。

インタビュースキルは特別なものではありません。相手の意図を正しく汲み取って話を聞くスキルは、社内の打ち合わせや商談、家族との会話にも役立ちますよ。周りの人とうまくやっていくためのコミュニケーションスキルだと、私は考えています。

どんなコミュニケーションも「聞く」ことからはじまる、と考えれば第一線で活躍されている方の仕事術を学んで損はありませんよね。

この本を読んで、冒頭の悩みの原因は次の2つだと思いました。

  • 準備不足

  • 冒頭で目的の共有ができていない

本書には52の質問術が収められていますが、なるほど!と思ったポイントを5つ紹介します。

オンラインは準備が大事

インタビューの準備というと、相手のリサーチや事前質問の準備が思い浮かびますが、ここで言う準備とは、そのことではありません。具体的には次のことが挙げられていました。

  • 時間に余裕を持って入室する

  • 通信環境をチェックする

  • カメラチェックする

え。そんなこと?と思うかもしれませんが、オンラインでのコミュニケーションによい通信環境は必須です。

リアルでのコミュニケーションに比べて得られる情報が少ないオンラインで、とぎれとぎれに聞こえる音声ほどストレスになるものはありません

実際、私もこれまでに何度かリモート会議中に通信状況が不安定になってアプリが落ちてしまったり、急に回線速度が遅くなって話の内容に集中できなかったりしたことがあります。

回線はWi-Fiではなく固定回線につなぐことの大切さを心に留めおきました。

ポイントは「はじまり」

話を引き出すには「この人になら話しても大丈夫」と思ってもらう場作りが欠かせない、と上阪さんは言います。

見た目も清潔感も評価するのはあくまで相手です。

そのため身だしなみや表情は、自分の感覚ではなく、誰からも嫌われないものを心がけたいものです。

大事なのは、最初の画面が出たとき。

好印象を持ってもらえる見た目や表情を強く意識し、第一声は「ワントーン高い声で」「大きく」「はっきり」とお腹から出すのがよいと言います。

こうしたことに気配りできるのは、やはり前述の「事前準備」ができてこそ。

時間と心に余裕がなければ、自分がどう見られているかまで意識するのは難しいですからね。

目的と所要時間を説明する

著者いわく、オンラインにアイスブレイクは必要ないとのこと。

たわいのない世間話をするより大切なのは、インタビューの目的と、相手に期待することを共有することだそうです。

なぜなら、目的が明確でない人に話を引き出すことはできないから。

事前に趣旨を伝えていたとしても、すべての人が事前準備をしてくれているとは限りません。

また、相手に時間をもらっていることに感謝し、時間を意識していることを伝えることは安心感につながります。

それでもアイスブレイクが必要なときは、相手の背景に対する感想を質問に変えてみるのがよいと言います。

画面は引き気味に。オーバーリアクションで

ちゃんとうなづいているし、反応しているつもりでも、自分が思うほどリアクションは伝わってないって、知ってましたか?

非言語情報もできるだけ伝えられるように、画面は引き気味で、上半身が映るようにするとよいそうです。

人は無意識のうちにちゃんとリアクションしてくれる人を選んでいます

「この人は聞いてくれている」そう思ってもらうのは、話を引き出すのに欠かせない要素と言えるでしょう。

その時間を楽しむ

テクニック以上に大切なこと。それは、楽しんでしまうことです。

明らかに仕事です、という態度の人と仕事なのかプライベートなのかわからないけど楽しそうにしている人。

どちらに話したくなるでしょうか。

また、相手によく見られたいと思っている人や「話を引き出さなければいけない」と話の内容や相手の表情より質問に意識が向いている人も、話を引き出すのは難しいとありました。


私に圧倒的に足りなかったのは、事前準備でした。

この本に書かれていることは正直なところ、目新しさはないかもしれません。

しかし、こうした一見当たり前のように思える一つ一つの積み重ねがよい話を引き出すことにつながるのだな、と感じました。

しっかり準備しておけば、焦りや緊張は抑えられるし、その時間を楽しむことができるということですね。本のアドバイスを参考にやってみたら、先日のオンラインインタビューは我ながらなかなかだったと思います。

そのほかの質問術はぜひ本書を読んでみてください!

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