朗読風ショートショート 『豆腐の角をもっと堅くだんだん柔らかく』
「おい、早く支度するんだ」
町で一番古くからある、老舗豆腐屋の主人、イガリさんの朝は早いのです。
「おはようございます。すいません、お義父さん。娘に昨日、遅くまで絵本を読んでいまして。」
娘婿のクリムさん、まだ眠そうな顔であわてて長靴をはいて出てきました。
「何が絵本だい。お前さんの読む絵本つうのは、ケーキの家なんか出てくる、甘ったるいやつだろ。いやだいやだ。うちの娘には、一切、そんな血糖値があがるようなもんは読ませなかったもんさ。」
「もう、父さん朝から大きな声ださないでよ