直線と丸や三角 四角い窓 パイロットインキ トリスのワンショットグラス バヤリース
中野 翠著の「小津このみ」読みました。
タイトルや南辛坊さんの表紙カバーのさし絵から受ける印象は小津映画に登場する小道具や家具、文房具、電気製品、着物など、モノに対する論評と勝手に思い込んでいました。私が注目する小物は、パイロットインキ詰め替え用のボトル、トリスの名の入ったワンショットグラス、ラジオ、テレビ、腕時計です。腕時計に関しては、ほぼ映り込むことが有りません。「浮雲」において川口浩がしていたものがセイコースポーツマンのような?を見ることができました。(この頃の腕時計を販売しております「ブルース道具店」と検索)何はさておき、読後は中野先生の感性と正確な分析に共感を覚え、感動いたしました。
「東京物語」における紀子の有名なセリフ。『狡い』ずるいとよむこのセリフの解釈である。ずるいを漢字にすると『狡い』ひらがなと漢字では字面から受ける印象がことなります。けものへんにまじわるです。もちろん映画では、原節子が発する声、顔の表情や体の姿勢から読み取れます。一部評論家、研究者が言っている性的な表現についての発言がまったくもって的外れです。性的なことではなく、力強く、これからの人生を過ごしていくのだという宣言という風に読み取れます。さし絵の南辛坊さんがまたしぶい。次は南さんの本に挑戦である。