🗂️ Design Materials：Webアクセシビリティ評価に障害のあるユーザーを対象としたユーザビリティテスト、評価に関する考慮事項

2021年12月4日 05:47

Webアクセシビリティ評価は、WCAGなどのアクセシビリティ標準への準拠に焦点を当てていることがよくあります。

適合性は重要ですが、実際のユーザーと一緒に評価することには多くの利点があります。たとえば、サイトまたはツールがユーザーにとって実際にどのように機能するかを学び、アクセシビリティの問題をよりよく理解することができます。また障害のあるユーザーや年配のユーザーと一緒に評価することで、適合性評価だけでは発見されないユーザビリティの問題を特定できます。

今回は障害のあるユーザーを対象としたユーザビリティテストやその他の評価に関する考慮事項を紹介します。より優れた、より簡単なアクセシビリティのために、初期段階でユーザビリティテストを実施し、幅広い問題をカバーしましょう。

アクセシビリティのレビュー

Webアクセシビリティを評価する最初のステップは、サイトをレビューして、明らかなアクセシビリティの問題がないかどうかを確認することです。

さまざまな障害を持つ人々がどのように対話できるかを学びましょう。

個々のユーザーには見られない可能性のある、幅広いユーザーのアクセシビリティの問題を評価しましょう。
ユーザーを呼び込む前に、既知の障壁を修正するのに役立ちます。
潜在的な懸念領域にユーザーとの評価を集中させることができます。

最初のレビューでは、ユーザーと評価する前に修正すべき重要なアクセシビリティの障壁を特定します。また、ユーザーとの評価のために何に焦点を当てるべきかを定義するのにも役立ちます。

ユーザー評価の範囲とオプション

障害のあるユーザーや高齢のユーザーは、簡単なテストから大規模なユーザビリティ調査まで、幅広い評価活動に参加できます。これらには多くのオプションがあります。

非公式なユーザビリティテスト
特定のアクセシビリティの問題の非公式な評価は非常に簡単です。たとえば、スクリーンリーダーを使用している知っている人や他の障害を持つ人に、データテーブルの初期ドラフトでデータを見つけるように依頼します。彼らの相互作用を観察し、問題について話し合います。

正式なユーザビリティテスト
Webサイトの正式なユーザビリティテストは、確立されたプロトコルに従って、特定のタスクを実行する代表的なユーザーから定量的および定性的なデータを収集します。正式なユーザビリティテストは、アクセシビリティの問題に焦点を当てるように最適化できます。

どのタイプの評価を行うかは、プロジェクトの段階などの要因によって異なります。たとえば、デザインアイデアの初期調査、プロトタイプの特定の領域のテスト、最終デザインのレビューなどです。

開発全体を通じて非公式の評価を実施することは、プロジェクトの最後に正式なユーザビリティテストを行うよりも効果的です。

ユーザビリティテストの基本とは？

ほとんどの場合、評価にユーザーを含めるには、次のことが含まれます。

数人の障害者をテストする
ターゲットオーディエンスに応じて、年配のユーザーも含めましょう。
プロトタイプのサンプルタスク
タスクを完了するために開発プロセス全体にそれらを含めることで、デザインとコーディングのさまざまな側面をどのように改善できるかを確認できます。
アクセシビリティの問題について彼らと話し合う

ユーザーによる評価と同様に、初心者、平均、または上級ユーザーを含めるかどうかは、ターゲットユーザーによって異なります。

たとえば、社内の会計士向けのWebアプリケーションを開発している場合は、高度な支援技術のユーザーが必要になる可能性があります。他にも公開Webサイトで障害者手当を申請するには、初心者の支援技術ユーザーが必要です。

www.w3.org

💡注意したいこと：すべての入力を慎重に検討してください。1人の障害を持つユーザーからの入力がすべての障害者に当てはまると想定することは避けてください。

障害のある人は、同じ障害を持つ他の人がWebとどのように相互作用するかを必ずしも知っているわけではありません。彼らは、他のアクセシビリティの問題に関する有効なガイダンスを提供するために、他の障害について十分に知らないかもしれません。さまざまなユーザーから情報を得るのが最善です。

アクセシビリティの問題を見つけることに加えて、障害のあるユーザーで評価すると、通常、障害のないユーザーを含むすべてのユーザーに影響を与える一般的なユーザビリティの問題が明らかになります。

アクセシビリティの問題を分析してみよう。

Webアクセシビリティは、ブラウザー、アシスティブ・テクノロジー、Webコンテンツなど、Web開発と相互作用のいくつかのコンポーネントが連携して機能することに依存しています。

アシスティブ・テクノロジーとは
テクノロジーを活用して活動や生活より良くなるように支援する技術のことです。

アクセシビリティの問題は、1つまたは複数の異なるコンポーネントによって引き起こされる可能性があります。たとえば、マウスを使用できないユーザーがキーボードアクセスに問題がある場合、次の理由が考えられます。

Webページが適切にマークアップ、コーディングされていない
ブラウザやメディアプレーヤーがマークアップを適切に処理していない
ユーザーのアシスティブ・テクノロジーがマークアップを適切に処理していない
ユーザーは、ブラウザ、メディアプレーヤー、アシスティブ・テクノロジーのキーボードアクセス機能の使用方法を知らない。
ページのデザインが不十分で、障害のないユーザーを含むすべてのユーザーにとって一般的なユーザビリティの問題がある。

ユーザー評価と標準を組み合わせよう。

障害を持つユーザーを評価に参加させることには多くの利点があります。しかし、それだけではWebサイトにアクセスできるかどうかを判断することはできません。

ユーザーの関与とWCAGへの準拠の評価を組み合わせて、さまざまな障害や状況のユーザーにアクセシビリティが提供されるようにします。

結論を導くためにはどうしたらいいの？

数人の障害者からの結果だけを一般化して、同様の障害を持つすべての人々または他の障害を持つ人々に適用することはできません。

レポートには、調査の範囲と、テスト方法やユーザーの特性などの評価パラメーターを含めます。

たとえば、視覚障害のある参加者のみが調査に含まれている場合、レポートでは、アクセシビリティ基準への準拠を評価しておらず、すべての障害者に適用されるわけではないことを明確にする必要があります。

小規模な研究は有用な情報を提供することがよくありますが、統計的有意性を提供するのに十分な堅牢性はありません。

アクセシビリティの障壁を具体的に調査する場合、プロトコルは通常、一般的なユーザビリティテストとは異なります。

例えば：

ファシリテーターとのやりとりの上で、思考発話法を使用する可能性があります。
データ収集は、タスクの時間やユーザーの満足度ではなく、アクセシビリティの障壁に関連するエラーの理解に焦点を当てます。
タスクは、一般的なサイトの使用法ではなく、潜在的なアクセシビリティの問題に関する特定の懸念事項に集中します。

障害を持つユーザーのために他の要因を評価することも重要であることに注意してください。これらの要因には、一般的なユーザビリティ、ユーザーの満足度、およびその他の同様の基準が含まれます。

まとめ

障害は非常に一般的ですが、障害のあるユーザー向けに特別なエクスペリエンスや分離されたエクスペリエンスをデザインしなくてもアクセシビリティ基準を満たすことの利点は、障害のないユーザーにも当てはまります。それは誰にとってもお互いに有利です。

現在、人々の価値観において様々な変化が起きています。インクルーシブやダイバーシティへの理解を深めたサービスも多く見られるようになってきています。

あなたの提供しているサービスや、プロダクトがインクルーシブ・デザインをしっかり重視しているか、どんな障害を持っている方誰にとっても使いやすいものになっているのかを確認するチャンスかもしれません。

こちらの記事も参照して見てください。

みんなに優しいデザインを届けよう。WCAGとは？アクセシビリティの原則、デザイナーのためのツール、リソース

みんなに優しいデザインを届けよう。Webアクセシビリティ・ガイドラインとチェックリスト。プレゼン資料

インクルーシブデザインとは？アクセシビリティの簡潔ガイド

私も、色々勉強中なので、皆さまの、ご意見・ご感想をお聞かせください。お読み頂きまして、ありがとうございました。

メルボルンを拠点にプロダクトデザイナーとして働いています。主にデジタル・プロダクトの制作に携わっています。

［参考資料］