🗂️ Design Materials：最近よく耳にする「Co-Design」とは？創造性とコラボレーションを強める参加型デザインについて。

2021年10月24日 05:51

あなたはこんな経験をしたことありませんか？

ユーザーの意見を取り込んで、プロダクトやサービスをデザインしたつもりなのに、いざ市場に売り出すとそこまで好ましい反応が見られるわけでもなく、そのプロジェクトが失敗に終わってしまった。またはユーザーの声を聞いてデザインしているつもりでも、個人的な主観も多く入ってしまい、結局ユーザーにとって好ましくないプロダクトやサービスとなってしまった。

今まで多くの場合、プロダクトや、サービスの重大な決定には、最終的に最も影響を受けるエンドユーザーの関与はほとんどありませんでした。

Co-Designはプロダクト制作の上で、従来のプロセスに変化をもたらす新鮮な手法として、企業がこれに寄せる期待は、年々高まっているようです。

ますます複雑化する世界では、コラボレーションが重要です。ヘルスケア、教育、ガバナンスなどの分野で革新的なアイデアを生み出すためにコラボレーションをとることは、これまで以上に緊急に広まっています。

私の実体験

私が以前、脳性まひがあり、体を動かす機能の障害を持たれている方々専用のプラットフォーム、My CP Guideのブランディング制作に携わった時には、実際に脳性まひを持ち、日々生活されている方々に積極的に参加してもらい、色合い、タイポグラフィ、ロゴ、ブランド名などといったブランディングに関わる全ての要素の最終決定権を彼らに与え、Co-Designという形を実践しました。

Co-Designの導入によって、実際の利用者がどのような心理状態でプラットフォームに訪れるのか、またアクセサビリティについて彼らと話し合ったり、アイデアを一緒に出し合ったり、彼ら、また彼らのケアラーたちの理解を深めたりと、このような様々なプロセスを踏むことで、実際の利用者が本当に喜ぶブランドができたと実感できました。

しかし、これには注意点もあると思いました。
それは、こんな声があったからです。

あなたはビジュアルデザインの専門家なのだから、あなたが色合い、タイポグラフィ、ロゴなどの要素を決めるべきだ。

Co-Designを効果的に利用するには、それが何であるか、そしてそれがどのように機能するかについて参加者全員が合意する必要があります。またプロセスや、方法について最初に理解していただき、デザイナーと参加者が対等な立場でデザイン活動を行うことも理解していただきましょう。

今回は、もう少し詳しくCo-Designを調べていきたいと思います。

Co-Design（参加型デザイン）とは？

Co-Designはイベントではなくプロセスです。ジェネレーティブ・デザイン、参加型デザイン、または協調的デザインとしても知られています。

Co-Designとは、特にデザイン開発プロセス内で利害関係者、またエンドユーザーと共同でデザインの過程に能動的に参加していただき、デザインされるプロダクトがエンドユーザーのニーズにしっかりと合っているか、アクセシビリティなどを含め、使い易さはどうかを確認する作業を一緒にしていくデザイン手法の一種と言われています。そして大切なことは、デザイナーと参加者が対等な立場でデザイン活動を行うことです。

実践者は、可能な限りCo-Designがデザイン開発プロセスに役立つことを人々に伝える必要があります。

Co-Designの原則

Co-Designは、創造的な参加型手法を使用するデザイン主導のプロセスです。万能のアプローチも、従うべき一連のチェックリストもありません。代わりに、さまざまな人々にさまざまな方法で適用できる一連のパターンと原則があります。

包括的であること
Co-Designは様々な経験を持つ方々からのフィードバック、アドバイスと決定、そしてその分野の専門家の知識、経験とスキルをいただくことを目的としています。プロセスには、問題のフレーミングからソリューションの開発とテストまで、Co-Designプロジェクトに関与する重要な利害関係者、またエンドユーザーが含まれます。彼らが皆対等な立場でデザイン活動を行うことを目指しましょう。

敬意を表する
すべての参加者は専門家と見なされるべきです。彼らの意見は常に評価され、常に平等な立場にあります。潜在的または認識された不平等を取り除くために最初に戦略を立てることをお勧めします。

参加型であること
Co-Designでは、一連の会話と活動を使用して、対話と関与により、専門家の知識と実際の経験に基づいて、新しい共通の意味が生成されます。主要なテーマを抽出して、コード署名されたソリューションの基礎として使用できます。すべての参加者は、プロセスの有効性に責任があります。

反復すること
アイデアと解決策は、参加者とともに継続的にテストおよび評価されるべきです。ここでは変化と適応はプロセスの自然な部分であり、可能性と洞察が現れたときにそれを試し、リスクを冒して失敗を許容することも大切です。このプロセスは、成果が得られたときに潜在的な結果や解決策を微調整するためにも使用され、後でその有効性を評価するためにも使用できます。

成果に焦点を絞る
このプロセスは、サービス、システム、またはプロダクトを作成、再デザイン、または評価するために使用できます。これは一連の結果を達成するようにデザインされており、潜在的なソリューションを迅速にテストし、有効性を測定し、これらのソリューションの普及またはスケーリングを利害関係者と状況に応じて開発できます。

なぜ今Co-Designが必要なの？

先ほど述べたように、私たちの世界が直面している複雑な課題は、単一の分野で取り組むには大きすぎます。

デザイナーやエンジニアをプロセスに招待するだけでなく、ユーザー、顧客、患者、その他の利害関係者を積極的な共同デザイナーとして招き、大きな問題に立ち向かい、現在の経験を改善したり、新しいものを共同作成したりするための実用的な方法を開発する必要があります。

Co-Designのプロセス

Co-Designは、デザイン開発プロセス全体の任意の時点で実行できます。ただし、さまざまな視点を持つ人々を早期に（そして頻繁に）関与させることで、実際の問題領域を早期に特定し、より有利な結果を得ることができます。

確かに、プロセス全体に複数の利害関係者を関与させることは困難な場合がありますが、発見、構想、開発のガイド付きプロセスを通じて、エンドユーザーとそれらにサービスを提供する人々の両方に発言権を与えることができます。そうすることで、情報提供者は参加者、またパートナーになり、結果的に強力で意味のある影響を与えることができます。

具体的には、次の３つを繰り返す流れが必要です。

1. エンドユーザーを理解する
2. ディスカッション等で利害関係者を巻き込む
3. 得られたアイデアを視覚化する

現実のプロジェクトにおいては、通常このプロセスを何度も繰り返すことで、より良い解決策が生まれてきます。

誰が関与すべきですか？

Co-Designにおける特定の役割と責任について話すことは難しいので、私が以前制作した、My CP Guideを例に挙げたいと思います。

脳性まひを患う方々の生活の改善を図るために、医療提供者と協力して制作していると想像してみてください。

この課題に対してCo-Designアプローチを採用する場合は、さまざまな人々や組織を集めて、機会の全体像を把握し、新しいソリューションを共同で作成する必要があります。

たとえば、この参加者グループには、脳性麻痺をもつ方々、彼らのケアサークル（親、兄弟、友人）、医療従事者、製薬会社などと、最終的にプロジェクトの範囲によって、代表される利害関係者の数と、プロセスのどこに貢献するかが決まります。

まとめ

Co-Designとその可能性を理解することは、より成功した集合的な創造性につながります。

私たちの協力的、また創造的な可能性は、共通の基盤を見つけ、アイデアを共有し、共通の言語を使用し、協力してより良い世界を共同創造する能力にかかっています。

私たちが直面している信じられないほどの課題に取り組むために、今まで以上に人々が協力する必要があります。

［参考資料］

こちらでBeyond Sticky NotesのCo-design Planning Toolを使用できます。

私も、色々勉強中なので、皆さまの、ご意見・ご感想をお聞かせください。お読み頂きまして、ありがとうございました。

メルボルンを拠点にプロダクトデザイナーとして働いています。主にデジタル・プロダクトの制作に携わっています

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