💬 Design Term ：インクルーシブなUXライティングとは？英語でインクルーシブでアクセシブルなデジタルプロダクトのマクロコピーの書き方

優れたUXライティングとは、誰もが理解しやすく、親しみを感じ、インターフェイスを使用しやすくする助けをします。

私が最近、注目しているテーマはデジタルプロダクトの包括的なマイクロコピーを書くことについてです。マイクロコピーを書くことは、私が過去のキャリアで避けようとしたことの一つで、こんな風に考えていました。

→ 私はビジュアルデザイナーで、コピーは私の問題ではない、
→ 私よりも、コピーを書くのが上人がたくさんいるし、
→ 誰が修正してくれるだろう。

以前、逆転の発想：英語が第二言語としてUXライターになる強みと利点という記事を書いてから、UXライティングについてよく考えるようになりました。この記事の中で、ノン・ネイティブスピーカーのUXライターであるKaliya Anevaは、コピーやコンテンツを理解しやすくするのはノン・ネイティブスピーカーにとっての課題だと語っています。私はその言葉にとても感銘を受けました。今はUXライティングを継続的に改善したいと思っています。

今回は英語で包括的でアクセシブルなデジタルプロダクトのコピーの書き方、ヒントやアドバイスをまとめたいと思います。これらが皆様のお役に立てば幸いです。

まずは、文章を声に出して読むことが大切です。

 頭の中だけではなく、大きな声で、口を動かして、音を立て文章を聞いてみてください。

優れたUXライティングの最初の目標は、使いやすさです。 デジタル・プロダクトに個性のようなバリューを与える前に使いやすさ、読みやすさに注目してみてください。コピーはすべての人のために機能する必要があることを意味します。

デジタル・プロダクトに取り組んでいるUXライターにとって、インターフェイスのデザイン内でコピーを声に出して読む作業は二重に役立ちます。 これは、この手法がスクリーンリーダーの動作のかなり良い近似であるためです。 聞くことで、UXの記述が改善され、プロダクトがより使いやすくなります。

デジタルプロダクト・デザインの命名法は、ユーザーという1つの単語に基づいています。 

ユーザー体験。 ユーザーテスト。 ユーザー調査。
その一言は、明白であるが重要な真実を隠すことがあります。

ユーザーは人です。 そして、人によってさまざまなニーズを必要とします。例えば視覚障害があり、 フォントサイズを大きくしないと見辛い人もいます。 また認知障害がある方々、そして私のように英語を第二言語としている人もいます。

包括的でアクセス可能なUXライティングにするために、文章を声に出して読んでみてください。これはとても簡単なテクニックですが、よく機能します。音を聞くことで見逃したかもしれない接続詞や、流れをスムーズに修正することができます。

明確に書きましょう。

UXライティングには、分かりやすく書く技術と、人間らしく書く技術が必要だと言われています。

ダイバーシティが進むこの世の中、高齢者、障がい者、LGBT、外国人および外国出身者などの方々に配慮し、多様な人々を包摂するという視点がとても重視されつつある現在、それに対応した文章を書くには、誰にもわかりやすく簡潔であるべきだとされています。

実際に外国人である私がわかりにくいと思う言い回しや、略語は多様性をカバーできてはいないのではないか？という考え方を取ることができるようになってからは、逆にネイティブのUXデザイナーに対してフィードバックを与えられるようになり、UX向上に貢献ができていると思えるようになったのです。

クリエーティブさよりも、明快なことが大切です。これは優れたUXライティングのバックボーンです。簡単で理解しやすい単語を選び、より短い文章を作りましょう。

適切な句読点を使用し、より読みやすさ、使いやすさに注目します。言葉遊び、イディオムなどには特に注意しましょう。

日本の広告で楽しい見出しやタグラインは広告で機能するかもしれませんが、 デジタルプロダクト内では、混乱を招き、翻訳が難しいことがよくあります。

Tagline: There's a beach out there for everyone in Okinawa
沖縄にはみんなのためのビーチがあります。
CTA: Find my beach
自分のビーチを探そう！

よりも

Tagline: Explore Beach Resorts in Okinawa
沖縄のビーチリゾートを探索しよう！
CTA: Search now
検索

包括的言語とは？

包括的なUXライティングは障害者差別、人種差別、性差別、固定観念は避けて書かれています。

人として人に手紙を書くようにコピーを書きましょう。それには代名詞を尊重することが大切です。

すべてのユーザーに当てはまる言葉を使用してください。

Question: Will your husband be joining you?
質問：あなたの夫は参加しますか？
CTA: Yes  or No
はい、いいえ

よりも

Question: Will someone else be joining you?
他に誰か参加しますか？
CTA: Yes  or No
はい、いいえ

すべてのユース・ケースを尊重しましょう。

同じプロダクトの全く同じフローであっても、ユーザーのニーズと感情は大きく異なる可能性があります。 

例えば、同じカーレンタルをする場合でも、Aさんは新しいパートナーとロード・トリップを考えていて、楽しみにしているかもしれまん。逆にBさんは引っ越しを考えていて、レンタカーの予約を考えている可能性もあります。優れたUXライティングは両方のケースを考えて書かれている必要があります。

妊娠を調べる排卵トラッカーなどを使うユースケースの場合でも、多くのケースでそれは祝うものだと捉えますが、妊娠を避けるために排卵トラッカーを使用している人々もいます。全員を含めるということは、多くの場合、抑制して書くことを意味します。

Congratulations! Based on what you told us, you're probably pregnant.
おめでとうございます！ データに基づくと、妊娠している可能性があります。
After you're done smiling and celebrating, we'll help you understand what to expect next.
笑顔でお祝いし終わったら、次に何を期待するかを理解するお手伝いをさせてください。

よりも

Based on what you told us, you're probably pregnant.
データに基づくと、妊娠している可能性があります。
We'll help you understand what to expect next.
次に何を期待するかを理解するお手伝いをさせてください。

ニュートラルなプレースホルダーテキストを使用しましょう。

プレースホルダー・テキストは、インターフェイスの説明に役立ちます。 それはまた、人々に判断されたと感じさせたり、自分自身を比較し始めたりする可能性があります。 この種のUXライティングは、人々を正しい入力またはフォーマットに向けて動かすときに最も効果的に機能します。 ただし、性別、人種、健康、富などに関する情報を事前に入力することは避けてください。

左：平均的にみんなそのくらい節約しているのか、自分はこんなに節約できていないなどという思いを持たせてしまい、不安感を与えます。
右：ユーザーは単に金額を入力するだけだと感じます。

画像：UX Collective

簡潔なCTA

CTAは個性を加えるのに適切な場所ではありません。
会話のような言い回しは決して機能しません。ユーザーに不安感を与えないようにするためにも正しく、簡潔なボタンである必要があります。

例えば、無料のトライアルのCTAがクレジットカードの詳細を求めるページに進むとがっかりします。

通常のフォーマットですべての書き込みをテストしましょう。

多くのスクリーンリーダーは、太字、イタリック、または色付きのテキストを認識しません。 多くの場合、明確な言い回しや句読点を使用してアイデアや情報を強調させますが、それらを使わずに書くほうが簡単です。 色やさまざまなタイプのスタイルで書くことを選択した場合は、それらを取り除いても書き込みが機能することを確認してください。 

余分なフォーマットを削除しても、テキストの意味が変わることはありません。

画像：UX Collective

すべてのインターフェースに意味のある言葉を使用しましょう。

さまざまなデバイス、ブラウザ、アクセシビリティツールを使用している人々のために書いてください。 1種類のユーザーにのみ適用されるものをすべて取り除きます。 つまり、「クリック」や「タップ」などのプラットフォーム固有の動詞を捨てることを意味します。 また、「右側」のような方向性のある言葉を削除することも意味します。

優れたUXライティングは、UIを説明しようとするべきではありません。 また、スクリーンリーダーを使用している人にとって、方向性のある言葉はあまり意味がありません。

「クリック」という言葉は、マウスを使用している人にのみ適用されます。 「下below」という言葉はデザインを弱くし、特定のユーザーを除外します。

画像：UX Collective

代替テキストとキャプションを追加しましょう。

一部のUXライティングは、舞台裏で機能します。 プロダクトのビジュアル・インターフェイスにはありませんが、それを必要とするユーザーを支援するためにあります。すべての画像には代替テキストが必要です。 すべての動画にはキャプションが必要です。プロダクト・チームやエンジニアリング・チームと協力して、これらのものを追加してください。

代替テキストは、スクリーンリーダーを使用しているユーザーがすべての画像の簡単な説明を取得するのに役立ちます。 ビデオキャプションは、難聴の人に役立ちます。

はっきりと明確に書きましょう。

平凡でシンプルな書き方が一番伝わりやすく、ユーザーに明確に伝わります。

文章をシンプル、直接的、明確、読みやすくしたい場合は、意識して能動態で文を書くことを勧められています。 私は常に自分の文章に自信が持てないので、能動態を使用することを心がけています。

能動態で書くということは、主語が「行動する」文を構成することを意味します。私たちが英語を習いはじめに一番最初に習う文章の構成が能動態です。どんなユーザーでも素早く理解できるようにするには、能動態で短く書いたほうが流し読みしやすいのです。

シンプルで私たちに一番馴染みがある能動態を使うことで、文章が明確になり、文章の説得力が増します。ニューヨーク市立大学リーマン校の教授であったチッヒー氏は「ライティングの専門家は、圧倒的に能動態を好む。なぜなら能動態は直接的で、明確で、自然であるからである。受動態の過度の使用は、文体を弱くし、責任を曖昧にする」と指摘しています。

能動態：I threw the ball.
受動態：The ball was thrown by me.

英語ではアクティブボイスと呼ばれています。言葉通り、能動態の文章にはエネルギーと直接性があり、それ書かれた文章は、受動態の文章よりも言葉が少なくなります。不要な単語をカットすると常に文章が改善されます。

Generate human centric microcopy for all purposes.
人間中心のマイクロコピー・ジェネレーター

Speak Human

まとめ

覚えておきたいことは、言語は進化していくということです。

包括的なUXライティングは、その進化を形作るのに役立ちます。今日のインターフェースでの思慮深い記述は、人々の明日の考え方や行動に影響を与える可能性があります。 

［参考資料］

How to write inclusive, accessible digital products

私も、色々勉強中なので、皆さまの、ご意見・ご感想をお聞かせください。お読み頂きまして、ありがとうございました。

メルボルンを拠点にプロダクトデザイナーとして働いています。 主にデジタル・プロダクトの制作に携わっています。