CTOと話してわかってきた「魅力的なエンジニア組織」と感じる9つの要素
エンジニア版の採用ピッチ資料を記事として制作する「kiitok review」ですが、ここ1ヶ月で新たにAnyflow、Kanmu、メダップ、キャディ、Voicyの各社さまの開発チームのレビュー記事を制作しました。
(制作済みのレビュー記事の一覧はこちら)
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毎回各社のCTOや技術責任者の方とお話をさせていただく中で、みえてきた「魅力的なエンジニア組織」の要素を9つにして言語化してみました。
1.ユーザーに喜ばれる開発に時間を使えているチーム
エンジニアなら、一度は経験があるユーザーに求められないものをつくってしまう徒労感。逆に、開発したプロダクトや機能をユーザーに喜んで使ってもらえた時の幸福感。
エンジニアとして苦労してつくった機能をより多くの人に喜んでもらえる環境があるチームは魅力的です。もちろん、そういったものをつくらないとサービスは良くならないし、事業も伸びません。
そこでユーザーに喜んでもらえるものをつくるために、ユーザーのインサイトを解像度高く理解した上でプロダクト開発に臨むフローや文化をもった上で、ユーザーからフィードバックをもらいながらものづくりに挑める環境は魅力的です。(Voicyなどは熱いファンと一緒にプロダクト開発に臨める環境があります)
インビューした中でも顧客ドリブンでのプロダクト開発に取り組むKanmuのCTO伊藤さんの印象的な発言をピックしておきます。
Kanmuの記事はこちらから
2.改善が「強く」仕組み化されているチーム
スクラム開発などが定着していることもあり、エンジニア組織は一般的な他の組織よりも改善自体が仕組み化されている組織体です。
ただ言葉だけではなく、より「強く」改善が仕組み化されている、徹底されている組織は魅力的です。
記事でも紹介したラクスルのケースでは、毎週の振り返りの品質を向上させるために、Slackにretroチャンネルを設け、課題自体の蓄積をすることで、質の向上にトライしています。
またAnyflowは創業メンバーが全員エンジニアということもあり「問題の原因は仕組みに有り」の考えが徹底されています。例えばZoomの会議のHowtoを一つとっても、小さいな改善が短サイクルでまわっています。
Anyflowの改善の取り組みはこちらの記事から
改善自体は当たり前ですが、それが強いチームは相対的に魅力的と感じられます。
3.テクノロジーで業務改善を推進できるチーム
エンジニア組織だけではなく、非エンジニア職も含めてテクノロジーによる業務改善・業務効率が推進されているチームは魅力的です。
例えば非エンジニアメンバーがSQLを書けることによって、一緒に仕事をするパートナーとしてストレスが減る。エンジニアとしてより生産的な仕事に集中できるなどのリターンがあります。
本質的にはテクノロジーに強いことではなく「生産性の最大化に投資するカルチャー」自体が魅力的な部分だと言い換えることもできます。
例えばですが、Kanmuでは、社員がSQLやGASを使いこなすだけではなく、月に1回「Tech Day」と題して、その日1日を投資して、テクノロジーを活用した業務改善に社員全員で取り組んでいます。
ここに投資するスタンスがいいですね。Kanmuの記事はこちらから
4.複利で効くものに惜しまずに投資するチーム
短期的な目線で考えると投資対効果があわないが、長期的にみると十分に回収可能であり、複利でジワジワと効いてくるものがあります。
例えば、設計へのこだわり、テスト環境、自動化環境など、手を抜くこともできるし、後回しすることもできます。このようなイニシャルでの効果は大きくないが、複利で効くものに投資し、将来的な負債を軽くする取り組みをしているチームは魅力的です。
これは本質的には、短期目線ではなく、長期的目線に立った上で正しい投資判断ができる表れでもあるのかもしれません。
リーガルテックのモンテスキューの複利への投資文化。記事はこちら
5.難易度が高い技術課題に挑戦しているチーム
スポーツでも強い相手と戦うが楽しかったりします。ゲームでも、簡単なゲームでは飽きてしまいます。事業づくりやプロダクトづくりにおいても同様のことが言えます。
例えば印刷や物流などのレガシーな産業のDXは、複雑な事業構造を紐解くことが求められます。大病院向けのCRMを開発するメダップも同様に非常にレガシーな産業と向き合ったサービス開発が求められます。
また製造業向けの受発注プラットフォームを展開するキャディでは、業界自体の複雑性に加えて、技術的にも非常に難易度の高いチャレンジに挑戦しています。キャディのアルゴリズムエンジニアには、世界で誰もやっていない、論文もほとんどでてない不確実性の高い領域でチャレンジが求められています。
「難しいからこそ、面白い」
より高みを目指すエンジニアとっては共通するインサイトの一つだと思いますが、これにチャレンジしているチームは魅力的です。
キャディの技術的挑戦のひとつ。キャディの記事はこちら
6.成長の刺激になる強いメンバーがいるチーム
技術者として学べる存在がいること。議論によって自分の考えを昇華できるパートナーがいることは重要です。
エンジニアとして強いメンバーがいることはもちろん魅力的ですが、経営者、プロダクトマネージャー、デザイナー、ビズデブなど職種にこだわらず、学べる存在がいることは重要なことです。
専門性の高いメンバー、視点の高いメンバー、向き合っている相手の違うメンバーなど、自分だけではない異なる視点によるインプットを得ることでアウトプットの質が向上し、結果学びも多くなります。
例えばですが、キャディのCTOの小橋さんは、開発や設計だけではなく高度な思想でチームづくりにも取り組んでおり一緒に働くことで学びが多い方だと感じました。キャディの記事はこちら
7.成長に繋がるポジションを提供しているチーム
「機会は自らつくるもの」というリクルートの江副さんの言葉は個人的には大好きですが、一方で「機会によって成長する」もまた一つの事実だと思います。
CTOやEM、テックリードなどのポジションそのものが重要という意味ではなく、その役割によって得られる仕事経験、責任、裁量こそが魅力の要素です。
例えば、ラクスルではエンジニアのキャリアパスを設計しています。エンジニアとしての経験をベースに、プロダクトサイドへのキャリアもあれば、マネジメントサイドへのキャリアも提供しています。このように一人ひとりの成長に向き合った機会を提供するスタンスこそが魅力の本質かもしれません。
8.インプットもアウトプットも大胆に投資するチーム
技術書の購入、カンファレンスの参加などのインプットへの投資や、勉強会、テックブログ、カンファレンス登壇などのアウトプット推奨はインターネット関連企業であれば、もはや一般的といえます。
その上で、もっと大胆にインプットやアウトプットに投資するチームは魅力的に見えます。例えば、ラクスルでは通常開発を1週間ストップする「Hack Week」、キャディではRustやJavaScriptの社外向けの定期勉強会、また先程紹介したKanmuのTech Dayなどもある意味アウトプットへの大胆な投資といえます。
他にもDMMでは、月100USドルまで自由にAWSやGCPの利用が可能な「AWS・GCP実弾演習場」等の制度があります。DMMの記事はこちら
9.テクノロジーによる事業の成長余白があるチーム
最後に、テクノロジーによって事業の角度もスピードも、もっと成長させられるだけの余白があり、言語化できていることは重要です。
ラクスルであれば、レガシー産業のオペレーションの自動化というテクノロジーによって事業に貢献する大きな余白があります。VRスタートアップのSynamonにも、toB✕VRという事業領域に挑戦しており、技術による事業貢献の余白は非常に大きくあります。
そもそも論として「事業自体に余白がない」ということ自体はあまりないことだと思っています。(マーケットが小さい場合などは別ですが)
つまり本質的には、テクノロジーによる事業成長を描けていて、それを強く信じられている(それだけの材料も持ち合わせている)ことが重要だと思います。
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