ヘルプシーキングで設計開発チームをアップデートしていく
5年後に組織の中核を担える人材を育成することを目的に、浜松地域を中心とした15社以上の企業から次世代のリーダー人材が集い・共に学ぶ『次世代リーダー育成プログラム』。今回は半年間に渡るプログラム(浜松第1期)が修了しましたので、プログラムでの学びや受講後の変化に関して、ヤマハモーターエンジニアリング株式会社の久保さんに伺いました。
「仕事は自分ひとりでやらない」 の本との出会い
ーー2年前にメンバーから3、4人のチームのリーダーになったと聞きました。初めはどのような感じだったのですか?ーー
入社して10年ということで、開発を推進していくリーダーの役割になりました。プレイヤーとマネジメントの2足の草鞋を期待されましたが、以前のプレイヤー時代から、なかなか仕事のやり方を変えることができず、業務が純増することになってしまいました。その結果、納期に影響するほどの業務量を抱え、パンクしてしまった過去もあります。
ーー久保さんにも、そんなことがあったのですね。どのようにその状況を克服しようと思ったのですか?ーー
自分はまだ受けていなかったのですが、所属するパワートレイン開発部が、NOKIOOの法人研修を受けていました。研修を受けていた上長の机の上に、講師の小田木さんの「仕事は自分ひとりでやらない」という本がありました。
本の帯を見たときに、これが自分の仕事のやり方を変える糸口になるのではと、上長に「その本を読ませてください」とすぐにお願いしたのを覚えています。
その後、自分の抱えている課題を知っていた上長から「次世代人材育成プログラムというチーム運営全般のことを学べる研修があるよ」と案内を受け、この研修を受けることになりました。
越境学習の場で理解したヘルプシーキング
ーー事前にヘルプシーキングの本を読んでいたとお伺いしました。実際に研修でその内容を学んでみてどうでしたか?ーー
文字として理解していた部分を、演習で口に出しながら理解することによって、より自分の中に定着した感覚を覚えました。特に、他社の人とのグループ演習の場は、学びが大きかったです。環境や職種が違うメンバーでのワークだったので、ヘルプシーキングが必要な時や、対応策が会社によって違うことが、自分にとっての新しい気付きとなりました。
ーーたしかに、会社が違うと思考の傾向も違い、新しい気づきに繋がりますよね。久保さんが思うヘルプシーキングのポイントは何だと理解しましたか?ーー
言語化すること、それを対話してチームですり合わせること、そして常に"仕事の5つの要素"をアップデートしてメンバーと握り続けることだと思います。
ヘルプシーキングはチームで成果を最大化する手法です。ヘルプシーキングをうまく使いこなすには、状況が変わる中でも、目的である成果やゴールを握り続けることが必要だと感じています。
設計開発の仕事は、登場人物(ステークホルダー)も多く、各所から様々なご依頼が来ます。こうした状況が変わりやすい環境下でも、チームで成果を最大化するには、現状理解が大切だと感じました。
チームの状況を理解するための朝会・夕会の開始
ーーチーム状況を理解することが大切だと気づいた中で、次世代人材育成プログラムで学んだことをどのように実務に生かしていますか?ーー
次世代人材育成プログラムで得たことを踏まえ、チームでの朝会と夕会を開始しました。チームメンバーの業務進捗や、各自の状態を知っておきたいと思ったからです。実際に、始める前よりもチーム状況を把握しやすくなりました。
ただ、現時点では業務の進捗共有がメインなので、メンバーが本当に抱えている課題の深堀りを、今後はもっと実施していきたいと思っています。
ーー最後に一言お願いします。ーー
次世代人材育成プログラムの受講開始直後は、業種などの違いから生じる受講仲間との価値観の違いに戸惑った部分もありましたが、課題の根本は同じであることに、回を重ねて気付きました。皆が同じ方向を向いてると分かり、仲間意識も自然と生まれ、様々な視点からの気づきも増えた気がします。
また自分の職場にはヘルプシーキングを大事に働いている方も多いです。組織内で浸透してきているので、より組織が強くなっているように感じていますし、今後も強くできる一助となれたらと思います。
上長の西野さんから一言
ーー西野さんの机の上に本があったことがきっかけとなり、久保さんが次世代人材育成プログラムの受講にも至りました。この半年の変化を西野さんはどのように見ていましたか?ーー
個人課題分析から改善行動の設定・効果確認のサイクルを実践できる久保さんから、本を借りたいと話があった時には、役割範囲が広がった事で生じた新たな課題を解決したいという気概を感じました。同時に個人課題からチーム課題に思考の範囲が広がった事に嬉しく思いました。
自身の抱える課題解決に直結する研修内容だっただけに吸収も早く、確実に思考や行動に繋げようと、意識の変化も出ています。職種は違っていても抱えている悩みの根幹は共通している事や、解決策のアプローチは色々と存在している事に気づけた事は、自身の引き出しを増やすと同時に、良い刺激になったと思います。
部門で推奨している『チームでの成果最大化』の浸透に向けて研修の経験を活かした久保さんの牽引力に期待しています。
ーー久保さん、西野さん、ありがとうございました!ーー
あとがき
最後まで読んでくださりありがとうございました。
書籍だけでなく、越境の場を通じてヘルプシーキングを体得してくれた久保さん。越境の場の良さを感じてもらって嬉しいです。また、こうやって朝会や夕会の開始も誇らしく思います!私自身も、今回できた横の繋がりも大事にしていきたいと感じました。
インタビュアー|Haruna Yoshida
ライティング|Haruna Yoshida、Saki Aoyama