【第三回】スイムレッスン学びのシェア | 正しい「リカバリ」で抵抗を減らす&推進力を増やす
トライアスロン初心者向け、中でも水泳に苦手意識がある方に向けて、クロールの効率的な泳ぎ方を解説する本シリーズ。
3回目は、クロール全体の動作の中でも重要な「リカバリー」に焦点を当て、スイムレッスンで得た学びを共有します。
リカバリーとは、腕が水中でのプッシュを終えた後、水面上を通って次のキャッチ(水を掴む動作)に繋がるまでの動作を指します。
この部分の動作がスムーズで効率的であることは、泳ぎ全体のパフォーマンスに大きく影響します。
適切なリカバリーを身につけることで、無駄なエネルギー消費を防ぎ、疲労を軽減しながらストロークの推進力を高めることができます。
リカバリーが重要な理由
まず、リカバリーの重要性について具体的に確認しましょう。
この動作が適切でないと、以下のような問題が発生します。
無駄なエネルギー消費
リカバリー中の腕の動きが不自然だと、体全体のバランスを崩し、脚や体幹に余計な負担がかかります。その結果、泳ぎ全体の効率が低下し、疲労が蓄積しやすくなります。ストローク効率の低下
リカバリーがスムーズでない場合、次のキャッチ動作に影響を及ぼし、十分な推進力を得られません。特に、肩や腕に無駄な力が入ることで、リズムが崩れることが多いです。疲労の蓄積
長時間泳ぐ際、肩や首の筋肉に余計な力が入っていると、疲労が早く蓄積してしまいます。これにより、スイムセクションを通して安定したパフォーマンスを維持するのが難しくなります。
効率的なリカバリーのコツ
1. 脱力を意識する
リカバリーの基本は「脱力」にあります。
プッシュを終えた肩周りが自然と前に移動する軌道を探り、その軌道に沿って腕を動かしましょう。
腕全体に力を入れるのではなく、肘を中心としたスムーズな動きを心がけることが重要です。
2. 肘の動きに注目する
リカバリー中の肘の位置と動きは、効率的なクロールに欠かせません。以下の流れを意識しましょう:
プッシュで肘が伸び切った状態(①)
肘が最高点に達する位置(②)※目線の先あたり
入水に向けてまっすぐに下ろす(③)
この三角形を描くような軌道を意識することで、腕の動きをスムーズにしながら前方への推進力を得られます。
3. 上半身体重の活用
効率的な泳ぎのためには、体のバランスを維持することが大切です。
特に上半身の重心を意識し、以下のポイントを押さえましょう:
「みぞおちの少し上」が体重を支える支点(支点#1)
「伸ばした手のひら」が次の支点(支点#2)
体のローリングとともに、肩甲骨から手の先にかけての「面」に対して、重心を支点#1から送る、あるいは逆に返す動きが重要です。
リカバリーを改善するための練習メニュー
効率的なリカバリーを身につけるには、以下の練習メニューが効果的です。
それぞれのメニューは短い距離で行い、動きを確認しながら繰り返すのがポイントです。
1. ストレートアーム
内容:ストレートアームで25m泳ぐ → 折り返しでフォーム確認のスイム25mを行う
回数:計150m(3セット)
目的:リカバリー中の軌道を確認。プッシュ後の肩周りが自然と前に移動する軌道を探り、そちらの軌道で持ってピンと伸ばしたままの腕を回す。脱力かつスムーズな腕の動きを練習。
2. リカバリー→リバース→リカバリー
内容:リカバリー動作を意識しながら25m泳ぐ → フォーム確認スイム25m
回数:計150m(3セット)
目的:動作の繰り返しで、自分なりリカバリーの軌道をしっかりと確認。
3. 静止動作の練習
内容:肘が最高点に達する位置(②)で3秒間静止(静止の間はキックだけで進む)→ 左右交互に行い25m泳ぐ → フォーム確認スイム25m
回数:計150m(3セット)
目的:肘の位置と動きを正確に把握し、効率的な動作を習得。
4. 片手クロール
内容:片手を「気をつけ」した状態で、片手クロールで25m泳ぐ → 折り返しでフォーム確認スイム25m
回数:計150m(3セット)
目的:片手ずつ動作を分解して確認し、フォームの安定性を高める。
まとめ
リカバリー動作を改善することは、効率的なクロールを習得する上で欠かせません。
今回ご紹介したポイントや練習メニューを参考に、日々のトレーニングに取り入れてみてください。
初心者の方は特に、最初から完璧を求めず、少しずつ改善していくことを心がけることが大切です。
リカバリーがスムーズになると、水中での抵抗が減り、推進力が増すのを実感できるはずです。
次回以降も脳筋が通っているスイムスクールでの学びをシェアしていきます。
お楽しみに!!