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東証システム障害の記者会見は1時間40分の消費に見合うコンテンツだった

Twitterでも評判が良かったようで、遅ればせながら視聴。
これは大変に面白い、いや面白いと書くと少々語弊があるというか、一部の方にとって戦々恐々とする事態だったことを考えるとアレな表現なんだけど、学ぶところに溢れる記録でした。


教訓的だったポイントの大枠はTwitter上での意見通りなので、まとめでも探していただくとして、ここからは感じたことを勝手に書きます。ご覧になっている端で、戯言としてお楽しみいただければ笑
あ、ながら消費してくださいね、ずっと見る人なんていないと思うけど、、


世の中の構造として難しく感じたことがありまして。

それは、ジャーナリズムに関わる技術の要求水準と才能の不一致。

今回の問題はシステムベースだから、受け手側において基盤に必要な知識はハードウェアを中心にした電子機器・ネットワーク周りなんだと思うけど、投資が関わる金融システムへの理解も必要で、かつ、問題を構造的に捉える力が必要。最後のスキルは一定水準以上のビジネスに関わるなら必須のポータブルスキルで、おそらくジャーナリズムにおいても汎用性が高いハズ。

一方でアウトプットベースでは大衆をターゲットにした報道になるから、平易な言葉で端的に表す必要もあるし、一般的に表出してくることが予想される疑問を設定したうえで回答として提示できるレベルで(局所的でも)理解して構造的に記事を構成しなきゃいけないんでしょうね。

つまり、会見現場に居合わせる記者の方には、ビジネスにおける必須スキルセット(水準高め)が幅広く備わっていることと、機械周り・投資周りの専門的知識が一定程度に保持されていること、の両立が要求されることになるってワケですよね。

でも、これだけの技術が一個人の中に同居しているのだとしたら、人材市場での価値はそれなりに高くなるハズで、果たしてオールドエコノミーで現場社員という立場で働いている方々への待遇が見合うものなのかはちょっと疑問なのです。


まぁ言ってしまえば、この手の(一般的に)難解なトラブルに対応する機会は稀で、全体最適を考慮すればさほど高いスキルも知識も必要ないのがジャーナリズムにおける大勢なのだろうという話ですよね。

それってジャーナリズムなんでしょうか、って聞きたくなる僕は、あまりに空気が読めてなさすぎるかもしれない。

むしろ昨今の情報流通を考えれば、条件を満たしうる一般の発信者が噛み砕いたものをWeb上に流してしまう方が、記者の人々が無理やり記事にしてしまうよりもクオリティが高くなる可能性が高いですよね。

そういうコンテンツに興味を持ちうる人々がもっと受動的に受け取れるような仕組みが整えば、もはやマスメディアに頼る必要はなくなり、セミプロ的な立場の人々がWeb上に発信するインセンティブも大きくなるなぁ、なんて思いつつ。

別にマスメディアが根本的に不要だと言っているワケではなくて、一部の人々と一部の情報に限っては、メディアを介さずに一次情報に触れてしまうのが一番効率的かつ正確だよね、って話です。


昔、キャリアアドバイザーをしてた時によくあった話なんですけど、英語を勉強してらっしゃる方とかで"通訳になりたい"って方も結構いらっしゃって。報道も"翻訳"的な観点では似た意義を持っている仕事なのかなとか。

で、サイエンス周りとかで顕著な話として、通訳で入ってる方の専門知識が追いつかなくて、結局当事者同士が拙い英語でやり取りした方がよっぽど話が進むってケースが、、、例えるなら、速いネット回線が来てるのに古い規格のルーターがボトルネックになるみたいな。

つまり、情報伝達のプロセスで介在するタスクに関わる人には、伝達するスキルだけではなくて、伝達される情報に対する一定以上の知識が必要で、もはやその知識持ってるなら伝達プロセスタスクを担うの勿体ないよね、ってジレンマだと思っておるのですよ。
同時に、伝達される情報はシーンによって要求される知識が違うから、情報伝達プロセスだけを横断的に担う形で事業化しようとすると部分最適に寄せればキリが無くなって現実的じゃないというのが実態だと。

なので、情報が民主化された現代においては、あらゆる情報を扱う姿勢のプラットフォームは極めて平易ながら要諦を掴んでいない発信しかできなくて、相対的に価値が落ちている、と言えますよね。

情報発信においては、オールドエコノミーの限界がきてると思います。ホントはもっとずっと前から。


しかし、改めて会見に出てらっしゃった東証の皆様、素晴らしかったですね。
捨てたもんじゃない、って表現は甚だ失礼ですけども、なんだか嬉しい気持ちでした。

オールドエスタブリッシュメントな産業だろうと、そこを切り拓いてきた方々は極めて高いスキルを持っている、ってケースの一端だとしたら、なお嬉しいなぁ。

反面、明らかにエマージング・エコノミーに含まれるNewsPicksにはもうちょい頑張ってもらわないとですね。記者のポジションに優秀な方が納得するだけのコストを支払うのは現状だと難しいのかもしれないけど、もうちょっとね。というか、中途半端ならやらない方がいいのでは。


以上、戯言でした笑
お付き合いいただき、ありがとうございました。

末尾ハンコ


読んでいただいてありがとうございます。貴重な時間をいただいていることは自覚しつつ、窮屈にならない程度にやっていきます。