ただ完璧主義をやめただけ③何かと言えばタスクシュート!
わたしの「完璧主義」に大きな風穴を開けたのはタスクシュートだった。私はいまでも何かと言えばタスクシュートだ。それはこのツールが、ツールを使うだけでわたしの人生を変えてしまったからである。
タスクシュートの創始者である大橋悦夫さんと初めて会ったときのことは今でもそれなりに覚えている。
六本木ヒルズで会った。まずわたしの人生にはそういう人がいなかった。わたしが六本木ヒルズに入ったのはそのときが生まれて最初のことだったのである。
おぼろげながらそのとき、大橋さんのノートパソコンの画面の中のタスクシュートを見たと思う。彼はあまりそれを人に見せたくはなさそうにそのときには感じた。
タスクシュートを初めてチラ見したときには、それがどういうものかサッパリわからなかった。それでもそんなものを本当に使っている人間がいるという点では充分に衝撃的だった。
世の中にはそれらしいメソッドやツールがよく宣伝されている。Notionなども今となってはそう珍しいものではない。それでもやはり「ライフハック」というのは実際に運用している現実を見るより、100倍は多くのCMを見るものなのだ。
野口悠紀雄さんの「超」整理法などは、本が出たころには書店に行けば必ず置かれていたし、雑誌でもたびたび大きな扱いを受けていた。
でも本当に書棚にA2の封筒をびっしり並べてある光景は、野口さん当人の書斎の写真しか目にしたことはない。GTDほど有名な手法でも、現実にオムニフォーカスなどを活用している人の様子を見た機会は片手で数えきれる。
京大式カードにアイデアを書き付けてそれを論文なり書籍なりを仕上げたという人の様子にいたっては、私はまだ現物を見たことがない。この先見ることがあっても最大で2人くらいだろう。
これらはそれにしても「超」有名だ。写真ならなんども目撃した。だが「タスクシュート」はそもそも一度も見たことがないものだったし、それを運用している様子が雑誌などに取りあげられたこともないものだった。
大橋さんはいったいこれで本当になにをしているのだろう、とその時はとても不思議に思った。
とはいえわたしが実際にタスクシュートをさわるようになったのはその数年後だ。