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優しそうと言われる夫・冷たそうと言われる妻

私は、いわゆるお堅いような家庭で育ちました。
若い頃、周りから真面目・厳しそうな家と言われることが、思春期だったのか反抗期だったのか、とても嫌でした。
なので、不良っぽい・ヤンチャっぽいような自由そうな男性に惹かれていました。

夫は、元々そのような人で、私の目からはとても新鮮な男性に見えました。
ずっと感情が安定しているように見えて、穏やかそうな性格だと思いました。

私は、昔から感情が不安定だったので、夫がより良く見えていたと思います。

十何年、結婚生活を続けてきてやっとわかったことがありました。

夫は、外では周りから穏やかで優しそうとよく言われていました。

私もそう見えていました。
しかし、家での夫は育児や家族とのやり取りなど、どこかいつも他人目線でした。

夫が子供に怒ったことがないのは、自分以外のことに興味がないからでした。

子供が間違った行いをしていても、夫の口からは、ヘラヘラと「まぁ良いんじゃない〜」とか、子供にその理由も聞かずに「次から気をつけなよ〜」など、適当な定型文の言葉だけしか出てきていませんでした。

近所の人には、夫は謙虚にニコニコと挨拶をしていて、優しそうな旦那さんで良いわね〜とよく言われていました。
家の中だと、無の感情で生返事ばかりで、自分の世界へ入って携帯をずっと触っていた思い出しかないです。

私は、冷たそう・静かそうなどと言われるので、そういう風に見られていた夫が羨ましかったです。

今思えば、夫の真剣な顔を一度も見たことがないような気がします。
どこかいつもうわの空で、父親として・夫としてビジッと決めていた時は、思い返しても思い浮かばないです。

誰かのために、その場だけの見せかけではなく、真剣に何かを考える・行動するということが、妻の私から見ていてなかったように思います。
(実際は、本当に真剣に考えていたかもしれないので、言い切りたくはないです)

最後には、わかってくれていた人がいて救われた気持ちになった出来事がありました。

引っ越しをする前、1人でご近所さんに挨拶まわりをしていました。
嘘をつくのは性に合わないので、
夫がいなくなったこと、
自己破産して家が売られることになること、
それまで人の出入りが度々あり、ご迷惑をおかけすることになること、
などを話しました。

ある家の女性が、ボソッと
「私は(夫の裏の顔を)わかっていたわよ」
と言ってくれました。

引っ越し前日、その女性に「これから頑張ってね」と洗濯洗剤や食器洗剤をいただきました。

とても嬉しかったので、空になった洗剤の容器を、今でも捨てずにとっておいてあります。







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