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2人以上が同じことを褒めてくれたら

今週の道徳での出来事。


今回は「学級しょうかい」という話。話の内容に触れながらも、最後は今のこのクラスの良いところをみんなで考えることになった。


すると
・話し合いが上手くなった
・助け合いができるようになった
・ファーストペンギンになった
 (自分からという意味)
・集中力が上がった
・メリハリがつけられるようになった
・パワー全開で過ごすことができた

と、たくさんの成長をみんなが感じていることが分かった。もうそれだけで嬉しくてお腹いっぱいだったのだが。

授業の本筋からは外れるけれど、ふと気になったので聞いてみた。





「みんなはさ、自分の良いところって知ってる?」


すると、手が挙がったのは3割程度だった。


意外と少ないなぁと感じたと同時に、今日の道徳のねらいである「みんなで協力し合い自分たちの学級をより良くしていこうとする意欲を育てる」は概ね達成できていると判断し、+αで他の学びを進めることにした。



「自分の良いところが全然分からないって人いる?」と聞くと、半分以上の子の手が挙がった。


ある1人の男子を指名し、

「みんなは、〇〇さんの良いところって知ってる?」
と問いかけた。


すると、
「話し合いでいつも意見を最初に出してくれる。」
「困っていたら気づいて声をかけてくれる。」
「めっちゃ優しい。」

とたくさんの意見が出て、自然と拍手が起きた。


このクラスがスタートして半年、子ども同士の関係性もある程度構築されたこの時期に、そして運動会前のこのタイミングを逃したくなかった。



取り入れたのは、自分の良いところを友達に書いてもらうという活動。


「10人にはもらおう。」
「男女関係なく、いつでもどこでも誰とでも。」
「書く時には相手の笑顔を思い浮かべて書こう。」

とは伝えたが、そんなこと言わなくても意欲的に活動を子ども達が進めていた。



子ども達の表情がどんどん明るくなっていく中で、ふと思い出した。


それは、宇宙兄弟という漫画の一場面だ。




大柄でどこか話しかけにくいオーラがあるアンディが、ボスでありフライトディレクターでもあるハガードと話す場面。

ハガード「2人以上に褒められた経験はあるか?」
アンディ「褒められることがほとんどないので…」

後日
アンディ「昔、母親に褒められたことがあって、多分ですけど」

と母親と先輩宇宙飛行士のブライアンに「誰よりもタフな宇宙飛行士になれる」と言われたことを思い出す。

すると



2人以上が同じことを褒めてくれたなら、それは間違いなくお前の真実だ。信じていいんだ。



子どもは絶対に受け取ってくれる。そう信じて伝えることにした。



「2つ以上同じことが書いてあったら、それは絶対にあなたの良いところです。それは、絶対に本当のことだから自信を持ってね。そして、1つしかないことも、きっとあなたの良いところです。ただ、周りのみんながあまり気づいていないだけかもしれません。そして、あなたも気づいていない良いところかもしれません。」と。


「面白いって10こも書かれてる!」
「算数得意ってたくさん書かれてる!」
と2人以上褒めてくれた自分の良いところを噛み締める子ども達。


すると、1人の子が
「先生、俺のところに優しいと1つ書いてあるけど、全然そんなことない。」
と言ったので、


「みんなはどう思う?」と全体に聞くと



「めっちゃ優しいやん。リレーの練習の時にアドバイスくれたやん!」と周りも「うんうん」と声にしながら頷いていた。その子は、恥ずかしくも嬉しそうだった。誰かにとって、その瞬間、あなたは優しかったんだよ。それも、真実だよ。



自分を肯定的に捉えることが難しい子もいる。しかし、誰かに言われたら自信が持てる。自分という存在を仲間が明確にしてくれる。自分の存在意義になる。このクラスの居場所になる。誰かにどう貢献したらいいかが明確になる。そうやって、子ども達の長所を生かしてクラスを作っていけると、個性溢れる面白いクラスに成長するのだと感じた。



みんなの心がホカホカになったところで授業が終わった。




「帰りの用意しよかー!」と声をかけると





「先生は私の良いところ書いてくれないの?」

と女子たちが話かけてきた。



「先生も書いてよ!」
「もしかして書けない?」
「私たちには良いところがないのかー!」

と私をおちょくる子ども達。

「先生、そういう関わり方嫌いじゃない。笑」

と思いながらも、私も一人ひとりに良いところを書くことになった。




仕事は増えたが、とても気持ちの良い一日になった。

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