秋はまだ終わっていない 24/11/21

本当は薩摩芋の天ぷらが食べたかったのである。けれども、薩摩芋の天ぷらは売り切れていた。その時私は確かにがっかりしたのであるが、その空の陳列棚の上に、かぼちゃの天ぷらが陳列されている事に気が付いて、ふと、今日はかぼちゃも悪くないかもしれない、と思った。そうして、一番大きなかぼちゃ天ぷらを購入し、店内の電子レンジで20秒程温め、イートインコーナーに座った。やや熱すぎるぐらいに温まったかぼちゃの天ぷらは少しだけ冷めてから食べたいと思い、まずは落ち着くべく、荷物の中から「死の家の記録」を取り出し、数ページ読もうと思った。数ページ読んだらいよいよ、かぼちゃ天ぷらのお手並み拝見、であった。私は、かぼちゃ天ぷらも案外悪くないと思う。想像以上にホクホクで、薩摩芋に負けない程甘く、いや、寧ろ想定していた薩摩芋の天ぷらよりも遥かに甘く、歩く途中のおやつとしてはもしやかなり優れているのではないか、と思った。結局、ゆっくりかぼちゃの天ぷらを食べて、「死の家の記録」を20ページ程読んでから、また歩き出したのであった。

どうも此頃は歩き足りないと思って、かつ、もう終わりかけている秋を楽しみたくて、今日は、朝から貴生川まで歩いていた。休憩がてらかぼちゃの天ぷらを食べたのは確か10時頃であったと思う。昨日や一昨日の日記にも書いた通り、ここ数日はかなり冷え込んでいる。実際、昨夜は自室の冷え込みも厳しく、寒さで何度か目が覚めた程であった。桜の葉っぱ等はもう散っている。そんな葉の散った木々を見て私はふと、今年は秋らしい事を何回しただろうか、と疑問が湧いた。不意に、秋を見に行きたくなった。そうして今日は歩きに行ったのである。今日は昨日や一昨日と比較して、少しだけ気温が高い日であった。昨日や一昨日の空気は最早冬であったが、今日はそうではなかった。もう背高泡立草は殆ど枯れていて、ピョンピョンと跳ぶバッタも少ないが、それでも、この小春日和とも言えるような天気はまさしく冬で、実際、所々まだ木の葉っぱも残っていた。私は、今日はまだ秋であったと言いたい。未来の私がこの日記を読み返しても、ああ、あの日は秋であった、と振り返ると思う。マフラーが有り難く感じたのは歩き始めの1時間だけであった。

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