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雅楽のことわり、自然を表現する1300年の音楽

「ほぼ日の學校」アドベントカレンダーです。

今回視聴した授業

私にとって「これぞ、ほぼ日の學校!」という授業は、著名なクリエイターや、人気コンテンツの作家や編集者のものではありません。「写真」「茶道」「書道」といった、普通の人にはどこから入門していいかわからないジャンルを扱う回です。実際、「書」については、ほぼ日の學校の授業を聞いた後に、書道博物館を訪れるようになりました。今回、また、これぞほぼ日の學校! という授業に出会いました。「雅楽」です。

雅楽って、とんでもなく面白い!
石田多朗 (作曲家、音楽プロデューサー)

エミー賞を受賞した話題のドラマ「SHOGUN 将軍」でも、使われていた雅楽。その雅楽を担当した作曲家の石田多朗さんが今回の講師です。30歳を超えて雅楽に出合い、今まで慣れ親しんだ音楽とはまるで違う世界であることに気が付き「ワクワクした!」という石田さん。以後、雅楽とはどんな音楽かを考えつづけてきました。今回、超入門者向けに雅楽の魅力を教えてくれます。

公開日:2024.11.29

東京藝術大学で7年間、クラシックや伝承音楽や民族音楽をやられてきて、30歳を過ぎて、突然、雅楽の作曲を依頼されたことで「雅楽」の世界に入られた石田多朗さんの授業です。このnoteでは、伝えられないと思いますが、この授業を聞けば、雅楽を聴きたくなること必至です。

授業で学んだこと

雅楽の成立

1300年間、今の形で受け継がれてきたという雅楽。

大昔 1400年ほど前に
シルクロードを伝ってきた音楽文化が
韓国辺りから日本に流れ込んできて
もともと日本には
国風歌舞(くにぶりのうたまい)
という歌があったんですけど
それとミックスされて
平安中期 8世紀頃に
もう完成した この状態に
なっていたそうです

以下で構成されています。

  • 上に向いてるのが「笙(しょう)」

  • 両手で吹いているのが「篳篥(ひちりき)」

  • 横笛が「龍笛(りゅうてき)」

  • お琴「箏(そう)」

  • ギターのように鳴らしてるのが「楽琵琶(がくびわ)」

  • 横でトントントンと叩く楽器「鞨鼓(かっこ)」

  • 「太鼓(たいこ)」

  • 「鉦鼓(しょうこ)」

石田多朗さんが見つけた「雅楽」の理

石田さんは、雅楽を自然(あるいは自然と人間の中間)を再現したものだといいます。自然を再現することについて、十二単の例がありました。

平安時代に十二単ってありましたよね
十二単のことを調べてみると
当時のおしゃれなポイントは
いかに自然に似てるか 自然に近いか
が大事なポイントだったらしく
例えば 今日は森だとなると
葉っぱの薄緑 緑 土の茶色
あけびの紫色 みたいに森を
月が見えてきたら黄色とか
それを十二単で表現するのが
どうやら一番おしゃれ
自然のコスプレですよね

要するに、音楽として、自然を再現しているというわけです。

雅楽は、指揮者がおらず、みんなが同じ曲をそれぞれの楽器で、ずらして演奏します。自然に例えれば、虫の声、葉のこすれる音、さやさやと流れる水の音、同じ瞬間から一斉に鳴り出すことはありません。雅楽は自然を再現したものだから、音が揃うことがないのです。

森にいて心地いいときって
皆さん思い出すと
鳥がピョーと鳴いてて
風がサーッて
遠くで人が歩いてて
カサカサと足の音が聞こえて
ランダムに音が鳴ると思うんです
自然の中にいて
カエルと鳥と葉っぱが
同時にハッと鳴ったら
「おまえ違うよ」って
絶対言うじゃないですか
「そうじゃないよ」って
ランダムにいろんなものが
鳴ってるのが美しいし
心地よく感じると思うんです

実際、演奏される時も、誰かに向けて演奏するものではないそうです。現代の奏者でも、演奏会で演奏後に頭を下げることに違和感があるそうです。だって、人のために演奏しているわけではないのですから。

石田さんは最初、ただ保守的だから、1300年間変わらなかったのではないか? と考えていたそうですが、今では、変わりゆく自然というものを留めるため、積極的に形態を変えなかったのだと信じているそうです。

雅楽は、ずっと曲の終わりまでテンポを上げ続けて、最後にパタッと終わるそうです。それも石田さんは、自然と言うか、宇宙の理のようなものの再現ではないかと考えられています。

5歳のときの1年間と
(略)
40歳のときの1年間って
体感が全然違うんです
時間でいえば全く同じですけど
体感では半分ぐらいに感じて
それとこのグラフがすごい
連動するように感じていて
雅楽ってめちゃめちゃ具体的に
自分たちの生活や自然を
表現してるんじゃないかと思いました

雅楽の楽しみ方

自然、あるいは、自然と人間の中間を表現するものなので、それをそのまま楽しめばいいそうです。同じ海を見ても、悲しさを感じる人もいれば、楽しく感じる人もいる。人が自然と向かう時と同じように受け取ればいい、と。

そういうものであるから、演奏会で、子どもが泣いたり、急に騒がしい音が紛れても、奏者の方は案外気にされないそう。だって、自然は、そこにあるものですから。

感想

授業の最初に聴いた時は、70年代以前の古い横溝正史原作のドラマの後ろに流れるような音楽にちょっと不穏な音に聞こえました。でも、笙のだけを聴くと思いのほか美しいハーモニーで、楽器単体で演奏すればいいのに、と感じました。

授業の後半、再度、同じ音楽を聴いた時には、力強さを感じました。高い音が鳴っているのに、それを森の中、沈黙で耳が痛いようにも受け取れました。地球にある自然を意識したからでしょう。本当に、自分だけの感覚で、空を見るように、森の空気を感じるように聴くことができるのであれば、すごく楽しいことかもしれません。「雅楽」を時々聴いていこうと思います。演奏会にも行ってみたいですね。

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のーどみたかひろ
いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。