「王羲之と蘭亭序」(後期展示)を見てきたよ
3月上旬、台東区の書道博物館の企画展「王羲之と蘭亭序」を見に行きました。
前回の感想はこちら
「王羲之と蘭亭序」展に展示変えがあったと聞き、所用で午前半休を取っていたので、所用の間、約1時間だけ、駆け足で見てきました。
「展示替えなんて、聞いてないよー」と思ったので、今後見落とさないように、Twitterの「書道博物館【公式】」アカウントをフォローしました。
(書道関係者でもないので連絡は来ないのは当たり前)
今回も脳内に筆を持ち、作品の字をなぞってきました。
他の見学者の邪魔にならないように、順番に回ってる人が近づいて来た時には、ちゃんと避けるようにしています。
蘭亭序とは?
好きな作品(字)、なぞった字
今回も定武蘭亭序の流れの書の展示と、その他にも、「頴井本(えいしょうほん)蘭亭序」「游丞相旧蔵(ゆうじょうそうきゅうぞう)蘭亭序 ーー玉泉本ーー」「開皇本蘭亭序」や、4種の蘭亭序の系統を集めた「蘭亭集序」がありました。今回は、ゆっくり見る時間がなかったので、いつもより駆け足で、脳内に筆で、いくつかの書をなぞる作業を行ってきました。
蘭亭序の新たな展示で字をなぞったものは、2つ。
一つ目は、「定武蘭亭序 呉平斎本(ごへいさいほん)」。隣の玉泉本もよかったのですが、呉平斎本のほうが、かすれが少なく多くなぞれそうだったので、呉平斎本に。もう一つは、4種の蘭亭序の系統を集めた蘭亭集序の右から二番目。これは好きな字が多かった。
その他、前回同様に、『日本外史』の著者である頼山陽の「蘭亭序」の力強い字に惹かれて、今回もなぞってきました。
今回で3回目の書道博物館ですが、なぞっていると、払いや点、筆遣いの難しさを感じる箇所は毎回異なります。今回は、最初に打つ点に難しさを感じました。チョンと打つだけだと、たぶん書の通りの字の形にならない。でも例えば、頼山陽の筆を見るとサラサラと書いてる感じ。どんな筆遣いをしてるのか気になります。
頼山陽の字で最初の点の打ち方が特に難しかったのは、「録」と「所」。
故列叙時人録其所述雖世殊事異所
以興懷其致一也後之攬者亦將有感於斯
「其の述ぶる所を録す」の「録」の字と、
「懐(おも)ひを興(おこ)す所以(ゆゑん)」の「所」の字。
この二字の最初の点はどうやって打ってるんでしょう。そして、脳内の筆は筆ペンのように絶えず、墨が流れてきますが、実際にはどう墨をつけて書いてるんだろう? こんだけ筆が走っていて一字一字つけてることはないよね? でもこのかすれのあとにこの字書ける?
そんなことを考えながら、頼山陽の字をなぞっていました。
4種の蘭亭序の系統を集めた蘭亭集序では、右から二番目の展示の書、字の形がとても好きでした。
「竹」「懐」「雖」「盛」「暢」あたりの字がかっこよすぎます。
あと、しんにょうがいい。とてもよい。
「竹」の字で好きなのは、こんな形のやつですね。伝わるかな
蘭亭序の他は、趙之謙(ちょうしけん)の書「楷書五言聯」をなぞってきました。石碑の書から学んで、大家となった人らしい。ダイナミックで、こちらもかっこいい字。
王羲之の楽毅論(がっきろん)もすごくよかった。時間がなかったので、展示部分の半分しかなぞれませんでしたが、もし、書道をはじめたら王羲之の楽毅論だけ手本にして、字を書いてもいいと思ったくらい気に入った形の字が多くありました。ただ、字が小さいので、止め、払い、点の打ち方を学ぶには不適切かもしれません。でも、字の形はこれがいい。
唯一気に入らない字
蘭亭序の中で、前回から気に入らない字が一つあります。短歌をはじめて「詠」という漢字をほぼ毎日のように見ますが、、「詠」の字の崩れかたが気に食わない。こんなやつ。
シャキッとしてほしいんだよなー。筆が乗り始める後半じゃなく、前半だから、もっと永の真ん中の棒を立てて、シャキっとしててほしい。
でも、「王羲之と蘭亭序」展を見て、蘭亭序も王羲之もとても好きになりました。ありがとうございます。今回はなぞれなかった書が多かったので、後記の展示が終了する前(~4/23日)に、もう一度行けるといいな。
次回は、まだ聞いたことがない200円の音声ガイドも聞いてみたいと思います。1時間20分、駆け足の書道博物館でした。