“おいしそう” を感じさせる説明文の作り方(カレー)
食に関する仕事をする予定はありませんが、noteで食事に関わることについて書く時、やはり美味しそうに書きたいものです。
でもこれが簡単じゃない。
以前、食に関する表現が難しいことをnoteに書いたことがありましたが、書いて以降、おいしい表現を収集もしていませんし、美味しそうに食べるシーンも書けていません。
今日は、美味しそうな表現を探る一環として、メニューに書いてある短い説明文を少し見てみたいと思います。以前、カレーの学校に通っていて、カレーに縁があるので、カレーのメニュー説明文に注目したいと思います。
Soup Stock Tokyo
今、カレー専門店以外で、カレーを食べる機会が一番多いのが、Soup Stock Tokyoです。何点か見てみましょう。
東京チキンカレー
まずは説明の前にネーミングですね。一般的なチキンカレーということ、それも多くの人に受け入れられる地名、もっとも人の好みが集約している「東京」とつけることで、ド定番であるとわからせてくれます。メインの材料(カシューナッツとヨーグルト)を列挙することで、ずれない味の想像をさせてくれます。説明文は74文字。
ココナッツの冷たいカレー
必須の情報は、メニュー名でわかります。そして、野菜も火が通ったものではなく、フレッシュさがメインであるとのこと。ココナッツミルク、コリアンダー、レモングラスと、それぞれに詳しくなくても、さわやかさが伝わります。説明文は77文字。
茄子と枝豆のサンバール(南インド風野菜のカレー)
こちらはメニュー名に、ベジタリアンカレーとは入れず、「サンバール」という耳慣れないカレーが入っています。説明を読んで初めて「南インド」「ベジタリアンカレー」とわかります。え、本格的なの? と心配になる方向けに「梅干しの酸味」という身近に味が想像できるものを入れて、安心感も感じます。説明文は76文字。
無印良品
レトルトのカレーの代名詞みたいになっちゃいましたね。「無印良品」さん。私も一時期、ハマって食べていました。
素材を生かしたカレー バターチキン
メインの食材であるトマトをどう仕上げたかが最初にあります。さらにスパイスの説明の後、もう一度、メインのトマト自体の説明も加えています。トマトを味わえばいいんだな、という気持ちを作ってくれてます。カレー好きじゃなくても、トマト好きでも手に取りそうですが、このページはきっとカレー好きしか見ませんね。説明文は242文字。
カレーのおいしさより、まるでバターの風味についての説明のようです。それだけバターチキンカレーの想像は、みんなできるよね、と信じているとも言えます。で、みんなが想像できるバターチキンだけど、「甘めの濃厚」なバターチキンですよ、という説明です。あとは、ご飯じゃなくて、ナンと一緒にという食べ方の提案も。説明文は102文字。
無印良品さんで、人気で定番の「グリーン」カレーです。結構辛いです。ページにも、パッケージにも書いてありますが、辛さ:★★★★★です。「タイカレー」であること、でもただ辛いだけでなく、どんな香りと風味かの説明があります。こちらも、ジャスミン米と食べてね、という食べ方の提案があります。説明文は163文字。
中村屋
カレーといえば、「中村屋」さんでしょう。
でも、たぶん一度、食べたことがあるか、ないか、と言った程度。レストランのメニューに説明はないので、こちらもレトルト食品の説明から。
欧風ビーフカリー コク香るビーフの芳醇仕立て
まずは、すでに知られているレトルトシリーズの中の位置づけ説明。本体の説明は半分以降。食材説明のような具体的な内容ではなく、「素材のうま味をギュッと凝縮した濃厚な味わいと、ごろごろと存在感のある具材がお楽しみいただける」といった人によって、感じ方が変わりそうな文章。説明文は246文字(後半の商品のみの説明は129文字)。
インドを旅するインドカリー カレーリーフ香る南インドキーマ
こちらも前半はレトルト食品のシリーズ説明から。南インドの気候とそこに合ったカレーという説明に続き、食材、スパイスの説明が続きます。食材だけで、理解してもらうのは難しいという前提のよう。説明文は256文字(後半の商品のみの説明は177文字)。
スパイス紀行 ビーフルンダン
こちらの説明も、「パンチのある辛味でうま味とコクを引きだす」といった読み手によって、感じ方が変わりそうな説明。ちょっとどんなもんか食べてみたくはなる。説明文は313文字(中段の商品のみの説明は100文字)。
セブンイレブン
いつものメニューから、名店の味の再現まで、カレーについてのチャレンジが目立つ「セブンイレブン」さんの商品説明です。
バターチキンカレー
無印良品さんにもあった通り、もうカレー好きには、バターチキンカレーの味は想像できる前提で短い説明だけです。説明文は26文字。
欧風ビーフカレー
セブンイレブンの定番と言えば、これじゃないでしょうか。ただ欧風ビーフカレーと聞いて、一般の想像するものとは違うようです。欧風ビーフカレーの説明はなく、「30種類のスパイスを使った」刺激的なカレーであることがわかります。説明文は31文字。
豚しゃぶカレー
メインの豚肉の説明、それに続く、ソースの材料と風味の説明です。説明文は77文字。
その他
ファミリーマート
ニュースリリースということもありますが、過去の商品との比較説明があって、その後、食材やスパイスの説明が続き、総括した内容「やみつき感もアップ」「風味豊かな味わいに仕立て」で締められています。
松屋
松屋さん、あれだけカレーに力を入れているんですが情報だけで、カレーの紹介ページには、情報だけで説明文はないんですね。「彩り野菜&ごろごろチキンカレー」「チーズハンバーグオムレツ欧風ビーフカレー」といった名前と写真だけで「わかるよね?」って感じでしょうか。
まとめ
まずは、メニュー名でわからせようということが最初です。
説明文のはじめは、どんなカテゴリーのカレーなのか(国、バターチキン、欧風カレー)が入ります。でも、わからないものもある(サンバール)ので、そういった場合には、最初に、「ベジタリアンカレー」といった想像しやすい代替の説明文が入ります。
次に食材・スパイスの説明が来ますが、食材がイメージしにくい食材なら、それを補完する食材を書きます(Soup Stock Tokyoさんのサンバールの梅干しのように)。さらにスパイスによって、どんな風味に仕上がったかが来る流れが多いようです。中村屋さんはちょっと独特で、食材やスパイスっていってもわからないでしょ、だから、「刺激的」「コクがある」「香ばしい」といった、味が特定しにくい日本語をためらいなく使っています。これはこれでどんな味だろう? と思わせてくれますね。
メニューと説明文を眺めるもの、なかなか、おもしろいですね。カレー以外の食材でも、見てみようかしら。カレー以外って何があるかなぁ。