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「メタバースを始める理由」「成功するビジネスの作り方」のいずれか、もしくは両方を知りたい方へ

2018年にベストセラーになった『お金2.0』の著者、佐藤航陽(さとう かつあき)さんの『世界2.0 メタバースの歩き方と創り方』を読みました。

序章~第5章+終章の構成ですが、なんと本の約5分の1が序章です。

その序章では、メタバースを今始めないでいつ始めるの? とひたすらに煽られます。そういう意味で、すでにメタバース空間で過ごしている方は、読む必要はないかもしれません。

序章

例えば、新しいものに接することをおそれるミドル層やシニア層に、今後、この波に乗り遅れるとどうなるか、過去の技術を持ち出した説明がありました。

企業は、ちょっと投資して、失敗したら一度、離脱します。AIの時もそうでした。特に上場企業は、利害関係者に説明ができないと離脱する他ありません。しかし、上場企業が離れている間に、技術を貯めた企業が生き残ります。投資をやめた企業が再び参入しようとしても手遅れです。

では、GAFAのように、投資を続けた大企業がすべておいしいところを持っていくかというとそうではありません。Googleが検索エンジンを作っていた時、情報はポータルサイトに集まるもので検索エンジンは、付属でした。しかし、Web空間が膨大になり、人が編集する情報より、検索エンジンから情報を探すほうが主流になりました。何が主流になるかを見極められなかったYahoo!は、波に乗り遅れました。

また、技術の流行と定着についての説明もありました。
15歳以下の子どもがどんな遊び方をしているかによって、その後の社会でどんなテクノロジーが普及していくかを高い確率で予測することができると言います。今の子どもたちは、学校から帰るとすぐ、ヘッドセットをつけて、Fortnite(※)に集まっています。実際の世界があるのに、わざわざ仮想空間に入ることが想像できない大人たちとは違い、放課後、空き地に集まるように、子どもたちは仮想空間に集まるのです。電話やテレビが当たり前になったように、自分たちの当たり前が実装されない世界に今後なるでしょうか。

※ “メタバース”というワードの認知につながったEpic Games社が2017年にリリースしたオンラインゲーム

他には、優秀な人たちが集まるGAFAのうちの2社、FacebookとAppleが数兆円単位で投資していくものに、「そんなもんに可能性はない」なんて考えるには無理があるのではないか、と佐藤さんは言います。

ホラーストーリーだけでありません。

日本が取り組むべき理由、日本の強みも教えてくれています。量子コンピュータ、宇宙などへの巨額の投資は米中に追いつけない。けれど、メタバースは、ゲームなどが入り口になっています。日本には、コンテンツを制作できる人材、知財、コンテンツに課金する文化があります。だから、今、メタバースに関わっていこう、と。

ただし、買いたたかれて、人材が海外流出するかも… と脅すことも忘れません。

「メタバース」に関心がある自分だけじゃなく、周りの人にもその重要性に気づいてほしい人は、理由があれこれ書いてある、この序章が参考になるかもしれませんね。

ただ、本の中にも指摘がありますが、最初からビジネス目線で考えたい人はともかく、儲かる儲からないではじめないほうがよさそうです。何をすれば儲かるかはまだ見えない部分も多い。まず、新しい世界を体感することからはじめたほうがいいでしょう。

※メタバース関連イベント

10月18日、note社で、いろんなメタバースといわれる空間にいる人たちが集まって語るイベントがありました。

(イベントレポートはこちら)

格差やコンプレックスを隠して、コミュニケーションができるので、コミュ障と言われる人たちも、現実と違い、積極的にコミュニケーションできると言います。まずは、自分に合うメタバース空間を探して、メタバース空間に飛び込んでみて、コミュニケーションするとから始めてみるとよさそうです。

こちらのイベントは、アーカイブ配信もされているので、興味があれば、視聴してみてください。

第3章

序章以外に、私がおすすめしたいところは、3章です。

「メタバース」を説明するために、「世界」というものが何を指すのか。その定義、構成要素に分解した解説した章になります。

世界とは、「視空間」と「生態系」でできている。

・「視空間」は、「人間(アバター)」と「景色(フィールド)」で構成されている。
・「生態系」には、基本3要素(自律的・有機的・分散的)、価値の3分類(実用的価値・感情的価値・社会的価値)、登場人物(生産者・消費者)がある…

といった具合です。

そして、その後、「世界」を活発にするための解説が、ビジネスやサービス開発をする際の示唆に富んでいます。

例えば、

「世界」には、登場人物としての生産者(価値を作る人)と消費者(価値を感じる人)が必要です。SNSなどでは、動画を発信する人が生産者、その投稿を見聞きしてコメントする人は消費者です。

「世界」を活発にするには、消費者が参加することが必要ですが、良質な生産者がいないと消費者が入ってきません。でも、消費者がいないところには、生産者が入ってこない。というジレンマがあります。

そこで、問題を解決するために、いくつかの解決方法が提示されています。

一つは、「世界」の作り手がまず、生産者を担うケース。任天堂が、ゲーム機と初期段階でのゲーム開発を行い、初期開発したゲームで人が集まったところに、他社からも開発に参入してもらう。

生産者と消費者を兼ねた登場人物を呼び込むケースでは、ソーシャルメディアが紹介されていました。生産者が消費者(閲覧者)を兼ねる例ですね。ショート動画なんかは、生産者が、ヘビーな消費者(閲覧者)にもなっています。

生産者を呼び込むために、生産者に魅力的な道具を配る方法もあります。インスタが画像加工を簡単にする方法を提示したおかげで、これまで高価なソフトがないとできなかったことから、一気に、誰でも画像加工ができるようになり、生産者が増えました。

こうした「世界」の仕組み、「世界」を活発にする仕掛けの解説が、3章のおもしろさです。

メタバースとは関係なく、この章に、ビジネス、サービス開発のヒントが詰まっていました。

さいごに

正直、全部を端から端まで読む必要はないと思います。読みたいところだけつまんで読んでください。ただ、今、メタバース空間にいない人は、まず序章を読んでください。そして、ビジネスに関わるヒントが欲しい人は、3章が必読です。 今は、Kindle Unlimitedにいるので、Kindle Unlimitedに登録していれば、無料で読めます。一度、手に取って、パラパラしてくださいね。そしてきっと近いうちに、メタバース空間でお会いましょう。


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