思考ツールの一つ、ロジック・ブランチを使って登山を計画する #TOCfE
こないだワークショップの一部に、講師の一人として登壇しました。
ワークショップは、思考を助けるのツールの紹介と実践するものでした。
紹介したツールは、「ロジック・ブランチ」と呼ばれるもので、世の中の出来事、身近なものから政治経済のニュースの内容まで、何にでも使えます。個々の事象を因果関係で結んで、事象の構造を明らかにするものです。
私が担当したパートは、ツールのイメージを掴んでもらう目的でした。ロジック・ブランチの形をイメージしていただくこと、作る手順をイメージしてもらうことが第一。
提示するサンプルは、私が好きに作ってよいという依頼だったので、構造を明らかにするだけではなく、問題解決に使うことができたり、計画を立てることにも使えることを伝えたいと思っていました。当日、参加者に提示したサンプルをもとに、ちょっとこのnoteで作ってみましょう。正しい書き方の手順は省きます。
ツール自体の紹介、使い方については、この辺の本から読んでみるといいと思います。
必要なことを書き出す
高尾山みたいな低山しか上ったことがない人が、富士登山の計画を立てるというものです。実際に私は20年前に登ったことがありますが、今回は、11歳の息子と登るため、改めて計画を立てました。20年前のことなんで忘れたことも多いですし…。富士山も高尾山も山であることには変わりありません。まずは、高尾山をイメージして、登山に必要なことをざっくりと書き出してみます。
「山に登る」
「日程を決める」高尾山なら、来週の週末にしよっか…くらいでいいでしょうけど…。
「必要な荷物を洗い出す」
「登山計画を提出する」高尾山であっても遭難の可能性はあります。登山計画は提出しましょう。
あと、高尾山では必要ないですが、富士登山に向けては、
「トレーニングする」
も入れたいところ。
まずは高尾山をイメージして、個々の事象を出してみました。
箱を並べてみる
以下のような形で並べてみます。
並べる箱は、「山に登る」「日程を決める」「必要な荷物を洗い出す」「登山計画を提出する」「トレーニングする」でしたね。
うん、全然、登れる気がしませんね。箱にも、つながりにも疑問が出てきます。でも、書いて、並べたから、疑問が出てきたわけです。まずは、成功としましょう。
で、疑問を書いてみます。
・必要な荷物を洗い出すのはいいけれど、荷物って全部買うんだっけ?
・日程を決めたら、その日に登れるの?
・登山ルートが確か4つあったよね? 何時間かかるんだっけ?
・山小屋って予約しなきゃいけない?
疑問にしたがって、箱を追加して、並べ直してみましょう。
箱を追加して、つながりを見直す
追加した箱はグレーにしています。一つの箱から、複数の結果がつながるものがありますね。最上部の黄色いやつは、下の箱がすべて達成されないと、上の箱につながらないと考えているものです(and 条件)。
これを見て、改めて疑問が出てきます。御来光を見るために夜間に富士山を登る予定です。高尾山よりよっぽど遭難の危険が増します。遭難すると救助ヘリや捜索隊が出て、何百万円も請求されるかもしれません。レジャー向けの保険の加入は必須でしょう。あとトレーニングは、日程を決めた後じゃないと始められないんだっけ?
もう一度、箱を追加して、つながりを見直します。
もう一度、箱を追加して、つながりを見直す
トレーニングって何するの? そういえば今年から入山登録必要らしいよ!(2024年は山梨側だけ)ということで、さらに追加した版(赤字)はこちら。
こんな感じでどんどん、箱を増やし(時に箱の中身を見直し)、つながりも見直します。
予算が決まっていれば、予算に合わせて宿泊や交通費の見直しも必要でしょう。知人から借りれなかったアイテムでも、それが高額ならレンタルを考えたほうがいいかもしれませんね。
ロジック・ブランチの使い方
ツールを使ったことで完全ではありませんが、必要なこと、タスクの前提条件、次のタスクの達成条件、行う順番などが見えてきました。ほとんど準備のいらないような高尾山の登山をイメージするところから始めて、富士登山の準備までイメージすることができました。
結果、私たち(息子と私)は、無事、御来光を見、日本の最高峰 剣ヶ峰に登頂できました!
わからない時は時系列で並べてみる
因果関係で結んでいるので、時系列ではありませんが、とりあえず時系列に並べることで、ある事象が起きた結果、次が起きるという自然に因果関係になっていることもあります。
もちろん、時系列に並べた結果が因果関係になっていないこともあります。例えば、外出するために、「歯磨きをする」「外出着を着る」が必須の場合を考えます。「起床する」→「歯磨きをする」→「外出着を着る」でいいでしょうか? 「歯磨きをする」「外出着を着る」に因果関係はないはずです。習慣的にどちらが先かは決まっているものでしょうけど、どちらを先にしてもいいはずです。
上記のお出かけの例では、どっちでもいいじゃん、と思えますが、富士登山の場合では、間違ったつながりがあることで、日程を決めないとトレーニングが始められないところでしたね。
問題解決にも使える
このツールは、ある結果に対して、複数の原因が存在する構造を見つけることができました。もし、ある結果が望ましくない箱であれば、その手前の箱を見直せば、悪い結果を引き起こさない状況を作れるはずです。残業が多いことに問題を抱えている人が、残業の問題をロジック・ブランチをしたとしましょう。「残業が多い」という結果の手前に、「定時前に各部門からの問い合わせが多い」「私は他人からの頼まれごとを断れない」があったとします。この2つのせいで残業が起きている場合、その一方の原因を変えてしまうことで、結果を起こさせなくすることができます。
「定時前に各部門からの問い合わせが多い」を「問い合わせの受付時間を16時までにする」は一つの解決法でしょう。
また、「他人からの頼まれごとを断れない」なら、きっとあなたはどうやっても断れない性格で、断れない立場なんでしょう。であれば「問い合わせ担当を持ち回り制にする」のはどうでしょう?
どちらか一方の原因を変えてしまうことで、問題(悪い結果)を起こさなくすることができるでしょう。
TOCfE BootCampの紹介
いかができたか? 使ってみたくなりましたか?
私が講師として登壇したイベントのコミュニティでは、対立する事象を解決する「クラウド」、実現の難しい達成目標について見通しのよい計画を立てる「アンビシャス・ターゲット・ツリー」についても、ツールの紹介と実践練習の場を用意しています。ぜひ、これらのツールを使って、よりよい暮らしを手にしましょう。
私もまだまだ練習中です。一緒に、楽しく過ごしやすい人生を目指しましょう!
いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。