航空整備士の仕事に見る機械と人間のファンタジーと、エンジニア倫理 #ほぼ日の學校
「ほぼ日の學校」アドベントカレンダー6日目の授業紹介は、
ANA 航空整備士 福田さんの「航空整備士が大切にする「正直さ」」です。
今、NHKの朝ドラで『舞いあがれ!』をやってる最中、空を飛ぶ人たちとその仕事に少し目が向いています。その中の航空整備士さんという仕事、航空整備士だけではありませんが、整備士という仕事に対して、昔から不思議な能力の持ち主だな、と感じていました。
個々の機能が違う部品、精密な部品を集めて、つなぎ合わせて、動かすことができる。一部、魔法がかった能力を感じていました。
福田さんの気になったコメント
当たり前ですけど、一括りに「航空整備士」と言えないくらい仕事が分かれてるんですね。
『天空の城ラピュタ』ではパズーがいきなり乗った飛行船で、機械群の中ににもぐりこみ、やるべきことがわかるみたいなシーン。ああいうシーンに憧れます。人類が機械を手にし、それを手なずける側の人間に、自分が持っていない、すごい能力を持っている人たちという目で見てしまいます。
いろんな仕事に分かれてはいますが、きっとこういう人たちは、いきなりボロボロの飛行船に乗せられても、その日のうちに自分の仕事、やるべきことを見つけ出し、冒険に貢献できる人たちでしょう。
ネジを締めるにしても、正しい締める順番、道具の持ち方を知っています。「こういうルールと決まっています。なぜなら~」とすぐに理由も答えることができます。この一つ一つの理由の積み重ねが、飛行機の安全を担保するのでしょう。
これは、エンジニアあるあるですね。
ITのエンジニアも同じです。相手がコンピュータ、物質、機械だから、正直に対応しないといけません。機械は指示した通りの動きません。人に対するよりも、正直に、正直に向き合う必要があります。人には嘘はつけますが、機械につくことはできません。機械にしたことを共有するためには、関係者にも嘘はつけません。
我々は、機械ばかりの工業社会の成果の中に生きていますが、そこには、気持ちをもった注意深い人間が介在していることに驚かされます。ジブリ作品の『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『紅の豚』に見られるように、機械と人間が一緒に呼吸をして、そして、機械がすごい力を発揮する姿をあらためて想像すると、その人間と機械のファンタジーがあるように感じます。遠い未来、いやそれは近くにあるのかもしれませんが、機械と機械の間に人間が介在しなくなるかもしれませんが、この整備士の気持ちと技術は倫理規範として、残していきたいと思いました。
機械の間に想いがあるから、人間は空だって飛べる、宇宙にだって行ける、そう思いたい… 残したいという気持ちは、人間側のノスタルジーかもしれませんけど。少しですが、整備士の仕事を垣間見れて、魔法の仕組みを知れた気分になりました。
インタビュアーのくさおいさん、インタビューおつかれさまでした。
ありがとうございました。