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「マンガ編集者、林士平の即答。」(前編) #ほぼ日の學校

「ほぼ日の學校」アドベントカレンダー11日目です。

今日も授業を一つご紹介。

息子(10歳)ともども、お世話になっております。
林士平さんの担当されている作品の中では、特に『チェンソーマン』『ダンダダン』が二人の共通の話題です。

テレビ番組や、ネットの記事で、林士平さんが話されていることを見聞きしたことがあります。すごく考え方がしっかりしていて、ブレの少ない印象です。クリエイティブへの向き合い方もきっと正解に近いところだろう、と感じます。いい作品、売れる作品を作ることの難しさは承知した上で、作品を作るための効率や再現性、試行錯誤していい方向を目指すことをしっかりやられている。

私もいい大人ですが、自分の考えを整理したい、補強したいというより、一から教えていただきたくて、視聴しました。

そして…、勉強になりすぎる…

これ、2回か3回に分けて、noteに書きます。

授業紹介

マンガ編集者、林士平の即答。
林士平 (マンガ編集者)

『チェンソーマン』『SPY×FAMILY』など、数々の大ヒットマンガを担当する編集者、林士平さんに、日本が世界に誇るマンガの最前線を語っていただきます。具体的な質問にも、漠然とした質問にも、切れ味鋭くどんどん答える林さんの即答ぶりがすばらしい。自身もマンガ家志望だった糸井重里と、ほぼ日の永田がどんどん質問します。

マンガ編集者、林士平の即答。 | 林士平 | ほぼ日の學校 (1101.com)

日本のマンガ


世界の人が物語を楽しむじゃないですか
ハリウッド映画だったり

個々の国の小説やドラマを
楽しんでると思うんですけど
小説とマンガはちょっと似てて
個人的な文脈で物語を
世の中に出せるんですよね

ただマンガが小説よりちょっと
国境を越えやすい理由に
絵があると思うので

やっぱり上手い絵描きの人が
国境を簡単に越えていくじゃないですか

僕らもニューヨークやヨーロッパの
有名な画家の絵を見て素敵だなとか
素晴らしいなと思うことも多いので
マンガもビジュアルの力で
国境を越えていく

マンガを描いている国が
そんなに多くないと思うんですよね
たぶん「マンガ」っていう意味では
アメリカはアメコミがあるし
フランスはバンド・デシネがあるし
表現としてはあるんですけど

マンガ・コミックという意味では
そんなに多くの国が
生産してるわけじゃないので
そういう意味では
マンガは日本のお家芸かもしれない

ピクサーもディズニーもそうですが
日本のアニメーションが海外で
より一層アップデートされて
ぜんぜん日本が勝てないクオリティ
のものを作っているのを見ると
マンガもそのうち日本じゃない国が
どんどん元気になって
日本が一番とは言えなくなる瞬間が
あるんじゃなかろうかと思いながら
やれることやっていこうと思ってる

糸井さんも話されてますけど、日本人は、マンガを日常的に摂取して、憧れの職業の一つに「マンガ家」があるって、結構、特異な国ですよね。歴史や層が厚くても、他国に先んじられる日が来る可能性も、ちゃんと作り手側の人が危機感を感じていることは覚えておきたい話です。日本にいたら、いい作品作れるよねー、なんて、甘い考えていていいわけじゃない。

連載開始までの時間

永田
デジタルになったことによって
枠がないので準備も体調管理も
しっかりできるようになった
そりゃそうだなと思ったんですよね


一気に改善されましたね
連載会議終わったらだいたい
2、3か月で連載しろ
と言われるんですよ

でも1話目はページ数が
多いことがあるじゃないですか
50〜60ページは描くぞと
連載会議で決まった瞬間
描き始めないと間に合わない
スケジュールなんですよ

でも連載会議って
いわゆるβテストなので
編集部内の意見が見える
βテストを見た時になるほど
こういうところかかるなと
直したいなと思うじゃないですか
なので天秤にかけるんですよ
締め切りに間に合うかどうか
クオリティの高いのを
入れられるかどうか
それともクリティカルなものを
直すかどうかみたいな
バタバタしながら
始まっていくんですよね

結構それがしんどくて
今だとしっかり議論して
しっかり話数描き溜めて
全体構成見て始めることができる
良くなったは良くなったんですけど
始める時期が決まらなくなった結果
すごい始まるまでに時間かかる
ようになってしまったんですよね

糸井さんが「ゲームとおんなじだー」と言われてましたね。そして、販売してみておもしろくなかったという評価がされるところも。でも、ゲームや映画のように関わる人も多くないし、多額のお金も動かない。この後の話にある、試行錯誤の回数も、途中の調整もできることもマンガのいいところですよね。作品に多額のお金をかけれないところ、これからも、日本のクリエイティブに「マンガ」は欠かせないものですね。

マンガ編集者の担当人数

糸井
総勢って何人ぐらいなんですか?


僕の担当してる作家さん
ということですか?
作家さんがいて僕がいて…
100人前後ですね
100人前後の作家さんと
ずっと打ち合わせしたり
ネーム見たりをやってます

永田
林さんの担当してる…


僕の担当が100人ぐらいです
各編集部員1人につき
大体数10から100人ぐらいいる

永田
はあー!
実際に連載をしてる人は
何人ぐらいですか?


7人ぐらいですかね
90何人ぐらい準備をしている
人たちがいるということですか?


そうですね
準備というかもっと手前ですよ
連載まだ考えられない状態というか
トレーニングしてる段階ですね

永田
その90人はどういう
グラデーションがあるんですか?


僕が分けてる方法は
連載中
連載企画を作ってる人
読み切りの勝負作
数字を取りにいく作品を作ってる人
修行中の読み切りやってる人
賞を狙っている人
に分けてます

糸井
それ以下はもうないわけだね


全員賞を狙ってる人になります

マンガ作品のようなクリエイティブなものを作っているわけではないですが、物語や脚本も作ってみたい気持ちがあるので、参考になります。会社員である私が、作品を作ることだけに時間を費やすことはできないので、まずは他人の目に留まるところを目指していきたいと思います。賞や読み切りにひっかかるもの要素の筆頭に「新規性」があるそうなので、視点なり、テーマなり、あまり人がやっていない分野を掛け合わせ、書いていきたいところ。

読み切りの勝負作とは?

永田
勝負作って何ですか?


連載を取りに行くにあたって
その人が戦える武器が
明確にわかるような何かなので
それが数字だったり
キャラだったり 企画だったり
設定だったり なんですけど
それを作らなきゃ
上に上がっても
戦えない状態なんで
何本か読み切り載せてるけど
全然数字取ってないとなったら
じゃあそろそろ1回ちゃんと
世の中に響くものを作りましょうか
という話をして
いったい世の中に響くというのは
どういうことなんでしょうと議論を
交わしながら連載企画を練り込む

どんな要素があれば、連載作家と戦えるか? というお話。
企画でも、キャラでも、自分の特徴をもっと探っていかないと、ですね。

作家と編集の関係

糸井
編集者はどうやって学んで
成長していくんですか?
新しく入った人とか


オン・ザ・ジョブ・トレーニングという名の…

強制的に作品を担当させて作らせて
うまくいかない経験が
彼・彼女を一人前にしていく

糸井
ああー、そうか
失敗しますもんね必ず


失敗することがすごくいい
経験になるのは間違いないんで
それが人を育てるのもよくわかる

糸井
編集者の失敗は作家の失敗でもあるから
作家の成長の機会でもあるわけですね


そうなんですよね
よくそれも議論になるんですけど
作家は給料がなくなるけど
編集者は給料が出続けるんですよ
ずいぶん安全圏のギャンブルですね
と殺意を向けられてもおかしくない
と僕は思いながらいつも
僕はクリティカルな
割れるジャッジのとき
例えば そのキャラを
生かすのか殺すのかみたいな
最終的なジャッジは
作家さんができるものとして
お渡ししてます
僕はこう思うけど
でもこれを決めていいのは
あなたです あなたの作品なんで
なぜなら その作品が終わった時
一番被害を被るのはあなたなんで
という話でそこはラインを引いて

この話はテレビ番組でも伺った話ですが、作家と編集だけでなく、誰が、どんなリスクを負って、向き合っているか、をしっかり考えておきたいところ。いろんなものを投げうって向き合ってる人は、そこにリスペクトを持たざるを得ないと思うのです。

世の中との感覚のすり合わせ


その時は それを世の中に放って
どういう反応かチェックするので
世の中のジャッジがその瞬間の正解
自分が間違ってたらその正解に
ちゃんと自分を合わせていく
変わっていくという感覚ですかね

糸井
そのサイクルが
1週間単位で回ってるわけだ


1週間単位でも回ってますし
作家の数プラス新人さんの読み切り作品もあるので
僕いままでで一番読み切り作品
発表したのは 年間55作品発表
したことがあって、担当作で
その時はマジでずっと
入稿校了してたんですけど
でもすごく強くなった
感じがしますよね、感性が

これだけの自分が面白いと思った企画を回して
それを世に放つわけじゃないですか
でも3日とかで数字が明確に
わかるんで自分が間違ってたら
修正できるじゃないですか
合ってたと思えば
それは今は使えるルールなんだ
と把握ができるんで
それを年間55回分やれてるんで

私が弱いと思っているところは、フィードバックや評価を自分の仕事や書くものに反映できていないところ。マーケティングの仕事をしているのだから、売れる作品、読まれる文章に関する数字、それがどのように作られているかのツリーくらいは、作って更新しておこう。

まとめ

林士平さんの話、参考になりすぎますね。
まだ3分の1くらいしか視聴してませんけど、お腹いっぱいなので、また数日後に続きを視聴したいと思います。

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のーどみたかひろ
いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。

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