誰か寝てますよー!
あれから、母の様子がおかしくなって、何日くらい経っていただろう。
2、3週間は過ぎていたように思う。
で、そんなある夜の出来事。
私は当時、父と母と同じ部屋で寝ていた。
並びは、父、母、私。
ある夜中、
午前1時か2時かは覚えてはいないけど、
父が急に飛び起きて、
「(母の名前)が、いない!」と、慌て出した。
その声で起きた私。
え?母がいない??
確かに、隣りの布団を触ると誰もいなかった。
「何をしてんのや、、」と、
父が苛立ち、情けなそうに呟いていると、
外から声が聞こえてきた。
「ここで誰か寝てますよー!」
父は、すぐにハッと気づいて、
やっぱり苛立ち情けなそうに文句を言いながら
外に急いで出ていった。
母が家の前の道路で横たわっていたようだった。
家の前は国道で、車もよく通る大きい道だ。
しかし、真夜中で田舎というのもあり、その時は幸い、車は少なかった。
ホントによく轢かれなかったと思う。。
ドライバーさんもびっくりしただろうに。
これ、自分が車に乗れるようになった今に思い返すと、本当に、、ドライバーの立場だったら、すごい恐怖だろうなと思う。
まさかこんなところにってとこに、
しかも真夜中、
暗闇に人が転がってるとかいう恐怖、
もしかして轢いてたかもしれない、自分が人を殺してしまっていたかもしれないという恐怖、、
種類の違う2つの恐怖が襲ってくるなんて、、
ドライバーさんの当時の心中、今更ながらお察しいたします🙏
当時7歳の自分の気持ちを振り返ると、
やっぱりこの出来事は、なかなかの衝撃ではあった。
でも、もしかして母が死んでいたかも、という怖さはあまり感じてなかったと思う。
多分、まだ7歳で、身近に亡くなった人もいなくて、「死」というものを深く実感したことがなかったからかと思う。
それよりも、
田舎の真っ暗な真夜中の暗闇で、しかも自分の母親が、冷たい道に寝転がっているという情景が、子供ながらにとても怖さを感じた。
そして、自分よりも人生を経験してきてる大人、
いつも自分を守ってくれているお母さんが
そんな状態になってしまっていることは、
やっぱりただただ悲しかった。
その後、道路から家に連れ戻された母は泣いていた。
父はやっぱり苛立っていて、そんな母を叱っていた。
私はそのやりとりを、真っ暗な部屋の布団の中で聞いていた。
これは普通ではないんだな、大変なことになってきているんだろうなと、7歳ながらに、心がゾワっとしていた。
それからすぐに、母は入院したと思う。
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