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ぼくたちはメイクができない

世界を変えようとする新しいチャレンジが、いつもダイナミックな見た目をしているとは限らない。

今日ローンチしたメンズスキンケアブランドBULK HOMMEの初となるメイクアップシリーズも、もしかしたら自分が信じているほどの未来を動かすポテンシャルを、傍目には帯びていないのかもしれないと感じる。

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メイクをやる。全社会議で発表したとき、こう説明した。

「現在、男性のメイク市場は非常に小さいが、これから急拡大することは疑う余地がない。日本でもグローバルでもそうだ。ぼくたちが生きているあいだに男性のメイク人口は世界で何億人も増える。そして、日本が世界に先駆けてリードしうるカルチャーである。まずは10年かけて子供を育てるようにBULK HOMMEのメイクアップ事業を成熟させる。そのため、もし売り上げが数年振るわなかったとしても撤退はない

メイクアップに取りかかるのは勇気がいる決断だった。ぼくたちは、スキンケアブランドであるという部分に自身のアイデンティティを据えている。メイクに踏み出すことで、発足から9年かけて築いてきたその価値観が揺るがないか。男性ユーザーの美意識が高まっていることを感じるとはいえ、時期尚早なのではないか。経験のない「粉もの・色もの」分野で、明確にクオリティを追求し、知覚品質まで伴った最終製品へ辿りつけるのか。すべて未知だった。

そして、ぼくは化粧品メーカーを経営しながらもメイクアップに関してはまったくのド素人だったのだ。自分のなかに、メンズメイクユーザーの目線がまったく存在しなかった。

まずは市販されている男性用メイクアイテムをすべて買った。説明書きを読み、Youtubeを見て、用がなければ見たくもない自分の顔と向かい、ひたすら格闘していった。しばらくすると、自分に合う・合わないことを判別する神経が通った。2年のあいだ、取材や登壇が入った日は自分でかならず眉毛を描き足し、BBクリームやコンシーラーで肌を補正した。途中からは自力で到達できる領域を突破するべく、取材のたびプロのヘアメイクさんにお越しいただき詳しく説明を受けながらナチュラルメイクを施してもらった。

処方はプロが設計する。試作の途中経過で何度もひとつひとつの成分の働きを聞いて吟味を重ね、ようやく理想としてイメージしていたメイク初心者から熟練者の誰にとっても使いやすく工数が少ないメイクアップが完成した。トライアンドエラーの過程で、ブランド初となる医薬部外品のアイテムも生まれたのは思わぬ副産物だった。

あくまで「広義のスキンケア」から逸脱しない、クレンジングフリーのラインナップ。そして、ハマる色がない不幸を避けるために用意した豊富なカラーバリエーション。

ひとつひとつの説明はぜひサイトでご覧いただきたい。

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【公式】BULK HOMME|THE MAKEUP
https://make.bulk.co.jp/

男性のためのメイクブランドをつくること自体が、新しい価値観、ライフスタイル、カルチャーを生み出す。そしてそれらは大げさに聞こえるかもしれないが、世界を変えうるチャレンジであるとぼくは心から信じている。

ぼくはこれまで、メイクができなかった。おそらく世の中のほとんどの男性もそうだろう。しかしこれは過去の話となる。男性も抵抗なくビューティの力を活用できる道を拓き、時として容姿が生むネガティブギャップを埋める。近い将来、ぼくたちはそれぞれの必要性やタイミングに合わせ、当たり前の選択肢としてメイクをしている。

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メイクアップを発売すると同時に、初の直営であるフラッグシップ店舗BULK HOMME THE STANDもオープンした。これらのプロジェクトを辛抱強く準備し、やり遂げてくれたのは20代のリーダー2名だ。詳しくはまた後日紹介したい。

まずは関係者のみなさますべてに心から感謝を申し上げます。

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