恋愛小説がなんでおもしろいのか、言語化してみた
みなさんこんにちは!
この記事は、恋愛小説が特に好きなぼくが「なぜ恋愛小説はおもしろいのか」をあえて言語化してみようという試みです。
恋愛小説というと、「甘酸っぱい青春時代を思い出させてくれる!」とか「ひたすら相手を想う主人公の気持ちが成就した瞬間がたまらない!」とか、人によって楽しみ方や感動するところは様々ですが、この記事ではもう少し、読み手としての人間の本性も交えて深ぼっていこうと思います。
ぼくが考えるに、ポイントは大きく3つです。
①恋愛感情には譲れない価値観や信念が最も表れるから
正常な精神を持つ人間には「理性」という強力な武器が備わっています。
そして、理性があるからこそ、正しい善悪の判断ができます。
お年寄りに席を譲ることや落とし物を見つけたときは交番に届けることを”善”だと判断できるのも、道ですれ違った人を殴ることや人のものを勝手に奪うことを”悪”だと判断できるのも、我々人間に「理性」が備わっているからです。
でもどういうわけか、人類にもたらされた史上最強の武器である理性の力が無効化されてしまう(制御不能になってしまう)ことがあります。
それが「人に恋をしている」とき、あるいは「人を愛している」ときです。
そう、「恋」と「愛」が絡むと、人間は理性の牽制を振りほどき途端に厄介な存在になるのです。
「なんでこの人を好きになったのかわからないけど、なんだか惹かれてしまった」という純粋な恋愛感情や、「自分には彼女がいるのにどういうわけか他の人を好きになり、肉体的な関係を持ってしまった…」という不倫のような背信行為が発生するのは、理屈を超えた強い価値観や信念が自分のなかで湧き起ったからではないでしょうか?
つまり、合理的に説明できないけど、自分のなかの”何か”が情熱的に猛威を振るっている状態、とでも言いましょうか?
どう考えても不健全でしかなくこの先に幸せはないと思っているのに不倫に走ってしまう人。思いつめすぎた果てに悲惨な愛欲がらみの刃傷沙汰を起こす人。お互いの愛以外に価値を見出すことができずに挙句の果てに心中する人。いますよね?こういう人。
どんなにテクノロジーが進化しても、便利で快適な世の中になっても、恋愛は(不倫や離婚も)なくならない。
現実世界であろうと、小説の中のフィクションの世界であろうと、「人に恋をしている」とき「人を愛している」ときにこそ、論理や理屈を超越した価値観や信念が最も強く表れるのです。
②第三者視点で無責任に人の感情の揺さぶりを観察できるから
もしかしたら、①の文章を読んで恋愛に対して重苦しい印象を抱いてしまったかもしれませんね。(笑)
ですが、自分が読者という立場で小説の世界を楽しんでいるだけなら、もう少し気楽に考えられるのではないでしょうか?
なぜなら、小説の中の登場人物の恋が成就しようが失恋しようが、現実世界の自分たちには何ら被害がないからです。
もう少しわかりやすくいうと、主人公の男の子があの手この手を駆使して憧れの女の子と付き合おうとしている様子をノーリスクで楽しめるということです。
①でも述べたように、恋愛には理屈を超えた気持ちや感情が大きく反映されますから、恋愛小説を読むと、特等席で人の感情の浮き沈みを無責任に傍観できる背徳感と優越感を味わうことができます。
③つい、その先を想像してしまうから
ぼくは恋愛小説はかなり好きですが、個人的にハッピーエンドで終わる話よりも、バッドエンドで終わる話の方が好きなんですよね。
なぜかというと、ハッピーエンドで終わった場合、ぼくはヒロインたちに対して「これから先もお幸せにな!」としか思えないのですが、バッドエンドで終わった場合は「なぜこの登場人物たちは、こんなラストを迎えなきゃいけなかったんだろう?」とついつい考えてしまい、あれこれと静かな思索に耽ることができるからです。
この二人の恋が成就しなかったのは、お互いの心変わりが原因かもしれない……。それとも、ままならない社会の仕組みや世間の無理解というもっと大きな原因が隠されているのかもしれない……みたいな感じで。(笑)
試合に勝ったときは「なぜ勝てたのか?」はあまり考えませんが、負けてしまった場合は「なぜ負けたのか?」「どうすれば次は勝てるのか?」について考えますよね。
つまり、そういうことです。
さて、いかがだったでしょうか?
かなり抽象的な話になってしまったので「ああ、なんとなくわかるかも」と思っていただけたらうれしいです。
最後に、ぼくが最近読んでおもしろいなと思った恋愛小説を5冊紹介して終わります。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
おまけ:おすすめ恋愛小説5選!
①『破局』(遠野遥さん著)
②『愛じゃないならこれは何』(斜線堂有紀さん著)
③『パラレルワールド・ラブストーリー』(東野圭吾さん著)
④『流浪の月』(凪良ゆうさん著)
※恋愛小説かどうか怪しいですが……
⑤『親指の恋人』(石田衣良さん著)