「宿題なし」で先生は何をする?~振り返りでメタ認知技術を蓄える~
令和5年度より勤務校(公立中学校)で、夏休み、冬休み、そして春休みの長期休暇で「原則として宿題なし」の方針で取り組んでいる。冬休み明けの振り返りを通して、自律的に学習する力を育みたい。
下記、記事の続編で、冬休みを「宿題なし」で過ごした生徒たちの振り返り授業を1時間実施した記録です。
1.教師の目的
「自分で考え、判断し、決定し、行動する」力を持つ自律した生徒を育む。
2.教師の心構え
教師の頭にあるもの「こんな力をつけてほしい」
生徒が自分をありのままに受け入れ、級友の学習の取り組みから新しい視点を見つけメタ認知的技術を学ぶ姿。
教師の頭にあるもの「私はほめ上手」
傾聴し承認(小さな成長をほめる)する。教師から「~すると良い」はNGワードとする。
3.授業の内容
振り返りの授業のポイントを以下に示す。
(1)ありのままの自分を受け入れよう。
◆心理的安全性を高める
駄目な自分はいない、ありのままの自分を受け入れよう。
◆冬休み明けの生徒のようす
否定的な自己評価の嵐!!
冬休みの学習を振り返りをすると生徒からこのような声が聴こえる。
「予定どおり、ワークをすすめることができなかった」
「ついつい、スマホの誘惑に負けて、ゲームをしてしまった」
「学校でやろうと決意したが、いざ机に向かうとやる気がでない」
◆教師の支援
否定的な感情の自分もありのままに受け入れよう。
自分を俯瞰的に見る(自己マスタリー)ことからはじめる。
冬休み明けに、教師が「計画どおり学習をすすめることができましたか?」という問いに、今、どのような感情か。学級全体で共有をする。
学級の大部分が否定的な感情。それって人ならあたりまえだよね。
という振り返りの導入で、心理的安全性を高める。
(2)メタ認知的技術を共有しよう。
級友の「こんな工夫で学習をすすめたよ」という取組みを学級内で共有し、グループ毎に次の学習の戦略を立てることで、メタ認知的技術を取り込む。
「30分学習、5分休憩を繰り返す」
「学習前に計画を確認する」
「学習計画を見えるところに貼る」
「ノートを4分割して取り組む」
「スマホを隠す」などなど
3.今後
次回の定期テスト前にこのメタ認知的技術を思い出させ家庭学習の取り組むことで、メタ認知的行動力を高める。
参考
付録
授業で使用したワークシート