19.家探しのお手伝い
こんばんわ。
本日は回復期リハビリテーション病院での管理業務の中での一コマを綴ります。
脳卒中で入院されていると、元々住んでいた家に退院できない場合がまれにあります。
理由は複数ありますが、次のいずれかが多いような印象です。元々の仕事に戻れない状態となり、社宅や寮を出ないといけない場合、元々の家がバリアフルで住み替えを行う場合、独居であったが生活に何らかのサポートが必要で家族と生活をするため、実家などに戻る場合。などなどでしょうか。
家の条件で必要となることで普段考えてることを載せておこうと思います。
脳卒中という病気の方を中心に関わっているので、半側身体に運動麻痺があり、足には装具、元気な手で杖を使っているような方を想定しています。
バス・トイレ別
お風呂の動作は家の中で行う日常生活の中で最も転倒リスクが高い動作になります。トイレとお風呂が一緒だとどうしても入浴の際に浴槽内への出入りが必要となります。シャワー浴ならまだしも、脳卒中の方である程度麻痺の残られている方がお一人で湯船に跨いで入るのはリスクがあります。また、入浴後にトイレ内が濡れているとトイレに入る際に滑りやすい可能性もあります。また、バス・トイレが一緒の場合は入口に段差も多いですもんね。ここも結構リスクあります。
できれば1階
階段の昇り降りも毎日行うとなると結構な負担です。2階ならまだしも、3階以上となると、エレベーターが欲しくなりますかね。
室内洗濯機置き場
洗濯物を扱いながらベランダに出るのはリスクが高いと思います。特に杖を使われている方は、元気で動きやすい手が杖を持っているので、洗濯物の持ち運びが大変です。できれば家の中で完結できるといいですね。
IH型のキッチン
ここは良し悪し、考え方もあります。脳卒中という病気の特徴に高次脳機能障害、特に注意障害や記憶障害がある場合は、料理中に他のことに気が向いてしまい、火をかけていることを忘れたりしてしまうことがあります。火事になってしまうと非常に危険です。その分、IHだと家事の心配はないですかね。リハビリを兼ねてガスコンロを使う選択もあるので、迷います。
ベッドが入るスペース
布団からの立ちすわりは、やはり足の力がかなり必要なので、毎日のこととなるとベッドで休めた方が屋内動作が楽だと思います。
玄関出入り口の座る場所
ここは椅子の設置でも、上り框の高さでもよいですが、立って靴を脱ぐことは非常に難易度が高いです。安全に座って靴を脱ぎ履きできる環境が必要ですね。一方上り框が高すぎても玄関の出入り大変なので、個々の加減は難しいところです。
フラットな室内
段差はつまづきの原因の最も大きな要因ですね。できるだけフラットに、無意識でも安定して歩ける環境が必要です。コンセント、マット、スリッパなど歩く際に躓きの原因となるものは撤去できるといいですね。
屋外段差の手すり
できれば1階としましたが、2階以上の場合は階段に手すりは必須だと思います。支えとして掴まる、転びそうなときに支えるなど安全に玄関前の移動が可能なように取り付けてあるといいですね。
駅までの距離
我々でもそうですが、より近い方がよいでしょう。歩行速度も発症前と比べると遅くなられていると思いますし、自転車での移動は難しい方が多いです。駅まで徒歩数分(10分以内)が色々なことを考えても理想でしょうか。
飲食店やスーパー
バリアフリーな上記のお店が最寄駅から自宅の間にあるとかなり楽だと思います。再発予防がかなり重要なので、栄養上よいものを食べるために、作るにしろ買うにしろ、手に入りやすい環境は必要ですね。またできればICカードや、クレジットカードなど、現金以外でやり取りできる店が多い方がよい気がしてます。毎回、財布から小銭を出すのも大変ですもんね。
さいごに
おそらく、健常者にとって「便利」と思うものを多く含みつつ、優先的に何が大切かをその方の状態に合わせて検討していくんだと思います。回復期リハビリテーション病院を出られた後は生活の中でリハビリしつつ、社会復帰を目指されます。その方の人生を少しでも良いものにできるように支えられればと。