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先っぽ|2022年は、前に進む年にしたい。

乃木坂しん」の店主・石田伸二と支配人の飛田泰秀が日々考えている日本料理への想いやこれからのことなどを、どのメディアよりも早くお伝えする「乃木坂しんの先っぽ」。新年最初の投稿では、昨年を振り返りながら2022年の抱負を語ってもらいます。

乃木坂しん店主 石田伸二

‟外の目″を持つことを意識し
「まっとうな料理」を続けたい

謹んで新春をお祝い申し上げます。 旧年中はこのnoteをお読みいただいている皆さま、なかにはnoteがきっかけで乃木坂しんにご来店いただいたお客さまもいらっしゃり、オンライン・オフラインでご支援いただき、無事に新年を迎えることができました。誠にありがとうございます。

乃木坂しんは、12月31日まで営業を行ったあと、翌日の元日はおせち料理をお渡しして、2021年業務を無事に終えました。新年は6日から営業させていただいております。少しばかり休養をして、また新しい年に向かいたいと思っております。

2021年は、相変わらずコロナ禍で大変な1年でした。

一方で、乃木坂しんとしては、まったく後ろ向きなことはなくて、ポジティブに取り組めたことが多かったと思っています。

昨年6月11日にオープンから丸5年が経って、ある意味では休む間もなくお店をしてきたなかで、コロナ禍で急に時間ができたわけですが、その時間でいろいろと考えることができました。もしかしたら、自分の料理人人生を振り返っても、これほど考える時間があったのは初めてだったのではないでしょうか。

献立のことを今まで以上に考えて、練られるようになったのは良かったと思っていますし、飛さん(支配人の飛田)と話す時間もコロナ前以上に増えたのも良かったこと。献立のことはもちろん、今後のことを話すことができました。

コロナ禍では、飲食の大切さが精査された気がしています。つまり、飲食として本当に必要なところだけが残ったのではないか。それは、僕がそうあってほしいと願っているというのもあるのですが、乃木坂しんとしてもずっと大事にしてきた「まっとうなことをする」ということも間違ってなかった改めて思うえるようになりました。

もちろん「まっとう」は人によって違うと思うのですが、僕は料理人なので、料理は食材がなければ作ることができないからこそ、食材をきちんと活かした料理を作ることが「まっとう」なことだと考えています。

そのうえで日本料理から逸脱しないように、だけど「乃木坂しん」の料理を生み出していく。「食材から料理が始まる」ということは、日本料理の根底にあるものだと思っています。

そういった意味でもコロナ禍で時間があったからこそ、移動が可能な限り産地に行くようにしました。食材について自分自身で理解するだけでなく、自分が見てきたことをお客さまに説明できるようにしていきたいと思いました。

じっさい昨年は、妙高の奈潟轍さんとは今年何度も山に入って、山菜や天然きのこのことをたくさん教えてもらえましたし、春には富山までホタルイカ漁の見学にもいきました。そう考えると、創業からの5年間より、昨年1年間の方が産地に出てるんじゃないかと思ってます。

また他のお店の日本料理店を食べに行く機会も意識的に増やしました。他のお店の料理を食べると、自分の知らない仕事を見ることができたりして、引き出しが増えていくと思うんです。

それは「パクる」とは違うことで、あくまで手段を学んでいて、その手段を使って自分の表現をしていけば、それはその人の料理といえるんじゃないかと思います。それに、レシピを聞いて同じように作っても、同じ料理を作れるわけではないですから。

2022年になっても、やっていることは意外と変らないですね。

自分の目をより外に向けていきたいです。昨年やっていた産地巡りを続けるのも、食べ歩きを続けるのも、外に目を向けるためのこと。乃木坂しんのカウンターに立つ以外の仕事を増やしていくこともその一つだと思っています。

また、乃木坂しんの料理を楽しんでいただくことで、「日本料理」についてたくさんの方に親しみをもっていただく機会を増やしていきたいと思っています。

今年で、46歳になります。自分のことだけでなく、日本料理界全体のことを考えなければいけない年齢にもなってきますからね。

乃木坂しん店主 石田伸二

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乃木坂しん支配人兼ソムリエ 飛田泰秀

コロナ禍をポジティブに捉え
思い描いたことを実現させる年に

謹んで新春をお祝い申しあげます。 旧年中は大変お世話になり、誠にありがとうございました。noteを日々ご覧いただいております皆さまにおかれましては、今年のお正月も楽しくお過ごしになられたのではないでしょうか。

昨年は、飲食店にとってあいかわらずコロナ禍で大変な一年ではありましたが、一昨年から引き続き、そんななかでも「大丈夫?」と、お店に励ましにいっていらしていただくなど、多くのお客様に支えていただき、新年を迎えることができました。この場をお借りして御礼を申しあげます。

新型コロナウイルス感染症によって、亡くなられた方もいらしゃいますし、今も苦しまれている方や、治療に当たられている医療従事者の方々もいらっしゃりますので、「コロナとは何だったのか?」ということを私たちが決めることはできませんが、「乃木坂しん」にとってだけを考えると「プラスに考えるこができる」と自分たちでは思えています。

たとえば、このnoteやYouTubeを昨年から始めることができたのは、コロナ禍で事業継続に対しての借り入れができるようになったからでもあります。

それまでは、僕たちもそうですが、飲食店全体としてキャッシュフローがなかなか安定せず、2カ月や3カ月という直前の未来を見てやりくりをしてきました。それが、一気に平等に借り入れができることで1年先や2年先の事業を描いて手を打てるようになったのはすごく大きかったと思います。

もちろんこれからその事業計画に沿って成長を目指していくので、大変な道筋ではあるのですが、自分たちの事業を見直して、どう成長していきたいかを考え、それに向けて大きく変わるきっかけになったのは確かです。

ほかにもお弁当やデリバリー、テイクアウトなどコロナ禍がきっかけで一昨年から始めたことををやめずに通常の営業のなかに組み込んだうえで継続し、さらに店の一つの強みになったいうのは、コロナ禍でなければやろうという発想すらなかったことでしょう。

石田も言っていましたが、時間があるからこそ、献立に対してゆっくり丁寧に考える、見つめ直す期間があったのも良かったですし、冒頭のごあいさつでもお話ししたようなお客様とのつながりを感じることができたのもありがたいことでした。

もう2年が経とうとしているコロナ禍で乃木坂しんは、国や都の自粛・時短要請を受けて、お弁当の販売をしたり、時短営業をしながらも、店として動き続けていたのは結果的に良かったと思っています。

料理人殺すに刃物はいらぬ。三日休めばいい」なんて言われることもありますが、乃木坂しんでも店が2連休だったり3連休すると、人もお店も何か鈍るんです。僕はそのたびに、「鈍っているから気をつけろ」と、長期の休み明けのミーテイングでいうんですが、やっぱり休むと何か全体的に鈍くなります。

その鈍っていたものを取り戻すのは意外と大変で、たとえば1カ月も休んでいたら、それは1カ月では取り戻せない。

もちろん、1カ月休んで本を読んだりするのも大事だと思いますが、店を動かし続けた方が、僕たちの結果としては良かったんだと思います。

一昨年から昨年にかけては店として動きながらも、コロナ禍でできた時間を考える時間に充てたことで、次のステージを思い描くことができました。じっさいに、思い描いていた通りにならないことも多いと思うのですが(笑)、そもそも思い通りに描いた通りに物事は進まないですからね。

2022年は、その「思い描いていた未来」に邁進していきたいです。皆さまをあっと驚かせるようなこともやっていきたいと思っています。

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乃木坂しん
東京都港区赤坂8-11-19 エクレール乃木坂1F
☎03-6721-0086
【2021年11月1日よりコース料理の金額が変更になりました】
ランチ(水〜土) 12:00〜15:00(13:00LO、*前日までの予約制)
  おまかせ 10,000円、18,000円、22,000円
ディナー(月〜土) 17:30〜23:00(21:30LO)
     おまかせ 18,000円、22,000円、30,000円
※消費税、サービス料10%別
※緊急事態宣言中などは、夜の営業時間を変更して営業しておりますので、店舗までお問い合わせください。

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構成・文・撮影=江六前一郎

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