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意外と知らない野球の知識:クロスプレー編【これであなたも野球通】

危険なクロスプレーの裏側

草野球で危険なクロスプレーのジャッジに”ヒヤッ”と感じたことはありませんか?プロの世界では本塁上の激しいタックルや、いわゆる「ゲッツー崩し」のスライディングを見なくなって久しいですね。 それもそのはず、現代の野球において選手同士の激しい接触は、派手な見た目以上に多くの議論を呼び、この10年で大きくルールが変わってきています。それらのルールには意外と知らない歴史的背景や意図が隠れているのです。

本塁上のクロスプレーに関わるルール:コリジョンルールとは?

日本のコリジョンルールは、公認野球規則6.01(i) 項に基づいて定められています。このルールは、主に本塁での衝突プレイに関するもので、走者の安全を守ることを目的としています。具体的には、次のような内容が規定されています。

走者の走路を外れることを禁じる
得点を狙う走者が、ボールを保持していない捕手や野手に接触しようとした場合、あるいは接触を避けられたにもかかわらず、最初から接触を意図して走路を外れる行為は禁じられています。この場合、走者はアウトとされ、ボールデッドとなり、他の走者は接触発生時点で占有していた塁に戻らなければなりません。

捕手の走路ブロック行為の禁止
ボールを保持していない状態で、捕手が本塁をブロックする行為も禁止されています。この場合、走者はセーフとされ、接触があっても走者に不利益が生じることなくプレーが進行します。

このルールが初めてMLBに導入されたのは2014年で、導入初年度は本塁でのプレーに関してビデオ判定が92回行われ、そのうち11回の判定が覆されるという状況が発生しました。中には明らかにアウトのタイミングであったにもかかわらず、「捕手が走路を塞いだから」としてセーフの判定が下されることもあり、これが物議を醸すこともありました。2014年9月には、MLBの野球運営部門が「捕手がボールを保持していない状態で本塁をブロックしたとしても、意図的に走路を妨害した明らかな証拠がなければ、走者をセーフにしないように」と通達し、ルールの適用に一定の基準が設けられました。

一方、日本のプロ野球(NPB)では、コリジョンルールが2016年に導入されました。しかし当初は運用や適用に関して異論があり、同年7月に実行委員会での見直しが検討されました。その結果、2016年7月22日より新たな運用基準が適用されることとなり、ルールが明確化されました。また、2018年からはリクエスト制度が導入され、当初はコリジョンルールはリクエストの対象外でしたが、2019年からはリクエスト対象となり、さらに制度が拡大されました。

このように、コリジョンルールは選手の安全を確保するだけでなく、試合の公平性を保つためにも重要な役割を果たしています。特に、捕手と走者の接触が試合の結果に与える影響を考慮し、ルールの適用が慎重に行われる必要があるのです。

審判の視点とルール適用

ここで興味深いのが、実際にコリジョンルールがどのように適用されるかという点です。多くの草野球で言われる「審判が一貫性を欠く」という声も、このルールの曖昧さから生じているのかもしれません。なぜなら、このルールは、選手の行動が規定にどう当てはまるかを判断するのが難しく、場合によってはその判断が試合の勝敗を左右することもあるからです。たとえば、走者がわずかにキャッチャーに接触しても、それが故意でない場合は許容される一方で、あからさまに体をぶつけた場合は反則と見なされることがあります。この微妙なラインを、審判はどう捉えているのか。実際に試合中に遭遇したことがある方も多いのではないでしょうか。

併殺時のクロスプレーに関わるルール:ボナファイド・スライドルール

ボナファイド・スライドルール(公認野球規則6.01(j))は、併殺を試みる塁への走者のスライディングに関する規定です。走者が併殺を防ぐために不正な方法でスライディングを行った場合、審判は守備妨害を宣告し、走者と打者走者の両方をアウトにします。正当なスライディングは、以下の4つの要件を満たす必要があると記述されています。

1. ベースに触れる前からスライディングを開始する(先に地面に触れる)。
2. 足や手でベースに到達しようとする。
3. スライディング終了後、ベースに留まる(本塁を除く)。
4. 野手に接触しようとせず、走路を変更せずにベースに達する。

公認野球規則6.01(j)「併殺を試みる塁へのスライディング」

さらに、走者が意図的に野手に接触を試みる行為(ロールブロックや高い足を上げるなど)は、正当なスライディングとはみなされません。このルールは、MLBで2016年に導入され、日本では2017年に適用されました。併殺プレイ時の安全性を確保し、不正な接触を防ぐための重要な規定です。

ちなみに、このルールは「アトリー・ルール」とも呼ばれ、フィリーズで活躍したチェイス・アトリーが元になっているらしいです。

新たなルール:ブロッキングベース

最近、ブロッキングベースという新たな判定基準が導入されました。これは、野手がボールを持っていない状態で、意図せず走者の進行を妨げてしまう状況に対応するためのものです。このルールが導入された背景には、過去の試合で「野手がベースを塞いだ結果、盗塁が無効になった」といった問題があります。特に、記憶に新しい2023年の横浜DeNAと阪神タイガースの試合では、守備側の選手がボールを持っていないにもかかわらずベースを塞ぎ、走者が妨害されてしまったという事例が発端となりました。(通称:京田ルール)このようなケースが起こると、試合の進行が不公平に感じられます。そのため、ルールの改正が求められるようになったのです。

レアなMLBでのブロッキングベース適用

NPBでの新ルール導入を受け、MLBでも2024年シーズン開幕からブロッキングベースのルールが適用されることが決まりました。マイナーリーグ(MiLB)では数年前からこのルールのテストが行われていたものの、正式導入には至りませんでした。NPBの先行導入を受けて、MLBがこれに追随する形となり、今後は大リーグでも同様のルールが適用されることになっています。基本的にMLBで導入されたルールが数年後に日本に輸入されるパターンが9割以上なので、珍しいケース。

結論:ルールを理解してこそ、試合が面白くなる

コリジョンルールやブロッキングベースのような新たな判定基準は、ただの「安全対策」以上の意味を持っています。それらは、選手の動きや戦術に深く関わっており、試合の進行にも大きな影響を与えています。特に草野球では、これらのルールをうまく使いこなすことが、勝敗に繋がることも多いのです。

そして、これらのルールが引き起こす議論や疑問は、試合をより面白く、より深く理解するきっかけを与えてくれます。ルールの裏に隠された意図を知ることで、試合を観る視点も大きく変わるはずです。野球の奥深さを感じるきっかけになれば嬉しいです!


野毛ペッパーズという草野球チームで「2030年12月31日までにドジャー・スタジアムでプレイする」という目標を持って活動しております。詳しくは下記記事をご覧ください!!




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