雑記【 象の宇宙旅行 (片道切符) 】
浦島太郎は、竜宮城で3年間をどんちゃん過ごしました。
引き止める乙姫に別れを告げて地上に戻ると、家がありません。
むしろ、全ての景色に見覚えがないのです。
それもそのはず。浦島太郎が竜宮城で3年過ごしているうちに、
地上では300年の時が過ぎていたのでした。
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ホラーすぎる。
300年といったら、江戸時代の人間がこの2024年にやってきたみたいなものである。
絶対適応できない。恐怖におののいて
開けるなと言われた玉手箱なんてソッコー開ける。なんか無いのかと藁にもすがる思いで開ける。
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宇宙には
光速の99.5%の速さで移動すると、
移動している者の時間が、止まっている者の時間よりも
ゆっくり流れる、という法則がある。
亜光速のロケットで1年旅行に行って帰ってみたら、地球では10年が過ぎている。
こちらもホラー。
時間は、誰しもに均等に流れている訳ではなく、
各々の条件により、他と関連づく相対的なものとなる。
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【 象の時間、ハエの時間 】
ハエは、映画鑑賞を楽しめない。
映画は昔「活動写真」と呼ばれていた。それは今も同じで、実は連続する写真をパラパラ漫画のように鑑賞しているのだ。
ハエは処理能力が人間より速いので、そのパラパラ漫画はスローモーションで再生され、まるで写真がゆっくり、パラ…、パラ…、と点滅しているように見える。話なんか進まない。つまらない。
映画なんていいから、ポップコーンやらプレッツェルの廃棄を探しに行く。
対して象は、のんびり歩く。
いや、象がのんびりしているのではない。私たちが速いのだ。
象本人は、のんびりしているつもりは無い。彼らの時間の中で、「普通」のスピードで動いているだけだ。
象が映画を見たらどうだろう。パラパラ漫画が速すぎて、よく分からないうちにジャッ、と終わるのかもしれない。
象が楽しめる映画を見たら、私たちはハエの気持ちがわかるかもしれない。パラパラ漫画がゆっくりのんびり、パラ…、パラ…、とめくられて行く。遅々として進まない。
ポップコーンとプレッツェルだけ食べて帰る。
【 頭がいい人の時間 】
私は象だ。
対して、周りの人間はハエのように速い。
私は普通に活動しているだけだけれども、
ハエのみんなから見たら遅い。進まない。イライラされる。
象からみたら、ハエなんか速すぎて見えない、追いつけない。
私は頭の回転が遅い。
一生懸命やっているけれど、周りの人達に追いつけない。
周りの人は、私のことを
一生懸命やっていない、努力が足りない、と評価するだろう。
もっと速いパラパラ漫画を理解できないのか、と。
出来ないのだ。みんな速すぎる。
ハエレベルに頭の回転が速い人は、周りがスローモーションに見えるので、的確な判断や、ミスのない仕事が出来る。人間にバチンと潰されない。
人間はハエになれない。象がハエになるなんて尚更無理だ。
ハエレベルの人は人間を馬鹿にし、
人間レベルの人は象を馬鹿にする。
世界はそうやって、回っている。
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そうか私は、亜光速で地球から離れるロケットに乗っている象なのだ。
私の時間は皆より遅れていく。
窓から見える地球は、時速15,000kmで回り、みんなは10倍速でせわしなく動いている。私には追いつけない、見えない、理解できない。
私の頭の悪さはこれで説明がつく。そういう事だったのだ!
象は亜光速で地球から離れていく。
世界から、皆から。
そして二度と、帰ってこない。
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浦島太郎の世界では
3年を過ごすうちに、地上では100倍の時が流れていた。
つまり、亀と浦島太郎と竜宮城は、
亜光速の10倍の速さで移動していたことになる。アインシュタインも出した舌を巻くだろう。
浦島太郎の両親が太郎の様子を見ることが出来たのなら
まるで止まって見えたはずだ。太郎、何してるの!?
どんちゃんの「ど」くらいで、地上では100年が過ぎ、浦島太郎を知る人はもう居ない。
乙姫様がくれた玉手箱の中にはおそらく、「過ぎ去ったはずの時間」が入っていたのだ。開けなければ、浦島太郎は地上で天寿をまっとう出来た。開ければとたんに浦島太郎は現実の時間を取り戻し、歳をとって命を落とす。
そして鶴になって仙人になった、みたいな話だっけか。
乙姫様は、特殊相対性理論を知っていたのだ。
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ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
※私は専門家ではありません。
ここでいう「特殊相対性理論」は、あくまでも比喩として捉えていただければ幸いです。
一般相対性理論とか絡めだしてしまうともう話違っちゃうので。
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