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日記【 ピーマンとビール 】

こんな目眩は、休職直前の限界期以来だ。
3日も続いている。
朝から色んなところにぶつかったりよろめいたりで、まるでピンボールである。
何かあったか。何をしたか。3日前から遡って考える。
んー、まず動物病院。私は、7キロの猫と大きいケージを運ぶと首が疲れて「頚性目眩」を起こしがちだ。しかし3日間続くのはありえない。
後は横になっていたか、家事をしていたか。
特に変わりない日常、謎は深まるばかりだ。

しかし、何だかんだ考えた挙句、はっとした。
低血糖だ。絶対そうだ。賭けてもいい。

この3日間。私の味覚はバグっている。
甘いかしょっぱいか苦いかのダイレクトな味しかしない。
日本人の繊細な味覚が失われ、
豚骨ラーメンも鴨鍋もおひたしもただの塩味。
チョコレートクッキーは、クッキーの香ばしい味がしない。
烏龍茶は水で、のど飴のハーブは失われた。

そんなだから、食欲がわかなくなってしまったのだ。
何を食べても味がしないか同じ味。美味しくないし、楽しくない。食事もそこそこに、大好きなお菓子すら食べないのだから、身体は飢餓状態だ。
それで朝からピンボールである。

放置すると気持ち悪くなってきてしまうので、あえて味の無いチョコレートを数個食べたら少し落ち着いた。

今日のお昼は肉まんとネオバターロール(フジパンの美味しいやつ)にした。ジャンクだ。
しかし、肉まんは肉の味がしないただの生地まん、
ネオバターロールに至っては味がしない。無味乾燥ならぬ、無味湿潤だ。んー、残念。

まあこれでとりあえずの血糖値は確保されたと思う。

ちょっと困っているのは苦味だ。
普段は苦くないようなものに苦味を感じる。
チョコレートのような、甘いものの後味も苦い。
一体なんなのか。
考えるうちに、これは「味覚の退行」ではないかと思い至った。

子供がピーマンを嫌いなのは
「苦いから」だ。そりゃ大人だって苦い。
しかし、子供の味覚は大人なんかより敏感らしい。
子供が食べるピーマンは、大人が思っている以上に苦い。大嫌いだ。
それが、私の舌に起きていることなのではないか。
つまり、味覚の子供化。「退行」である。
味覚は大人になるにつれ鈍感になり、かつ、ピーマン料理が美味しいという経験も相まって、ピーマンは美味しい!と「退化」していく。
現在の私の味覚は人間の潜在能力を遺憾無く発揮した状態であり、ここから数日で退化していくという事かもしれない。まるで「アルジャーノンに花束を」のようだ。いや、言い過ぎた。

そして「退化」してやっと、塩味に隠れていた出汁の味やクッキーの香ばしさが帰ってくるのではないだろうか。

ところで私はビールがからっきしダメだ。
下戸である前にまずい。あんなのは苦い炭酸だ。
これって、味覚がまだまだピーマン嫌いのお子ちゃまってことなのだろうか?

もちろん、ビールの美味さは味だけではない。のどごしってやつもだし、なによりアルコールで楽しくなったり嫌なことを忘れたり仲間たちでわいわい騒げる。
そういう「経験」が、ビールの美味しさをよりいっそう引き立てるのだろうなと思う。
私は、味覚がお子ちゃまな上に仲間たちでわいわい騒ぐという経験は永遠にしないので、おそらくこれからも、ビールには縁がないだろう。

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いやー、味覚障害は侮れない。

そういえば、小学校の同窓会の参加を募るLINEが来ていた。
担任も来るらしい。
回答期限は11月だが、断ろうかなと考えている。
「今何してるの?」の危険性が非常に高いからだ。
先生には、会ってみたいけどなぁ。

ということで、またビールからは縁遠くなっていくのであった。

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ありがとうございました。

のがの


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