いっさいの甘さのない女が好き――「女王陛下のお気に入り」を見た
私は「女と女の物語」が好きで、追いかけている。
『女王陛下のお気に入り』は日本での公開当時に女女情報において信頼しているTwitterアカウントが「おすすめ」と言っていて気になっていた。
理解しきれていない部分もあるけれどひとまず見たのでぐちゃぐちゃと感想を書く。
期待通り女性同士の恋愛シーンが見られたし、女女激重執着が見られたので好きなやつだった。男が挟まってくるけどマジで無害。女→男への愛が一切ないので。
宮廷の騙し合いバトルみたいなやつ、見てみたかったんだよ……。
アビゲイルの生き様が好き
私はアビゲイルがけっこう好きだ。なぜなら、彼女は誰のことも愛していないし、誰のものにもなる気がないからだ。そこがかっこよくて好き。まっすぐ野望のほうを向いている感じ。
私は誰の奴隷にもならない女が好きなのだ。
アビゲイルはただただ貴族の誇りを保ったまま生き抜こうとしているだけだ。バカな父のせいで没落した自分の立場を取り戻したい。這い上がりたい。そのためならどんなずるいことだってする。
それは生きるために狩るのと一緒で、生存するための戦略で、責められるものではないと思う。嗜好品の悪ではなく、生活必需品としての悪。
夫のほうを一切見ずに戦略を頭の中でめぐらせながら手だけで初夜を終わらせるシーンは笑ったし、めちゃくちゃ彼女らしくて好きだ。
アビゲイルが自分の野望のことしか考えてないところが、間に挟まってくる彼を無害たらしめているのかも。
ただし、うさぎを踏んだことだけは許さない。
そこに愛はあるんかい
私はサラ側の感情があまり読み取れなかった。サラは本当に女王を愛していたのか、それとも政治に介入するために取り入っていただけだったのか。
後者だとしたらあんまりだな、と思う。
言葉やしぐさの端々からサラの愛は伝わるんだけど、いまいち本当なのかどうか確信が持てない。
愛してたんですか? どうなんですか?
女王は自分を支配せず甘やかしてくれる存在に手を伸ばした、だけどその甘い愛は偽りで、女王様は愛を失いました、そういうお話に思えた。
か、かわいそうだ……。あんなにかわいい少女めいたおばちゃまだというのに。
メチャクソ萌えたのが、アビゲイルに嫉妬しているサラに対して女王様が「あがいてるあなたが見たいの」って言ってキスするシーン。
少女みたいにキャピキャピしているひとが急に"""重力"""を見せてくるのでドキドキした。そういうの好き。