サービスとホスピタリティの違い
私は航空会社に勤務し、快適利便の担当を4年間勤めました。
また、新入社員インストラクターや大学生のエアラインスクール講師を経験しました。この経験の中で、『サービス』と『ホスピタリティ』の違いをじっくり考える機会が多くありました。
今回は、私が考える『サービス』と『ホスピタリティ』の違いをお伝えします。
『サービス』とは…
マニュアル上にある程度決められた物であり、お客様がお支払いするお金に対する対価である。サービスは全員もしくは一部の対象にあてはまる。
と考えています。
航空会社で例えると、多頻度で利用いただく顧客へラウンジのサービスがあったり、お手伝いを求められるお客様に対してのお手伝いや車いす貸出のサービスがあります。
飲食店で言うと、布製のおしぼりのサービスや、誕生日のお客様へのバースデープレートのサービスなど。
ホテルで言うと、ウェルカムドリンクのサービスや、多様なアメニティサービスなど。
これらのサービスは基本"無料"と謳われていて、ある程度マニュアル上に決められた物です。
一方で、『ホスピタリティ』とは…
お客様一人一人に合わせて、「心」と「頭」と「体」を使って行動に移すことと考えています。これは、マニュアルにはないですし、行動の大小も問いません。お客様が期待していなかったこと、もしくはこうしてくれたら嬉しいなという事を、言われる前に気付いて行動する事と考えています。
航空会社で言うと、背が高いお客様がカウンターにいらっしゃった際に足元の広い非常口座席をご案内してみたり、ディズニーランドに行くであろうプリンセスのドレスを着たお子様に「いってらっしゃいませ。プリンセス!」と一言添えて、ディズニーっぽい会釈をする事など。
飲食店で言うと、妊娠中のお客様に腰当てのクッションをさりげなく準備したり、汗だくで入店された方に直ぐに冷たいおしぼりとお水を出して「今日は暑いですね。」と一言添える事など。
目の前のお客様の状況を見て、「臨機応変」に対応することです。
ホスピタリティについては、沢山話したい事がありますので次回以降にお話しさせていただきます。
私の持論ですが、お客様は『目的(飛行機に乗る・食事をする・宿泊する)』はもちろんの事ですが、それに伴う『付加価値』を求めます。
お客様がまた利用したい!と思うのは、目的が期待通りもしくは期待以上であることに加えて、『スタッフの対応=ホスピタリティ』が大きく影響していると考えます。
サービス業は、『サービス』と『ホスピタリティ』は必要な対応スキルですが、サービス業以外でも、病院や介護施設、営業など人との関わりがある仕事はすべてにおいて『ホスピタリティ』が必要だと考えます。
そして、これらを必要とする人たち全員が『接遇者』であると考えます。
私は、AI化が進む中で、AIにはこのホスピタリティの発揮は難しいと思っています。なぜなら、『五感』を使わないといけないから。
お客様の様子や表情を『目』で見て、声の調子を『耳』で聞いて、雰囲気を『肌』で感じること、これは人間にしかできない事だと思っています。
だからこそ、サービス業の方々には誇りを持ってお仕事していただきたいです。