【LaLa2024.5月号】狂騒サイレント / 藤原ヒロ先生【読み切り感想】
あらすじ
1920年ハリウッド。スタア目指すリオは、ハリウッドの若きスター・ジャックの初監督作のオーディションに臨む。しかし彼は一目みるだけで候補者たちを落としていく。そんな彼の態度にリオは真正面から反抗する。
すきだったところ
・藤原先生の!新作!うれしい!!!!!
・とにかくリオの天真爛漫さによるコメディでぐいぐいひっぱられて、めちゃくちゃ楽しく読めるのがすごい。鼻につかない強さ。そりゃはっきりもの言う笑顔の女はいいよな!!!!!っていう。
・藤原先生の描かれる男、ほんと~~に顔がよくて大好き。だし、男が彼女に惹かれていく表現、その一瞬の表情がほんとうにめちゃくちゃうまくて藤原先生の描かれる男のその顔が大好き。
・困難からの立ち上がり方が強くてこういう展開は少女漫画っぽさもあって好き。
・馬追いかけるリオよすぎる。それが別にとくに理由もなくて、ただ「体力がある」に終始するのもいい。だからこの撮影についてこられるんだよ、みたいなとこへの伏線。
・藤原先生はこういう天真爛漫女とやれやれ系男のかけあいがとにかくうまくて大好きだし、読み切りだとふたりの関係値に着目してとても丁寧に描けるのでこういうラブコメがもっとたくさんみた~~い……!頼みます。
もうすこしほしかったところ
・これでおわり!?(構成的な意味で)感があった。これ、ラブコメ男女に着目するとめちゃくちゃいいのに、その他の小物がぜんぶ置いてけぼりになってしまっていて惜しかった。ハリウッドも体当たり演技もふたりだけで撮影した映画、も、そしていちばんのラブストーリーもちょっと中途半端で終わってしまっている感がある。たとえば最後はハリウッドで二人三脚で映画を撮る夫婦にして終わる、とか、結局告白してなくない?とか。まさかラブコメがモブたちの「お前たちそういう関係だったんだな~!」がいちばんの盛り上がりで終わるとは思わんじゃん……!?(ふたりの関係値への言及のトップが振り返るとそこ)
・もしかして途中でラブじゃなくてライバルとか相棒にシフトチェンジした……? 最初に「惚れたら終わり」を言ってるのでそこも一貫して最後に対比があってもよかったと思う
・これ、もしかして尺足りなかった……?
・当時の「ハリウッド」が人々にとってどういうものなのか、スタアとはどういう存在なのかがよくわからない。リオの「スターになりたい」が「一攫千金を狙って」なのは途中であかされるけれど、そのページに至るまではどうして「ハリウッドでスター」でなければならないのかわからなくて、最初のページをたとえばリオが初めてハリウッド映画に目を奪われるシーンにするとか、ジャックの銀幕を観るシーンにするとか、そういう「静」で始まってもよかったのでは?と思って。
・そう、これ、最初数ページ読んでタイトルを見直したのだけど、「サイレント」がよくわからなかった。映画が字幕の時代……? だから、上記みたいに最初のページを「サイレント」で始めるとか、もしくはサイレントの部分をもう別の、ドラマティカとか……対比じゃなくてもよかったのかなあと思ったりして。
・序盤の崖からスタントなしで飛び込むのをやりたくて!があとから回収されるのかと思っていたけど、そういうこともなかった、ね……? なんか終盤でリオが怪我でもするのかと思った。違った。
・終盤の盛り上がりがもうひとこえ!だったのかも。総じてすごく楽しく読んだし、絵はうまいし画面は華やかだし人物はいきいきしていて楽しいし、ものすごくすきなんだけど連載狙ってこうなっちゃったのかな……?と思った。そう考えると藤原ヒロさん、設定もりもりで出し渋りする印象あるなと「ユキは地獄に堕ちるのか」思い出しちゃった。あれいまの少年ハナトユメに合いそうだよね。とはいえ巨弾連載!とかで本格派やるのあんまりよくない感じがするな……。プレッシャーだよ……。でも藤原先生のお話読めるのすっごく嬉しい。