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細かいことは気にせずに、とにかく楽しければいい。

念願のトラ車を手に入れた皆さんは、あれこれと妄想しながら毎日を過ごす事でしょう。週末の天気が晴れ予報なら、前々から目をつけていた練習場所に行く予定を立てて金曜日からわくわくしちゃいますよね。まずはこっそりと一人で練習する人が多いです。期待に胸が膨らみますね。

さて、頭では分かっていたものの、いざトライアル自転車にまたがってみると恐らく、ほとんどの人が「何もできない」状態に陥るはずです。イメージトレーニングは完璧だったはずでも、そう簡単にできる訳もありません。その落差にモチベーションが一気に下がる場合もあるでしょう。でも大丈夫。どの分野でも最初からできる人はいません。全員が最初は初心者です。恥ずかしがらずに大いに失敗しまくって転んで笑いましょう。

大人になると「転ぶ」というシチュエーションになることはほとんどありません。上司に怒られることはあっても、上司と取っ組み合いになって投げ飛ばされることはなかなか無いでしょう。私は40近い中年ですが、練習中に転んで地面と仲良くしてしまうとたまらなく可笑しくて、腹の底から大笑いします。童心に帰ると言いますか、凄いカタルシスを感じます。単に私がちょっとマゾヒスティックなのかもしれませんが、トライアラーは転ぶ事をマイナスに捉えている人よりも、楽しんでいる人の方が多い気がしています。

「ダニエルがやりたい」「まずはスタンディングを」「ステアケースは何cmからが初心者だと思われないか」なんて事、考えたりしますよね。特に動画などでは「初心者がまず覚えるべき技」みたいなHow toがたくさん転がっていて、見れば見る程焦ったりします。もちろん憧れを持つ事は非常に大切な事です。例えばダニエルができる様になりたい!と強く思えば、その為の練習に励むことができます。ただ漫然と乗り続けるよりは、具体的な目標・目的を持って練習する方が達成率も上がりますし効率も良いでしょう。ですが、私は「漫然とトラ車に乗ってるだけ」という状態でも、本人がそれで楽しければ良いと思っています。

趣味の世界には必ず「厄介な玄人」と呼ばれる人たちが生息しています。私は割と多趣味なので、どの分野でも出くわして来ました。写真をやっていた時も、釣り、オートバイ、車、楽器などなど・・・彼らは悪気の無い親切心として「結構面倒なアドバイス」をしてくれます。判で押したようにこう言います「こうした方が絶対にもっと楽しいから」と。しかしそのアドバイスは、毒にも薬にもなる事だと私は考えています。

私も本心としては、やはりちゃんとアドバイスを貰いながら成長して、ひとりでも楽しく遊べるくらいに成長して欲しいな。という気持ちがあります。ただし、それは本人が「絶対にコレをやりたい!成長したい!」と内発的に思っている事が大前提です。「トラ車買ったぜ!ちょっと乗ったぜ!難しいぜ!でもなんか乗ってるだけでじゅうぶん楽しいからいいんだぜ!」という人の場合、それはその人なりの楽しみ方で楽しんでいるので、外野がとやかく言わなくてもいいと思うのです。一生ダニエルだけやり続けて楽しい人もいるでしょうし、ステアケース40cm以上はリスクだと考えてそれ以上に挑戦する事すら考えてもいない人もいると思います。私もパレット4枚以上は挑戦するものの、無理してまで成功させたいとはあまり考えていません。

「無理だからと諦めて挑戦してないというマイナス思考では無く、4枚でもじゅうぶん楽しいからそれができれば満足。というプラス思考から導き出された結論」です。

私にとってはステアケースの目標を倍の8枚に設定されたりしたら、それはもう「結構面倒なアドバイス」に感じます。そこを目指そうと思った事も無いですし、その為の練習をしたいとも考えていないからです。つまり、私にとっての「もっと高いところに行けるようになれば更に楽しいよ!」という親切なアドバイスは毒に分類されてしまうのです。反対に、実は内心もっと高いところに上がれるようになりたい!と考えている人にアドバイスをすれば、それは嬉々として聞いてくれるはずです。その人にとってのアドバイスは薬になりますね。まあ、塩梅とか見極めはとても難しいのですが・・・

競技をやらない人、つまり趣味でトライアルをやっている人は「成長したい組」と「現状維持組」とに分けられます。細かい事を言えば加齢と共に衰えは来ますから、現状維持組も微妙に成長は続けないと維持はできませんけどね。趣味ですから、他人からどう見られようが自分が楽しければそれでいいのですよ。ただ、重大な落とし穴がある事だけは気を付けて下さい。致命的な間違いを抱えたままトライアルを始めたり続けていると、楽しさは無くなり、怪我にもつながります。そういった要因を取り除くためには、まずは仲間と一緒に遊ぶ事、ちゃんと整備されている機材を使う事が本当に大切です。

【まとめ】

①楽しいと感じているのであれば、好きに遊べばいいのです。趣味ですから。

②厄介なアドバイスだと感じたら、適当にスルーしましょう。

③全員が成長したいと思っているわけでは無いので、現状維持を楽しむという楽しみ方も大いにアリです。

④ただし、遊ぶ以前の問題を抱えている場合もあるので、適切な機材と一緒に遊ぶ仲間が必要ではあります。



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