見出し画像

今週のニュージーランドの新聞記事より- チャータースクールに反対する教師の組合、それに反論する文部省の政治家

また週末ですね。嬉しい反面、(また1週間歳とったか)なんて思います。笑  今回の新聞記事は「チャータースクールについて」。

元記事はこちらです。

チャータースクールというのは、ご存知の方もいると思いますが、非営利団体が独自のカリキュラムで運営し、政府と契約を結んで、その中にある目標を達するという条件の下、政府の資金援助を受けるものです。(目標を達成しなければ、政府の援助は切られる訳です。)

こちらのWikipediaの説明も参照してください。

いつもニュースを読んでいる訳ではないので、間違っているかもしれませんが、チャータースクールが最近ニュージーランドで取り沙汰されている背景には、ニュージーランドの教育システムが上手くいっていない、という事実があります。

生徒の出席率も低いし、目標としている学力をつけていない生徒の数が増加している。中退する生徒も多い。
(学力を付けずに学校教育を終わってしまうと、統計的にみて、就職率が低い、就職しても収入が低い、犯罪率が高い、次の世代へもネガティブな影響を与える、と更なる負のスパイラルに乗ってしまいます。)

こんな状況を解決すべく、もっと柔軟なカリキュラムを用意し、学校の特色を出して、子供にあった教育を提供する場を作る。
それにより、学力を上げ、中退率を減らす。
そんな目的の為に運営されるのが、チャータースクールなのだと思います。

組合の懸念は、
「チャータースクールが広まる事によって、公立の学校の教員のプロフェッショナリズムを損なう」
「チャータースクールは生徒あたりの経費が高く、政府の資金がチャータースクールに流れることで、公立学校の教員のサラリーが減る」
「今までの経験から、チャータースクールは非効率的で、上手くいかなかったことがわかっている」
という事。

確かに、公立学校のカリキュラムに沿っていると、「自由度が少ない」、「事務的な仕事が多い」、「給料が低い」という不満のある教師も多いのでは。
そういう人たちが、チャータースクールに流れてしまう事も十分に考えられる。
そうすると、公立の学校は良い人材探しに更に苦労する。

ニュージーランドの医療業界とも似た、こんな動きも予想されます。

多分、公立学校の教師達は、「チャータースクールに資金を流すくらいなら公立学校にもっと資金を回して、人材を増やし、子供達の特性に対してフレキシブルに対応できる様にしてくれ」と思っているのではないでしょうか。

私的には、さまざまな子供のニーズに対応できるチャータースクールは良いのではないかと思うのですが、既にそれが上手くいかなかったという記録があるのであれば、それを十分に検証して、ではどうすれば上手くいくかについて計画を立ててから、政府は実行に移してほしいです。

今まで何度も、政府が「改革」を起こし、上手くいかずに、多額の税金を無駄遣いした事がありました。
それでも、無責任に改革を実行させた政治家は、その責任に追われることはない。
どうにかして欲しいです。

ところで、新聞記事の右側にあるグラフ。
あれは、チャータースクールの達成すべき目標についてのグラフで、学校を生徒達の社会的経済的環境から、3つのequity indexに振り分けます。
そのインデックスによって、学校の達成すべき目標を決めるわけで、社会的経済的状況が悪い生徒が多い学校は、期待されるいろいろな達成率も低く設定されています。

上から3番目のグラフは、小学校で生徒の国語、算数が学年相応のレベル、またはそれを超えるレベルであるパーセンテージですが、社会的経済的環境が普通の学校でも35%、環境が悪い学校は25%です。(これは、達成すべき目標であり、現状のパーセンテージではありません。)

ニュージーランドの教育レベルがとりわけ高くない状況で、そのレベルを達成する目標が25%や35%、というのを見ただけで、現状がどの様であるのか理解できるのではないかと思います。
(勿論、多くの学校では十分なレベルに達している生徒は多いと思うのですが、それでない生徒達も非常に多いのが現状だと思います。
統計資料を探したのですが、見つけられませんでした。)

ニュージーランドの教育も、私のいる医療の世界も、難関が山積みという感じです。

「親も育つ子育て」を広めるために、私の持っている知識、経験、資料をできるだけ無料で皆さんに届けたいと思っています。金銭的サポートが可能な方で、私の活動を応援していただける方は、サポートをしていただけると嬉しいです。