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ピルを常用している方が、ニュージーランドに来るときに知っておきたい事

ニュージーランドへいらっしゃる方で、日本にいる時からピル、特に低用量ピルを服用している方はかなりいらっしゃると思います。

「ワーキングホリデーで、最低1年はニュージーランドにいる予定なのだけれど、ピルが無くなったらどうすればいいの?」と心配している方もいらっしゃるかも知れません。


ニュージーランドへのピルの持ち込み

ニュージーランドに入国する際には、殆どの薬は3ヶ月分まで、ADHDの中枢神経刺激薬や疼痛管理のための麻薬は1ヶ月分まで持ち込む事ができます。

ただ、避妊用のピルは例外的に6ヶ月分まで持ち込む事ができます。

日本の低用量ピルは、避妊でなく月経困難症などの為に内服されている方が多いと思いますが、ニュージーランドでは避妊薬としても使われているので、通常は6ヶ月分まで持ち込んでも問題ありません。

(勿論、正直に避妊用ではないと申告して3ヶ月分持ち込んで頂いても、なんの問題もありませんが。)

日本では何ヶ月分までピルが手に入れられるのか、私は知らないのですが、
もしも6ヶ月分手に入れられれば、6ヶ月分のピルをニュージーランドに持ち込むことに問題ありません。
(処方されたままの、あなたの名前が明記されている箱に入れてくるか、あなたへ処方されたものである事が証明できる書類を持ってくると確実です。)

ピルが無くなったらどうする?

ただ(他の常用薬も同じですが)、手持ちのピルが無くなってしまうと
何らかの形で、ニュージーランドで購入することになります。

日本での処方薬と同じ、又は類似の薬は、ほとんどニュージーランドでも医師の処方箋が必要となるので、
薬を手に入れるには、ニュージーランドのクリニックを受診することが必要になります。

私のオンラインクリニックでは
「英語があまり得意でない」とか、
「日本の薬と同じものがなかったらどうするか、不安だ」という方のために、日本語でご相談に乗り、処方箋も出しています。

ただ、ニュージーランドではいくつか例外があり、直接薬局の薬剤師に相談することで、買える薬があります。

その中には、ある種のピルがあります。

今回はそれを中心に説明していきます。

ニュージーランドの薬局で、ピルが直接買える条件

1. 3年以内にピルを医者から処方された事がある

つまり「リピート」という形です。
今まで一度も避妊ピルを医者に処方された事がない人は、まず最初のピルは医者から処方される必要があります。

ただ、今日近くの薬局で訊いてみたところ、「一回処方されただけではダメだ」と言われました。
どういう意味かというと、一度医師からピルを処方された後、医師をまた受診して、「そのピルで問題ない」という事を確認して貰わないといけない、という事らしいです。

とは言え、データベースで常に確認するわけでなく、本人が、「医者もこのピルで満足している」と自己申告すれば、それでいいらしいです。

そして、以前にピルを処方した「医師」はニュージーランドの医師でなくても良い様です。
(つまり旅行者がニュージーランドでピルが切れてしまった時、使っていたピルが自国の医師に処方されたという証拠があれば、ニュージーランドの薬局でピルが買える可能性あり。)

ただ、今まで内服してきたピルの箱に「患者さんの名前」「ピルに入っているホルモンの詳細」「処方年月日」などが、ニュージーランドの薬剤師に判る様に明記してないといけないので、日本で処方された箱では難しいかもしれません。
(今日話した薬剤師の人は、「日付がわかれば、あとは他の言葉でも、本人の申告を信じる」と言っていました。 結構いい加減です。笑)

2. 年齢と健康状態の制限

混合型(エストロゲンとプロゲスチンが入ったもの)のピルなら16歳から39歳まで、
プロゲスチンのみのピルなら16歳から52歳までで、
その他の健康問題がないこと
が条件となっています。

3. ピルに入っているプロゲスチンの種類

ニュージーランドの薬局で処方箋なしで買えるピルは、次のホルモンを含んでいるものに限られています。

ethinylestradiol エストラジオール
これは、混合型のピルには全て入っているのですが
ピルによって用量が異なります。

• desogestrel デゾゲストレル
• norethisterone ノルエチステロン
• levonorgestrel レボノゲストレル
これらはそれぞれ異なるプロゲスチンです。

混合型ピルの中には、上の3種以外のプロゲスチンが入っているピルがあり、それらは、薬局で処方箋なしで買うことはできません。

ニュージーランドと日本のピル比較

ニュージーランドでの混合型ピルの例としては、以下の様なものがあります。
• Microgynon
• Oralcon
• Brevinor
• Norimin

プロゲスチンのみのピルの例は
• Cerezette
• Microlut
• Noriday
です。

入手できるピルのブランドは、時々変わります。

日本のピルで良く出回っているものは
・シンフェーズ
・ フルウェルLD
・ルナベルULD
・ ラベルフィーユ
・ジェミーナ
・ マーベロン
・ ファボワール
などですね。
他のブランドのピルを使っていらっしゃる方もいると思います。

こちらに、ニュージーランドと日本によくあるピルをまとめてみました。

同じ色で背景が塗ってあるものは、配合が比較的似ているピルですが、全く同じではありません

処方箋なしで、薬局で買える常用のピルは?

以前はニュージーランドでもマーベロンが購入可能だったのですが、2024年11月現在は、購入できません。
ヤーズやヤスミンはニュージーランドにもあるのですが、プロゲスチンがドロスピレノンであるために、薬局で処方箋無しに購入することはできないようです。
従って、処方箋なしで薬局から買える、常用されているピルは限られてしまいます。

プロゲスチンのみのピル、ノリディやセラゼットを使っていらっしゃる方は、年齢や健康の条件を満たせば、ニュージーランドの薬局で薬剤師の問診を受けることで、処方箋なしで購入できます

もしかすると、フリウエルLDを内服している方は、非常に用量が類似しているBrevinor 1を直接薬局で売ってもらえるかも知れません。
同じくジェミーナを常用されている方は、Microgynon 20を直接薬局で売ってもらえるかも知れません。

もしも、交渉する度胸と英語力があれば、一度薬局で訊いてみて下さい。

私のオンラインクリニックでよくするのは、
オンライン診療でご相談させていただいて、類似していて、ニュージーランで入手できるピルに変更し、その次のリピートからは薬局に直接行ってそこから購入するという方法です。

薬局によっては、「最初にニュージーランドで処方されてから、もう一度ここの医者に診てもらっていないと、処方箋なしでピルを売れない」と言われるそうです。
そんな時は他の薬局を試してみると、別の薬局ではピルを売ってくレたりします。

一応ルールがありますが、患者さんに安全な範囲で、かなり薬剤師の裁量が効くようなので、色々な薬局を試してみる価値があるかも知れません。

最後に

私のオンラインクリニックでは、ピルのリピート処方箋は2024年10月現在、$50となっています。
これは多分、公立の医療を無料で受けるビザがない人が、医者にかかって処方箋をもらうのにかかるのと同じくらいの費用か、それより安いだろうと思います。

でも薬局でピルが買えれば、少し出費が抑えられる可能性があります。
特に、常用しているピルに関する出費は、旅行保険がきかないと思いますので。

ピルを薬局で出してもらう時は、永住権のある人とかでも、薬代は実費になります。
そのため、薬局で直接ピルをもらう利点があるのは、旅行者や2年未満のビザの所持者だけでしょう。


以前のインスタの記事にも書きましたが、NZの薬局では

  • 予防接種

  • 緊急避妊ピルを出す

  • 耳のピアスの穴あけ

など々なサービスが得られます。
お近くの薬局に問い合わせてみてくださいね。

勿論、ご自分のピルが薬局で買えるか、自分でチェックするよりは、
ニュージーランドの医師に処方して貰って、薬局で確実に受け取れる方が良い、という方。

また、ピル以外の薬を常用していて、ニュージーランドの医師の処方箋がいるという方は、こちらからオンライン診療を予約していただければ、ご相談に乗らせて頂き、処方箋を出します。

では、皆さん、楽しく安全なニュージーランド滞在を。❤️

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総合診療科医のだのり@ニュージーランド
「親も育つ子育て」を広めるために、私の持っている知識、経験、資料をできるだけ無料で皆さんに届けたいと思っています。金銭的サポートが可能な方で、私の活動を応援していただける方は、サポートをしていただけると嬉しいです。