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息子とカップスープと、「おいしい」の共有。
自閉症スペクトラムの息子は、超がつく偏食家。
味はもちろん、見た目だけで「食わず嫌い」されてしまうことも多く、限られた食材で栄養バランスを考えるのは大変です!
それでも最近は、学校の給食や学童のおやつで「食べてみたらおいしかった」を経験することも多く(もちろん逆も多々あるけど)、食べられるものの幅が随分と広がりました。
ランリュックにしのばせた「おいしいもの」
先日、息子が学校から帰宅すると「ママ、お湯を沸かして!」と興奮気味に言ってきました。
何事かと驚く私を尻目に、食器棚からお碗を2つ出してテーブルに並べています。息子が自分で台所の棚を開け、食器を選んでダイニングに持って行ったのも初めてでした。
そしてランリュックから小さな小袋を取り出し、なにやらテーブルでゴソゴソと作業しています。
ポットを持ってダイニングに行くと、お碗の中に黄色いカップスープの粉が入っていました。
聞くと、前に学童のおやつで「カップスープ」が出て、飲んでみたらすごく美味しかった。ママにも食べさせてあげたいと思っていたら、今日、学童の先生から「この間お休みした時の分のおやつ、1つ持って帰って良いよ」と言われたので、お菓子ではなく、このスープを選んだとのこと。
1人前の小袋を2つのお椀にきっちり均等に分けて、クルトンも平等に入るように気をつけて、私と一緒に味わう準備をしている息子。
他者理解が乏しい、共感力に欠ける…過去の検査で散々言われてきた特性だけど、息子は今、私と「おいしい」を共有しようとしてくれている。その光景に涙が出ました。
今までで一番美味しいスープ!
私が口をつけるのをワクワクと目を輝かせながら見つめる息子に「なにこれ!めっちゃ美味しい!」とまるで生まれて初めてカップスープを飲んだかのように伝えると、とっても嬉しそうに笑って「そやろ!めっちゃ美味しいやろ!」と得意げに返してくれました。
もちろん何十回も飲んだことのあるインスタントのカップスープ。なんなら常にストックしてるぐらいだけど、息子には「今度お店でも探してみるね!また一緒に飲もうね!」と伝えました。
それ以来、週末の朝は2つのお椀を食器棚から出してスープの準備をするのが、息子の大事な役目になっています。
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