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いいとこどりのしたごころ

肉屋さんで「牛すじ肉」を見つけました。

大根とこってり煮込んだのが食べたいなと思って2キロ購入したのですが、

そういえば食べるのは好きだけど牛すじを料理するのは初めてだ、と気づいてネットで調べたら「下ごしらえが重要」なのですね。

あるレシピに「臭みをとるために水から茹でて、3回茹でこぼす」と書いてあり、よしと水から茹ではじめて沸騰するまでの時間がヒマなので、またスマホを眺めていたら、他のレシピに「茹でこぼす際は、旨味を逃さないために沸騰したお湯で茹でる」というのが目に飛び込んできて、慌てて水の鍋にお湯をどぼどぼ足して『生ぬるいお湯』でだらだら茹でる羽目になり、なんだか疲れました。

複数のやり方のイイトコドリをもくろんだあげくなんだかおかしなことになる、というのはよくある話です。

以前、あまりにもコロッケが破裂するので、対処法を調べたら「コロッケは成形したらしっかり冷まして180度に保った油で揚げる」のが良いらしい。
別のサイトを見ると「冷凍コロッケの場合は冷たい油から揚げる」という裏技もあって、感心して、というか混乱して、結局冷凍じゃないコロッケを冷たい油で揚げ始め、鍋の中でドロドロに溶けはじめたこともありました。証拠隠滅するのが一苦労だったな。

こうなるといろいろ思い出されてくるんですが、18歳の春、大学の入学式の直前、「これからはお化粧するのだ」と決意してデパートの化粧品売り場を訪れ「リップカラーはヌーディな色がイチ押しです(その代わりアイメークは明るい色で…云々言っていたような)」と店員さんに勧められるままにベージュのクレヨンみたいな口紅を購入し、

別のカウンターで「アイメークはやっぱりブラウン系が(その場合リップはピンクや赤系で…云々言っていたような)」と言われるままに買い求め、家に帰ってわくわくしながら目の周りを茶色くして唇も茶色くして、そうしたら鏡の中には、冬の日本海から上がってきたような土気色の顔の人がいました。衝撃的でした。

そんなことを懐かしく思い出しているうちに鍋の中はくつくつ煮込まれて良い色に仕上がってきましたよ。

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