丸魚パーティーのススメ
(この記事はUMITRON Advent Calendar 2023 22日目の記事です。)
こんにちは!UMITRONの野田です。
魚に関わる弊社に参画してからプライベートでハマってしまったことがあります。
それは「丸魚(まるざかな)パーティー」。
丸ごと一尾のお魚を仕入れて自宅でさばき、友人や家族らとワイワイガヤガヤ色んな料理にして楽しみます。
丸魚パーティーは老若男女楽しめる究極のおうちエンターテイメントだと思うのです…!(異論は認めます)
今回は、これまで10回以上丸魚パーティを開催してきた私目線で、丸魚パーティーの魅力やコツをまとめます。
丸魚パーティーの魅力
最初から最後まで見どころがたくさん!
新鮮で美味しい魚を味わえることはもちろんですが、「自宅に生の大きな魚が届く」それだけで非日常感を味わえ、悪戦苦闘しながらさばく経験も新しい食べ方にチャレンジする経験も思い出になる。丸魚パーティーは、美味しいだけじゃない、楽しめる見どころが目白押しなのです。
魚種や料理のバリエーションが豊富で飽きない!
個人で丸魚の状態で仕入れることのできる魚種は色々あります。私は養殖の魚を扱うことが多いですが、養殖だけでもマダイやブリ、サーモンなど複数あります。また、料理の方法も、刺身、煮物、焼物、揚げ物などさまざまあり、メニューが尽きることがありません。
同じメンバーで何度やっても飽きないことも大きな魅力です。
魚さばきがレベルアップしていくのも楽しい!
丸魚パーティーを始める以前、私は魚を1からさばいたことがありませんでした。未経験で悪戦苦闘し、なんとか初めて自分で3枚におろせた時の感動。そしてその後何度かトライする内に、少しずつコツが掴めてきて、今では前より綺麗に骨から身を剥がすことができるようになりました。まだまだ上手くできないところもあり「次はこうしてみよう!」とチャレンジ精神も掻き立てられます。
丸魚パーティーの楽しみ方
1. 日程を決めて魚を選ぶ
「なんの魚にしようかな?」と考えるところからもう丸魚パーティーの始まりです。
市場や魚屋さんに行って色々な魚を眺めながら選ぶのもとても楽しいのですが、私のオススメは、通販です。自宅まで届けてくれるので大きな魚でも運ぶ手間が省けますし、丸魚パーティはこの後の工程も盛り沢山なので序盤でのタイムロスを防げます。また、当日調達の場合運が悪いとお目当ての魚に巡り会えないこともありますが、通販なら指定した日時にちゃんと届けてもらえるので人を招いていても安心です。出荷元によっては出荷日が限られている場合もあるので、早めに確認して日程に余裕を持って注文しておきましょう。
また、魚さばき初心者の方にオススメしたいのは、マダイやブリやサーモンなど、養殖の魚です。養殖の魚は一年を通して比較的品質が安定しています。またインターネット上にさばき方や調理方法についての情報も豊富にあり、YouTubeなどでも複数の動画を参考にすることができます。魚の目利きが上達し、より幅広い魚種にもチャレンジしたくなったら天然魚にトライするのも面白そうです。
2. メニューを考える
丸魚を扱うことの醍醐味は、各部位を使った色んなメニューにトライできることです。スーパーの魚売り場でよく見る背や腹の部分以外にも、頭やカマ、骨にくっついた身、内臓と楽しめる部分が沢山あります。それぞれどんな調理法が美味しそうかな、と考えるのも楽しみの一つです。
同じお刺身でも、炙りにしたりカルパッチョにしたりするとまた全然別の味わいです。前菜系、サラダ系、メイン系、シメ系とフルコース考えてみるのも楽しいですし、冬は鍋にしてみたり夏は冷製パスタにトライしたりと季節に合わせたメニューも楽しい。さらにエンタメ要素を追加するなら、握り寿司という選択肢もあります。
生、煮物、揚げ物、焼物と調理の幅が広いのもお魚の魅力。食べたかったあの味や、まだ食べたことのないあの味を自由に描いてみましょう。
3. 魚と記念撮影する
家に魚が届いたら私が必ずやっているのが、魚との記念撮影です。
家具屋さんで見ていた家具が、いざ家にやってきたら思ったより大きかった、という経験はありませんか?丸魚でもそれが起こります。
普段魚屋さんで見ている魚でも、家に来ると、とても大きい!
大きな魚が家に居る非日常感を存分に楽しんで思い出に残すために、一緒に写真を撮りましょう。今撮らないと、すぐにみんなのお腹の中に消えてしまいますよ。
4. さばく
さばくフェーズは2通りの楽しみ方があります。一つは、経験者を連れてきてそのさばきっぷりを惚れ惚れ眺めること。もう一つは、未経験者たちで悪戦苦闘、頑張ること。後者は勇気がいるかもしれませんが、やってみると意外となんとかなります。
やったことがないことに挑戦するのは楽しいものです。将来うっかり無人島に漂着して食べるものが魚しかない時のためのトレーニングにもなります。YouTubeに丁寧な解説動画が沢山あるので事前に入念なイメージトレーニングをして、包丁もよく切れるように研いでおきます。魚はヒレやエラや歯がトゲトゲしていて手に刺さるものもあるので、怖い時はゴム手袋をします。魚が滑らないように布巾で水気をしっかり拭き取って。怪我に気をつけてレッツトライ!
綺麗におろせなくても全く問題ありません。骨ごとお鍋に入れて煮れば綺麗に食べることができます。
さらに、さばくフェーズで是非オススメしたいのが、内臓を観察することです。胃を裏返して絨毛を観察し「おお〜表面積を広くしている〜」と確認したり、硬骨魚類にしかない臓器の幽門垂を探してみたり。写真はクエの幽門垂を煮付けたものです。可愛くないですか?幽門垂。醤油で甘辛く煮付けるとブリブリした食感で美味しいおつまみになります。内臓を食べるときは、脂肪がついていたり魚が食べたものが消化過程で混じっていることがあるので、流水に晒しながら指でしごいて綺麗に洗うと良いです。
5. 調理する
解体したお魚を調理していきます。料理上手な人は腕の見せ所!普段料理をやらない人でもレシピ通りにやればなんとかなる!
メニューが複数ある場合は、担当を決めると早く進みます。
取り急ぎお刺身だけを作ってしまってから、早々に乾杯して、飲み食べしながら次の料理を作るのが私の丸魚パーティーの定番です。
盛り付けが綺麗にできるとテンションがさらに上がります。
6. 食べる
ついにフィナーレ、実食です!
さばくところから作った料理たち。新鮮なお魚を使っているのはもちろん、ここまでの努力もスパイスとして効いているのでしょうか、感動もののおいしさです。みんなで感想を言い合いながら、一瞬で胃袋の中に消えていきます。
ワインや焼酎、日本酒にウォッカやジンなど色々なお酒と合わせてみるのも楽しいです。酒屋さんに行くと魚に合うオススメのお酒を教えてくれることもあるので、予め用意しておくとパーティーがさらに盛り上がります。お手頃に美味しいお酒を取り入れられるのも家パーティーならではの醍醐味です。
お刺身を食べるときは、調味料や薬味にこだわってみるのも楽しいです。私は九州の甘い醤油が好きですが、他の地域のお醤油を使ってみたり、ポン酢やごま油+塩で食べるのもまた違った美味しさです。細いネギを長めに切って巻いてみたり、生ワサビを擦るところから挑戦してみたり。楽しみは尽きません。
料理ができたら、後から思い出に浸れるように写真に収めましょう。と言いたいところですが、早く食べたい気持ちが勝ってしまって実はあまり写真を撮れていません。後から参加者間でアルバムを作ってそこに写真をアップしてもらっています。
7. お土産も
魚を丸ごとさばくと、1日で食べ切れないこともあります。そんなときはお土産まで作ってしまうという手もあります。
以前、友人宅でニジマスパーティをした際には焼き漬けにしてお土産に持って帰りました。翌日もご飯に乗せてお茶漬けにして、楽しかったパーティーの余韻に浸りました。
丸魚パーティのコツ
ここからは、丸魚パーティーをやってみたい!という方のために私がこれまでに習得したポイントをお伝えします。
丸魚の買い方
丸魚の状態の鮮魚は「ラウンド」とも呼ばれます。インターネットで「丸魚 ブリ」「ラウンド マダイ」などと検索すると購入できるサイトが沢山出てきます。
私がよく利用するのは、各地域の漁協がやっている通販のページ(「漁協 ラウンド ブリ」などで検索)や、「食べチョク」などの産直サービスです。産直サービスは、生産者の顔が分かりどんなこだわりで作られているのかも知れるので、更にありがたみが増します。
あると便利な道具
普通の三徳包丁でも魚をさばくことはできますが、初心者の私が頼りにしているのが、魚さばきのための機能を持った包丁、サカナイフです。特に、太い骨を断つときに、刃の真ん中のノコギリのような波刃でギコギコやると簡単に切り落とせて便利です。
また、炙りをするならガストーチバーナーが便利です。カセットコンロで使うガスボンベを取り付けられるので保管に場所も取らないし手頃です。魚を1からさばくと皮付きの切り身を得られるので、ぜひ炙りのお刺身も試してみてください。
さばき方の参考になる動画
YouTubeで「ブリ さばき方」などで検索すると沢山ヒットするので、複数見てみると面白いです。人によってもやり方が違ったりするところもあります。
「日本さばけるプロジェクト」が紹介しているさばき方動画も、魚種が豊富で丁寧に撮影されていて分かりやすいです。
私は人に教えるほどまだ上手にさばけないですが、全くの初めてさんに伝えたいのは、下記3点です。
三枚おろしは、ビンに張り付いたシールを剥がすように少しずつ丁寧に剥がせば割と綺麗にできる
骨を断つときは継ぎ目を狙う
かつら割りができないときは無理せずそのままお鍋に入れて煮付けにすればOK
美味しく調理するコツ
最後に、下記はこれまで生産者さんから聞いたりTwitterで見かけたプロの技や自分が失敗しながら学んだお魚調理のコツです。以前は魚料理に苦手意識があったのですが、これらを実行するようになってから失敗が無くなりました。
さばいたら水気を取ってサクにして部位ごとに紙に包んでラップで包んで冷蔵庫で保管する
水気があると臭みが出やすいのでなるべくびちゃびちゃ水気が着いている状態を避ける。長めに保管する場合は途中で紙を取り替えると良い。
調理する10分前くらいに塩をふって冷蔵庫で置いておくとドリップが出るのでそれを水で洗い流し拭いてから調理に使うとさらに身がしまって美味しい
アラを煮付けなどにするときは予め熱湯で霜降りして血合いをよく洗うと臭みなく上品な味わいになる
握り寿司をするならシャリだけは気を抜かない
不安だったらシャリだけ外部調達もあり
人を集めるのが大変 / 大人数が苦手なときは
大丈夫です。魚をさばけばもうそこはパーティー。
冒頭で10回以上やっていると書きましたが、夫と2人の「パーティー」もあります。冷蔵庫の余白さえ確保しておけば、一人でだって数日にわたりパーティー可能です。さばきたての新鮮プリプリなお刺身と、数日経って熟成されたお刺身の柔らかく甘みのある味を比較するのも楽しいです。
まとめ
伝えたいことが沢山あって長くなってしまいましたが、丸魚パーティーの魅力やコツがうまくお伝えできていると嬉しいです。
年末年始のお休みに時間ができたら、ぜひやってみてください!
良かったら感想も教えてくださいね。
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