すてき絵本レビュー#002 「川をのぼって森の中へ」
「川をのぼって森の中へ」
写真・文:今森 光彦
単行本: 40ページ
出版社: 偕成社
川をのぼって森? なんとなく分かるけど、耳慣れない感覚。
そうです。この絵本の舞台は、インドネシアのボルネオ島。
(日本みたいな渓流じゃないので、ボートを漕いでゆったり上流までいけちゃうんです)
ボルネオ島にまで行って蝶を探した、今森光彦さんの写真絵本です。
基本ステータス
・絵を中心に楽しむなら 1.5歳〜6歳
・内容を楽しむなら 3歳〜6歳
特徴
・ジャングルの中なので「絶景」という感じもなく、写真も全体的にちょっと暗い
・こんな辺鄙な森の奥まで蝶を探し求める今森さんの熱量に脱帽 (大人の読者)
・子供の読者は、日本との自然の違いを理解できるとより楽しめるかと
雑感
ジャングルはうっそうとしてて、ただただ写真映えしない(失礼)の写真の中で、静かに虫を慈しむ今森さんの心(虫を採集しないことを現地の人に伝えられたら歓迎されたそうです)と秘境の静けさを感じることができます。
虫の生態の話は少なく、やや文化的なページも。
総じて探検といえば探検なのですが、しっぽりジャングルの奥で育まれた文化と自然の大きさを感じる写真絵本です。
今森さんの写真絵本は他の絵本が大人気で、この絵本はあんまりメジャーではないかもしれませんが、内容も写真も、そもそもテーマ自体も珍しく、おすすめの1冊です。