【第166回】 Salesforce 認定 MuleSoft アソシエイト 資格試験 合格体験記
2024 年 6 月中旬より、Salesforce 認定 MuleSoft アソシエイトの日本語版の試験が受験可能になりました。本日、試験会場にて受験をしまして、合格できましたので、合格体験記を書いてみたいと思います。
ちなみに、タイムリーですが、昨日の 2024 年 6 月 26 日から、Salesforce 認定上級 MuleSoft デベロッパー資格も日本語版がリリース されたようですので、2024 年 5 月に MuleSoft 認定から、Salesforce 認定に移管された資格は、現時点(2024 年 6 月 27 日時点)で以下の 5 つとなります。
今回、私が受験したのは、⑤ の Salesforce 認定 MuleSoft アソシエイトになります。Salesforce 認定の中で「アソシエイト」と名前が付く試験は、入門版の試験になります。MuleSoft アソシエイト の他には、Salesforce アソシエイト、AI アソシエイト、Marketing アソシエイト(現在、英語版のみ)があります。
それでは、早速、公式の試験ガイドを参考に、この試験の試験概要・出題範囲と出題率などを見て行きましょう。
試験概要
MuleSoft アソシエイトの受験者は、コアインテグレーションと API 主導の接続(API-led connectivity)の用語と概念、およびシステムインテグレーションと API 管理のための Anypoint Platform のコンポーネントと利点についての知識が必要です。
Salesforce 認定 MuleSoft アソシエイトの受験者は、以下の分野の知識、スキル、経験が必要です。
公式の試験ガイドでは、このような感じで説明されていますが、あまり難しく考えない方が良いと思います。あくまで入門版の試験となりますので、深堀りは不要です。どちらかと言うと、MuleSoft を普段扱っている人たち向けの試験では無く、MuleSoft を初めて勉強してみた人たちが受ける試験であり、MuleSoft を全く触った経験が無くても合格可能な内容です。
私はこれまでに、Salesforce アソシエイトも受験しましたし、AI アソシエイトも受験していますので、それらと同様「アソシエイトだから 3 択でしょ?簡単、簡単!」という気持ちで試験に臨んだのですが、まさかの 4 択問題でした。そして、単数選択だけではなく、複数選択もありました。
試験問題も割としっかり作られているというか、こう言っては何なんですが、これまでのアソシエイトの問題って「何、この問題?」ってのが多かった気がするんですよね。それに比べると、MuleSoft アソシエイトは、なんか普通の試験をやってるーって感じです。
おそらく、今回の MuleSoft アソシエイトは Salesforce のスタッフが一からオリジナルで作成したのでは無く、従来の「MuleSoft Certified Integration Associate」試験を、そのまま活用したものではないかと思います。そのため、アソシエイト試験とは言え、クオリティが高いのでしょう。
あと、他のアソシエイト試験と同様で、不合格になったとしても、再受験が 1 回分無料です。安心して受験できますね。
出題範囲と出題率
出題範囲はこのような形になっています。
今回、出題範囲の説明がかなり充実していますね。これらの説明に対して、すべて答えられるようになっていれば、余裕で合格できると思います。
この説明の中には、たくさんの用語(太文字にしたようなもの)が含まれていますが、その用語の説明というか定義をそのまま覚えられれば一番良いのですが、これを見ている皆さんが MuleSoft 初級者の場合、すべてを覚えようとすると大変なので、用語に纏(まつ)わるキーワードだけでも覚えるようにしましょう。そのキーワードが質問の文章内に出てきたら、正しい回答を導きやすいです。
私の試験結果
さて、私の試験結果は下記のようになりました。この正答率から計算しますと、40 問中、34 問正解(85%)できていると思います。所要時間に関しては、少し考えながらで 26 分という感じでしたので、難しいという感じではなかったです。
あと、私から言えるアソシエイトレベルの試験の回答のコツですが、なるべくポジティブな答えを探しましょう。もちろん、質問上でネガティブな回答を聞いてきている場合は別ですが、基本的には「Salesforce すげぇ!MuleSoft すげぇ!」っていう思わせる回答を選ばせたいのが、出題者側の出題の意図になってくるので、ポジティブな回答になるものを選択肢から見つけるのがコツだと思います。回答に迷った時の参考にしてください。
試験対策
さて、最後に皆さんが一番気になるであろう試験対策ですが、必ず実施した方が良いのは「Salesforce 認定 MuleSoft アソシエイト資格に向けた準備」という Trailmix です。
そして、今回は模擬試験も用意されています。これは丸々 40 問用意されていて、PDF ではあるのですが、実践さながらの模擬試験が体験できます。おそらく、この模擬試験は、かつて MuleSoft のTraining サイトで実施できた模擬試験の問題をそのまま PDF 化したものだと思います。
残念ながら、この模擬試験と同じ問題は一切出ませんが、似た問題は多少出ます。そして難易度は同じようなレベル感です。MuleSoft 試験の出題傾向を掴むという意味では、全問覚えるまで繰り返しテストしたほうが良いです。
以下のリンクにも、知識チェックがあります。少し試験範囲を外れているところもありますが、是非試してみて下さい。
また、以下の記事が役に立つ場合があります。私も試験前に繰り返し読みました。ヒントが見つかると思います。
最後に私が試験前にまとめたものが少しありますので、そちらを公開します。もしかしたら、内容が間違えているかもしれませんので、悪しからず。
API ライフサイクル
■ 設計:設計、RAML、文書化
■ 実装:実装、検証
■ 管理:モニタリング、ユーザーフィードバック
MuleSoft カタリスト について
MuleSoft カタリスト(要素・材料) のデリバリーアプローチは、主にどの 3 つの柱に重点を置いていますか?【模擬試験より】
A. テクノロジーの選択
B. テクノロジーの提供
C. ビジネス成果
D. Anypoint Platform 管理
E. ユーザー受け入れテスト
F. 組織の有効化
IT デリバリー ギャップとは
ビジネス部門からの需要は増える一方です。この絶え間ない需要により、IT デリバリー能力とそれらの需要を満たす IT の対応能力のギャップが拡大し、IT ボトルネックが発生します。つまり、IT 部門のプロジェクト遂行能力とビジネス部門の需要の乖離のことです
プロジェクトが失敗する主な原因
・コミュニケーション不足
・スコープ管理不足
・プロジェクト要件と一致しない技術の不一致
DevOps プラクティス
■ CI(Continuous Integration / 継続的インテグレーション):開発者がコードを共有のコントロールリポジトリに、できるだけ毎日、アップすることを推奨。チーム間のコラボレーションを強化、エラーとバグの早期検出と改善、透明性の向上
■ CD(Continuous Delivery / 継続的デリバリー):チームがいつでも、できれば毎日、オートメーション管理のもと変更と修正をリリースできるような方法でソフトウェアを構築。アジリティの向上、エラーや変更、リリースに伴うリスクとコストの低減、効率性の向上およびチームワークの改善
クラウドアーキテクチャ
Software as a Service(SaaS):アプリケーションソフトウェア。業務で使用するユーザー向けアプリケーションを提供します
Infrastructure as a Service(IaaS):システムを構築できる仮想環境。企業のシステムを展開するための基盤となるコンピューティングリソースを提供します
Platform as a Service(PaaS):「単一のアプリケーション開発」と「複数アプリケーション間の統合」の両方に対応できるアプリケーションインフラストラクチャ。高度なアプリケーションの開発を可能にするミドルウェアです
iPaaS:次世代型統合ソフトウェア
iPaaS は今、クラウドアプリケーションやオンプレミス、レガシーアプリケーションを統合するための次世代型の統合プラットフォームとして注目を集めています。iPaaS とは、簡単に言えば、クラウド統合プラットフォームです。これにより、SaaS やクラウドサービスへの接続が可能になり、ファイアウォールで保護されたオンプレミスアプリケーションへの安全なアクセスが可能になります。iPaaS はハイブリッドな統合モデル(2 つの異なるクラウドベースの統合)により、クラウドベースのサービスを、オンプレミスやクラウドのアプリケーションとの統合を可能にすることで、クラウドサイロの問題を解決します。子会社を買収したときやスタートアップ企業などが円滑にシステム導入を進める際に効果的
CloudHub:世界初のグローバル iPaaS
CloudHubは iPaaS 製品です。完全なクラウドベースのソリューションのため、利用者はクラウド特有の経済的メリットや弾力性を享受することができます
スケーラビリティ(拡張性)
■ 水平スケール:予期しないトラフィックの急増時でも可用性(システムが継続して稼働できる能力)を維持、アプリケーションが実行されるリソースプールに個別のサーバーを追加
■ 垂直スケール:マシンの処理能力を上げる
■ 対角スケーリング:基本的には垂直スケーリングと水平スケーリングの組み合わせであり、この設定では、事前に設定された制限に達するまで最初に垂直方向にスケーリングし、次にシステムを水平方向にスケーリングします
可観測性の柱
ログ記録、分析、監視などの機能を指す。ログ、トレース、メトリックは、可観測性の 3 つの柱を形成します
■ ログ:イベントが発生したときにアプリケーション、システム、または OS によって記録されるメッセージです。トランザクション処理の重要な段階でメッセージをログに記録するアプリケーション、アプリケーションの起動と停止に関するメッセージをログに記録するシステム、またはユーザー監査メッセージをログに記録する OS などがこれに該当します
■ メトリック:メトリックは測定値です。ログとは異なり、メトリックは定期的にログに記録されます。たとえば、システムは現在の CPU またはメモリの状態をコレクターに送信したり、温度センサーは定期的に温度の測定値を送信したりできます
■ トレース:その名前が示すように、分散システム内のトランスポートとプロトコルの境界を越えて、さまざまなアプリケーションを通過するトランザクションによって残される手がかりです。トレースは、トランザクションの旅の始まりから終わりまでを完全に記録します
対話パターン(Interaction patterns)
■ バッチ:一定間隔でデータを収集(1 時間ごと、1 日 1 回)
■ ストリーミング:連続フロー(バッチと対義)
■ リクエスト - リプライ:別のコンポーネントにメッセージを送信し、応答を要求するもの、HTTP、REST API
■ 一方向:応答を期待せずに別のコンポーネントにメッセージを送信(リクエスト - リプライと対義)
■ マルチキャスト:1 つのメッセージを複数のコンポーネントに送信、複数の受信者に送信
対話構成プリミティブ
■ 集約:さまざまな〇〇を統合して表示する・レポートするなど
■ オーケストレーション:中央集権的に、ステートフルな(状態を有する)やり取りを行う
例:オンラインで注文すると、在庫が更新され、CRM は顧客の記録に対して販売を登録するような流れ
■ コレオグラフィ:中央集権的ではなく、イベントに基づいてサービスまたはコンポーネントが自律的に動作
マイクロサービス
■ サービスメッシュ:マイクロサービス、サービス間のトラフィック制御
■ マイクロサービス:複数のサービス、他のサービスとは独立してスケーリング可能、カプセル化
■ マイクロサービスの欠点:運用の複雑さの増大、連鎖的に他のサービスに影響を及ぼす
Anypoint Platform のコンポーネント
■ Anypoint Design Center:API Designer と Flow Designer で構成される開発環境
■ API Designer:API 仕様の作成(設計、文書化、テスト)、RAML (RESTful API Modeling Language) や OAS (OpenAPI 仕様) などの RESTful API モデリング言語をサポート、設計(Design)、プロトタイプ化、モック化、設計優先のアプローチ、監視機能はない、API フラグメントを作成
■ Anypoint Studio:統合開発用、単体テストまで可能、グラフィカル、キャンバスでドラッグアンドドロップ
■ Anypoint Monitoring:モニタリング、健全性、トラフィック
■ Anypoint API Manager:ポリシー適用、トラフィック、SLA、セキュリティ、レート制限、API ライフサイクル (作成から廃止まで)
※ 以下の動画を一度見ると理解が深まります
■ Anypoint MQ:メッセージキュー、非同期
■ Anypoint Runtime Manager:リアルタイムで監視し、健全性をチェックし、さまざまな環境で期待どおりに機能していることを確認するソリューション。ランタイムという名前を持つがコントロールプレーン側にある
■ API Governance:ベストプラクティス、コンプライアンス要件を適用するフレームワーク
■ Anypoint Exchange:保存して共有、発見、検出可能、再利用可能で、ベストプラクティスを文書化、ドキュメントが一元化されていることを保証、Universal API Management (UAPIM) の目標を促進、アセットの種類(API フラグメント、コネクタ、API ポリシー、テンプレート)
→ コネクタにある 2 つの重要な機能
・データストリーミング
・多用なアプリやプロコトルにすぐアクセス可能
→ API フラグメント:YAML
■ MUnit:テストの自動化を実現するツールである MUnit は、その重要性から DevOps プロセスに組み込まれており、継続的デリバリー/継続的デプロイを実現
■ Anypoint Runtime Fabric:Mule アプリケーションと API ゲートウェイの展開とオーケストレーションを自動化する拡張機能
■ API ゲートウェイ:外部から内部への API トラフィックを管理
■ Anypoint Platform PCE(プライベートクラウドエディション):データ セキュリティとコンプライアンスに重点おいている場合に、自社のデータ センターのセキュリティ境界内に留まるようにしながら、システムを統合
設計優先(design-first)アプローチについて
コーディングを開始する前に API の設計を行い、テストし、フィードバックを提供して、API が要件を満たしていることを事前に確認することで、プロジェクトの失敗のリスクを軽減する
API の種類
■ SOAP API:XML、WSDL(Web サービス記述言語)
SOAP ボディ要素内の有効なエントリの例は何ですか?【模擬試験より】
A. Username : Astro
B. { " Username " : " Astro " }
C. { " m : Username " : " Astro " }
D. <m:Username>Astro</m:Username>
■ AsyncAPI(非同期 API):イベント駆動型
■ GraphQL:クライアントが特定のデータ要件を定義することができる
■ REST API:REST APIは、かつては XML 形式でデータでやり取りがされていましたが、現在は軽量である JSON が主流、HTTPS 経由で通信
データ形式
・YAML:可読性が高い、コメントをサポート、インデント(段落)
receipt: Oz-Ware Purchase Invoice
date: 2012-08-06
customer:
first_name: Dorothy
family_name: Gale
・JSON:中括弧、キーと値のペア、軽量、言語依存しない、REST API
{ "Username" : "Astro" }
・XML:山括弧、SOAP API
<m:Username>Astro</m:Username>
HTTP メソッド
・POST:要求されたデータをサーバーに送信する
・GET:要求されたデータをサーバーから取得する
・PUT:リクエストで送信された新しいデータで既存のデータを更新して置換する(全件置換・上書き)
・DELETE:要求されたデータをサーバーから削除する
ステータスコード
・2xx:成功(200 OK)
・3xx:リダイレクト
・4xx:クライアント側のエラー(401 Unauthorized)
・5xx:サーバー側のエラー(500 Internal Server Error)
API ライフサイクル
API コンシューマーは API クライアントを作成し、API 呼び出しを API に送信して、API 実装によって処理されるようにします
① API コンシューマー (consumer)
② API クライアント (cliant)
③ API 呼び出し (call)
④ API 実装(implementation)
※ ETL(抽出、変換、ロード)プラットフォーム:大量のデータ送信、AS 400 などのレガシーシステムでも OK
デリバリーメソッド
■ スパイラル:各ループで設計、開発、テストを組み合わせて、さまざまなサイクルを反復、フェーズを複数回検討
■ ウォーターフォール:各フェーズには明確な目標を設け、次のフェーズが始まる前に完了する必要がある、順次的なアプローチ
■ スクラム:プロジェクトを「スプリント」と呼ばれる小さな増分単位に分割するアジャイル手法。各スプリントの終了時に、チームは関係者に作業内容を提示してフィードバックを集めるがポイント
■ アジャイル:反復的な開発と定期的なフィードバックを促進
デプロイメントモデルについて
■ パブリッククラウド
■ ハイブリッドクラウド:クラウドベースのリソースとオンプレミスシステムの間でインフラストラクチャとアプリケーションを接続
■ プライベートクラウド:仮想化ソフトウェアやリソース管理ツールを使用してオンプレミスにリソースをデプロイすることはプライベートクラウドとも呼ばれます
API 主導の接続性(API-led connectivity)
再利用可能な API を利用し、データ、デバイス、アプリケーションを統合する戦略的かつ合理的なアプローチのこと
・再利用性
・API の生産と消費の両方を重視
・レガシー システムでも OK
・API のレイヤー:システム API、プロセス API、エクスペリエンス API
※対義語:Point-to-point(システム間に緊密な依存関係、密結合)
Modern API
初期段階において、迅速なフィードバックのために API 仕様を使用して設計されます
エンタープライズソフトウェア
■ 顧客関係管理(Customer Relationship Management、CRM):リード管理、キャペーン管理、顧客とのやり取りを追跡・分析、Sales Cloud
■ エンタープライズリソースプランニング(Enterprise Resource Planning、ERP):社内業務とプロセスの標準化
■ 人的資本管理(Human Capital Management、HCM):人事、福利厚生、給与管理
■ コンテンツ管理システム(Contents Management System、CMS):デジタルコンテンツの作成、管理
■ サプライチェーンマネジメント(Supply Chain Management、SCM):サプライ チェーンの商品、データ、財務の管理
いかがでしたでしょうか?
この試験は、MuleSoft 関連の人と仕事をいっしょにやるときに知っておくと良い最低限の知識も学べると思いますので、あらゆる Salesforce ユーザーにオススメできます。
今回の記事が、皆さんの参考になっていれば幸いです。これから試験を受ける方もいると思いますので、ぜひ頑張って下さい!
今回は以上です。