「イニシェリン島の精霊」
1月27日(金)から公開される「イニシェリン島の精霊」をディズニーからの招待でひと足先に観賞。
本土が内戦に揺れる1923年、アイルランドの孤島・イニシェリン島。島民全員が知り合いで、内戦は対岸の火事のような平和な島で、長年、毎日パブで飲んで他愛のない話をするのがルーティーンとなっている、親友のパードリックとコルム。が、ある日突然、コルムから絶縁されることに。
何故拒否られるのかわからないパードリック。仲を取り戻そうとあれこれ行動を起こすも、コルムから「これ以上関われば、自分の指を切り落とす」と言い渡される。やがて互いの行動はエスカレートしてとんでもないことに・・・。
本土ではアイルランドの内戦、孤島では親友同士の突然の内輪揉め。これ大なり小なりの比喩であり、壮大なる黒い皮肉でもあるなぁ。閉鎖された島の感じは日本なら「楢山節考」的、「八つ墓村」や「獄門島」「悪霊島」な金田一耕助的な家族の話になるんやろうなと思いながら見てた。
真理をついてくる島一番のバカと言われる青年、不気味に立ち回り、精霊話を持ち出す老婆、島の未来を見据えて行動を起こすパードリックの妹、時折挟まれる島の動物たちの存在がこの作品を寓話化してる。さらにオープニングの雲間から見える棚田の風景から始まり石造りの家や店舗、島の風景と光の移ろいが、なお寓話性を高めていて、それを踏まえてみるとこの物語の芯を感じられた。
コリン・ファレルのアップデートできない男、ブレンダン・グリーソンの孤島の中で遅くはない人生の次を見い出そうとする男、こういう得体の知れない若者をさせたら今や右に出る者がいないバリー・コーガン、兄に対して複雑な思いを抱き、でも自分と島との対峙を問うケリー・コンドン、ガス抜きとなるパブの親父と常連客と、出演者も本当に素晴らしかった!
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