詩 「歩」

電線や電柱
信号や鉄塔
様々な電気設備から
靄が漏れ出し
眼鏡のレンズを通して視る
深夜の街は
ぼやけて
夢見心地の様で

足元も覚束無い街路を
慎重に歩き
一瞬振り返ると
歩んだ道は
数秒後地底へと
沈み
道がつくられるまでの過程と
道がつくられてからの経過を
全てが抹消され

たった一瞬間で
道の何もかもが
消えた事への恐怖と不安に
枯れ間際の花茎の様に
曲がった背中を押されながら
果てし無い
一歩の連続を
坦々と紡ぐ

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