詩 「惰性」

二台の倒れた自転車の
愛なき抱き合いは
北風の冷たさと
太陽の温かさの
間に沈んでいる

気怠く伸縮を繰り返す
冬の曇空みたいな惰性の生活は
薄い毛布を何枚も重ねたような居心地の良さ

進み続ける時間に抗うように
目を閉じて本を読み
耳を塞いで歌を聞く
一年前と変わらない今日の秋に
無関心でいる

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