詩 「汗」

耳たぶの裏側から
蜜のようにほんのり垂れた

渇いた感覚が
滴る汗の形と色を正確に捉え
二滴三滴ではなく
ただの一滴と認識する

いつもより重たい夜の扉
足跡を残さない硬い道
細やかな雨粒が浮遊するため池

風の停滞が月明かりを呼び
夜より暗い影が
街灯と街灯の間に立つ

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