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サイコパス診断から始まった共感力の再考察

こんなツイートがあった。

長いので要約します。(ついさっき非公開になったみたい。5万いいねがついていた)

状況:
1. 3歳の娘が、投稿者の友人の私物を壊してしまった
2.母親である投稿者は、娘が謝るまで強く叱り続けた
3.結果として娘は初めて「ごめんなさい」と言った(言わされた)

周囲の反応:
(1)友人の反応
・許してくれたものの「今まで謝ったことがないならヤバい」という発言をした⇒この言葉が投稿者の心を更に傷つけた
(2)おばあちゃんの反応
・疲れ切った孫を見て心配し、状況を聞き「小さい子にいつまでも怒って可哀想」と投稿者を否定した。

投稿者の心情:
・子どもに大切なことを教えるために厳しく接したいという思い
・しかし強く叱ることへの罪悪感も抱えている
・「正解」が分からず悩んでいる
・謝罪させない親にはなりたくないが、叱ることが形式的なものになることも懸念している

という内容でした。日本語が読みにくいけど、共感してほしいという意図は伝わる投稿でした。

それを引用して、僕はこんな投稿をしました。

要するに
・3歳の子は「メンタライズ」も「共感」の能力が低いので、事態を把握できない。相手の気持ちもわからないので謝らないのは仕方ない。
・とはいえ、無意味に見えても親が叱ることで子供は学んでいくので、学習をさせるために叱ることは大事である。

僕に同じようなことが起こればもっと上手く対処するだろうなと思いました。

この「共感」と「メンタライズ」の違いを知らない人が多いのでまとめておきます。

共感とメンタライズの違い

  • いわゆる共感(情動的共感)⇒他者の感情状態を直接的に感じ取り、それに基づいて反応する即時的なプロセス

  • メンタライズ(認知的共感)⇒状況をより広く捉え、複数の可能性を考慮しながら、行動の背後にある心理を理解しようとする分析的なプロセス

・共感⇒「相手の気持ちに同調できる」
・メンタライズ⇒「相手の言動を把握できる」

これだけではわかりにくいので、具体例で説明します。

【場面1:職場での部下の様子】

ある日、いつもは明るい部下Aがデスクでため息をつきながら仕事をしている

共感の場合:

  • 部下の沈んだ表情や姿勢から、落ち込んでいる気持ちが伝わり、自分も少し悲しい気持ちになる(感情的共感)

  • 「つらそうだな、何か手助けできることはないかな?」という気持ちが自然と湧く(共感的関心)

メンタライジングの場合:

(1)部下の行動の背後にある様々な可能性を考える。

  • 仕事で困難に直面しているかもしれない

  • プライベートで何か問題を抱えているかもしれない

  • 体調が優れないのかもしれない

(2)その状況における部下の考えや意図の推測:

  • 「助けを求めたいけれど、迷惑をかけたくないと思っているのかも」

  • 「一人で解決しようと努力しているのかもしれない」

といった感じ。

【場面2:泣いている子どもと母親】


公園で、転んで膝を擦りむいて泣いている子どもとそれに対応する母親の場面

共感の場合:

  • 子どもの痛みや悲しみに共感して、母親も心配な気持ちになる(感情的共感)

  • 子どもの痛みを和らげたい、慰めたいという気持ちが生まれる(共感的関心)

メンタライズの場合:

母親は以下のような複雑な心理プロセスを行う:

(1)子どもの表面的な反応(泣く)の背後にある心理を理解:

  • 実際の痛みの程度

  • 驚きや怖さの気持ち

  • 注目を求める気持ちがあるかもしれない

(2)自分の対応が子どもに与える影響を考慮:

  • 過度に心配する反応は子どもの不安を助長するかもしれない

  • 冷静な対応は子どもに安心感を与えられる

といった具合です。

重なる部分もあるけどやはりちょっと異なりますよね。

泣く赤ん坊を放置する父親vsそれに起こる母親

赤ん坊が泣いていてそれをスルーする父親と、その父親(夫)に怒る女性というのはよくあります。

一般的に女性の方が「共感」が強く、男性は「メンタライズ」がやや高い傾向があります。

母親は苦しみを取り除いてあげたいという欲があるものの、父親は「泣いているけど、大きな問題は生じていないからすぐさま何か対処をしなくても心配はない」という気持ちの捉え方の違いから来ています。

メンタライズが高くて共感が低い場合はサイコパスと思われがち

僕のように共感が低くメンタライズが強い場合、部下がデスクで落ち込んでいる様子を見ると、以下のように考えます。

「単に構ってほしいのだろう。でも直接言ってこないってことは緊急事態ではない」⇒放っておくか(とすら思わない)

これ以前にここに繋がるやりとりや出来事から判断するけど、話を聞いたとしても落ち込むわからない以上推察もしません。

もし続くようなら声を掛けますが、事態(fact)の説明は求めますが、それについて部下がどう評価して現在の態度に至ったかは知ろうと思いません。わからないので。

僕は①共感能力が劣っているので、相手の気持ちに同調ができない。良い意味では侵食されない、流れされない。逆に②は高いので、周囲の状況から総合的に事態への対応はできます。

たとえば顧客が一方的に怒ってきた場合、相手の怒りについてゾワゾワすることはない。何が問題になっているか話を聞く。相手が現在激怒している状態については問題にしない。
もしこちらの不手際であれば謝罪し、代償となる提案を検討する。相手側に勘違いがあれば、上手く諭して鞘に納めてもう。
また非があろうがなかろうが「最後に『お気持ち、ありがたく存じます』で締めるのがいいのだな」ということもわかっているし、この回答であれば言質をとられても面倒なことにはならないので、そう回答する。

サイコパスと呼ばれている人は「情動(的共感)」は鈍いが「認知(的共感)」は高い数字でいることが多いそうです。

でも、あくまで数字上の鈍感/敏感の違いだから社会生活には困ることは少ない。

②メンタライズ能力が低くて、①共感しかなかったら、単に同調だけしてしんどくなり、かといって事態への対処はできない人になります。(分布では女性に多いとされる)。

メンタライズだけが高いと「それはそれ。これはこれ」となり、問題解決能力は任せられるがどこか冷たい感じがするというだけです。

共感能力が低くても困ることなんてない。損しているかは知らん。

自分の「共感」能力が低いことは10年前に知った

2014年ごろサイコパス診断という遊びが流行っていて、塾の生徒から「ノブトウ先生はサイコパスなんじゃない?」と言われることが何度もあった。その時にサイコパスについて詳しく調べてみた。

それ以前はサイコパス=連続殺人者みたいなイメージ。この頃から現在の認知(必ずしも悪くないとか、経営者や医者に多いとか)への広がっていった。

ある質問に対して特定の回答をすると、「こいつはサイコパス人間だ!」という話ではない。あくまで誰もが持っている要素の数値の高低にすぎない。

まあ知ったところで、だからなんだ?って話なんですけど。

妻の友人からサイコパス度が高いと言われるのはちょっと困る

妻は友人から「旦那さんってちょっとアレよね」を言われて、アレって何?と聞いたら、「サイコパスっぽい感じがあるよね」と言われたらしい。

妙に納得したと言っていた(反論しないどころか賛同した)。

まあ現実的に見ると、「問題解決能力が高いし、共感もしてくれる夫」というのが最高だと思うけど。

・問題解決能力が高いが共感してくれない夫
・共感力は高いがピエンで終わる夫

どっちかを選ばないといけない場合、やはり前者を選ぶ方が安心ではあるでしょうね。妻もどちらかというと、女性では共感は薄い方だと思うので、問題ない。

ということで我が家は大きな問題は抱えることなく暮らしていけそうだ。

まとめ

「共感」には2種類ある。いわゆる「共感」と「メンタライズ」。共通する部分もあるが、違う部分も多い。

しかも同じ数直線上ではないので、両方高い人もいれば、低い人もいる。バラバラです。

さらに人間のメンタリティはその2軸だけで成り立っているわけでもないですし、場面ごとに対応も変わる。

真っ白なHSP(過度に共感する)、真っ黒なサイコパスもいないわけで、おおよそどの要素が強いかですし、グラデーション。

ただし、共感が低くてメンタライズが高いとサイコパスと見られがち。

ということでした。周りを見返すと結構似たような人はいます。

自分を特別視することもないし、自分を卑下する必要もありません。

以上です。

個人的には「HSP」を自称して、ぴえんが許されると思っている人は厄介な人が多いなと思うけど👀

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