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侠客鬼瓦興業 第37話「恐怖と純白の余録」

まさか昼間見たあのきれいな保母さんが、僕の目の前にあらわれてしまうとは・・・

おまけにこの人は・・・
僕は保育園の外から切なそうに、このきれいな保母さんを眺めていた追島さんを思い出した。

「あ、あの、すいません・・・、すいません・・・」

「え?あ、はい!」

「あの、5人なので、千円でよろしいですか?」

気が付くとその保母さんは、お財布からお金を取りだしながら、やさしい笑顔で微笑んでいた。

「あー、あの千円でしたら、おまけでもう一回できるので、6回分です」

僕は慌ててそう答えながら、箱の中からポイをごそごそと取り出した。

「それじゃ、春菜先生もできるね」

「そうね、ユキちゃん、それじゃ後で先生もやってみようかしらね」

(ユキちゃんって、この子は確か昼間、トカゲを捕まえていた子だ。それより、はるな先生って言うんだ、イメージにぴったりの優しそうな名前だな・・・)

僕は頬をそめながら、はるな先生からお金を受け取ると、ポイとお椀を手渡した。

「・・・あっ!!」

一瞬、はるな先生のきれいな手がふれて、僕は思わずドキドキして顔を真っ赤にそめてしまった。

(な、なんで僕が緊張してるんだよ・・・、この人は追島さんの憧れの人なんだぞ、それに僕にはめぐみちゃんという心に決めた人が・・・)

そう思いながらも僕は、気が付くと、目の前でやさしく子供達と話しをしている、春菜先生に見とれてしまっていたのだった。

(それにしても素敵な人だな・・・、めぐみちゃんとはちょっと違った大人の優しい魅力って言うんだろうか・・・)

と、その時、僕の視線に春菜先生の後ろを通り過ぎる、顔中包帯だらけのミイラ男が映し出されてきた。

「!?」

ミイラ男は包帯だらけの手に野菜をかかえながら、僕を見て一瞬、微笑みを浮かべながら包帯だらけの手を振ると、やがて人ごみに消えていった。

(あの人は、たしか仲間の彼女をとってしまった。さっきの・・・)

同時に、僕の頭にある言葉が

『ばした、とるな・・・』

(ばしたとるな、仲間の女に手をだすな!こいつを破った罪は重いぞ、一昔前だったら、親指かあれを詰めさせられても、文句は言えなかったんだよ・・・)

銀二さんから教わった恐怖の掟が蘇ってきた。

(そうだよ、、この人は追島さんの憧れの人だったんだよ)

僕は慌てて顔をパンパンたたいたあと営業スマイルを作って、春菜先生と金魚すくいに夢中になっている子供達に声をかけた。

「はい、それじゃみんなー、頑張ってねー!」

やはり保育園児には難しいらしく、次々に子供達のポイは破れてしまった。僕はそのたびに
「はい、残念賞~!」
そう言いながら小さな金魚を袋に入れては園児たちに持たせてあげた。

「わー、可愛い、可愛い・・・、おじちゃんありがとう」

「おじちゃん?ははは、君達から見ればおじさんだね、ははは・・・」

「みんな、お兄さんですよ、ごめんなさいね」

春菜先生は、僕に気を使って優しい笑顔で微笑んでくれた。

「あ、いえ・・・、そんな、ははは」

(この笑顔は、僕にとって毒だ・・・)

春菜先生の澄んだ笑顔に、僕はまたしても引き込まれてしまいそうになっていた。

(いけない、この人は追島さんの・・・)

 僕は慌てて顔をぶるぶる振ると、右手に文字を三回指で書いた。

(めぐみちゃん、めぐみちゃん、めぐみちゃん・・・)

そう書き終えると僕は、その手を額に当てて目をとじた。

おまじないが利いたのか、僕の頭に再び天使のようなめぐみちゃんの笑顔が蘇ってきてくれた。

「わー、ユキちゃんすごいすごい!」

我にかえった僕の耳に、子供達の無邪気な声が聞こえてきた。気が付くと僕の前に座ったユキちゃんというトカゲの子のお椀の中には、たくさんの色とりどりの金魚が泳いでいた。

ユキちゃんは水面ぎりぎりにポイを沈ませると、子供とは思えない器用な手つきで金魚をお椀にすくい入れた。

「うわー、うまい!!」

僕は思わず目を輝かせてその子を見た。ユキちゃんは立て続けに水面の金魚をお椀にいれると、うれしそうな笑顔で僕に話しかけてきた。

「へへへ、ユキね、前にパパに教わったんだよ。パパはもっと上手なんだよ、おじちゃん」

「へえ、すごいな~」
僕は関心しながらその子をた。

(あれ?この子の目元、どこかで見たような・・・)

僕はそのユキちゃんという、金魚すくいの達人の女の子を見ながら、首をかしげていた。

「それじゃ、今度は先生の番ね」

気がつくと春菜先生がユキちゃんの隣にしゃがんで、片手にポイを握りながら、真剣な目で金魚を追い始めていた。

「ユキちゃんがパパにならったように、先生も昔おじいちゃんにコツを教わったんだよ、負けないからね」

春菜先生は無邪気に子供達に微笑むと、そのきれいな指先にもったポイを水面すれすれに沈めて、小さな金魚をお椀にすくい入れた。

「うわー、春菜先生も上手ー!」

小さな子供達は、今度は先生の周りにあつまって大喜びをした

春菜先生はうれしそうな笑顔で、立て続けに金魚をお椀にすくい入れた。その顔は童心に返った子どものように、生き生きと輝いていた。

「よし、それじゃ、今度はこの大きい子ねらうわよ」

そう言うと春菜先生は真剣な顔で、大きな金魚を追い始めた。
と、その瞬間

「あっ!?」
視界にあるものが飛び込んできて、僕は大きな口を開けたまま、その場で固まってしまった。

その、あるものとは・・・、あるものとは・・・

何と春菜先生のキュロットスカートの隙間から、美しい太ももといっしょに見え隠れする、純白の例の余禄と呼ばれるものだった。

(・・・パ、パ、パンツが!・・・)

(いけない・・・、絶対に見てはいけない・・・、この人は追島さんの憧れの人!)

僕は必死にエロい心を抑えようとがんばった。
しかし彼女のキュロットスカートから見え隠れする、純白の余禄から目を離すことは出来なかった。

(だめだ!絶対に駄目だー!!見るんじゃない!見てはいけない~!)

そんな僕の心の葛藤など露とも知らず、春菜先生は夢中になって金魚を追い続けていた。
そしてついには前かがみになった彼女のシャツの隙間から、これまた純白の余禄が・・・!

(ぶら・・・、ぶら・・・、ぶらじゃぁ~!だ、だめだ~!そんなものまで見せられたんでは・・・)

僕の鼻からたらーっと、一筋の赤い液体が流れ落ちた。

(見てはいけない人なのに!この人は追島さんの憧れの人なのに~!!)

僕の脳裏に再び銀二さんの言葉が・・・

『ばしたとるってのは、罪がおもいぞ・・・』

それでも僕は、彼女の美しい余禄から目を離す事が出来ずにいた。

(だって、だって・・・、だって見たいんだもん~)

僕の心の中でエロい心がそう叫んでいたのだった。

とその時、僕の背中に一瞬、何やら野獣のような殺気が!

「うぐ!?」

(な、なんだ、、今の殺気は!? ま・・・、まさか・・・)

僕は恐る恐る、後ろの野獣の気配のほうに振り返った。

「う!?」

何とそこには、植木の中に身を隠しながら、それは恐ろしい顔で、こっちを見ているパンチパーマのゴリラが!

「うぐわーー!!」

僕は驚きと恐怖のあまり大声をだすと、ガサガサと音を立て、そのゴリラも慌てて植木の陰に姿を隠してしまった。

「どうしたんですか?、急に大声を出したりして」

春菜先生はきょとんとした顔で僕を見ていた。

「いや、あの・・・、何でもないです」
そう言いながら、僕は背後のゴリラの正体が追島さんであることに気がついた。

春菜先生は不思議そうに小首をかしげたあと、ふたたび大きな金魚を追いかけ始めた。

同時に、キュロットスカートの中から、純白の余禄を覗かせながら・・・

僕の前には美しい余禄をさらけ出した春菜先生・・・、そして後ろには、パンチパーマのゴリラ追島さん・・・。まさに官能と恐怖の美女と野獣に挟まれた僕は、節操を知らない股間をモッコりさせながら、その場でカタカタと震えながら固まっていたのだった。

つづく

最後まで読んでいただきありがとうございます。
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※このお話はフィクションです。なかに登場する団体人物など、すべて架空のものです^^

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