ストーリー08 みんなのレストランを経営するカズヤさん夫妻
カズヤさんの家族は、とても不思議なことを経験しています。自分たちのまわりに助けてくれる人たちが集まって来て、自然とよいコミュニティができあがっていくという経験です。
八歳になる娘さんは障がいをもっています。いつも誰かにつきそってもらわないと日常の行動ができません。ところが、夫婦はレストランを経営していて、つきっきりになることができません。この地域は福祉がとても充実していて、カズヤさん家族のサポートのために何人かのボランティアさんたちが助けてくれています。それでなんとか、娘さんは地域の小学校の特別学級に通っています。
レストランの奥の一角は改装されて、娘さんが下校後に過ごすスペースになっています。目が届くところにいれば、カズヤさん夫婦も安心です。娘さんもこのスペースがお気に入りで、マイペースでのんびりと楽しんでいます。
不思議なのは、娘のおかげでいろんな人と知り合いになれたことです。同じようなお子さんをもつ親たちとも出会うことができました。地域の福祉のリーダー的な人たちとも関係ができました。ボランティアさんたちも、喜んで関わってくれています。
そして、みんながカズヤさんのレストランに集まって来るのです。
「こういう場所があってよかった。わたしたちのオアシスだ」
カズヤさんたち夫婦にしてみれば、娘のためにいろんな人に助けてもらっている、と思っていました。仕事のために、ボランティアさんにお願いしなければいけないことが心苦しく、うしろめたささえ感じていました。
それなのに、このレストランがみんなのオアシスといわれる、いったいこれは何なのだろう。不思議でしかたありません。ただわかっていることは、本当に助けられていること、そして関わるみんなが喜んでくれていること。ただただ感謝するばかりです。
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